隠れ家の不良美少女 143 えっ、何で?
高崎のマサキ本社へ奏太くんとやって来た。
会議室の一つを配信用のセットにするためだ。
東京ステージプランの橘さんも機材を積んで来てくれている。
「友希くん奏太くんお疲れ様」新くんが迎えてくれた。
30畳程の会議室にセットを用意する。
「橘さん、先日は有難うございました」新くんはニッコリ挨拶した。
「こちらこそ有難うございました」橘さんも嬉しそうだ。
「早速機材を運び込みますね」そう言ってスタッフと作業を始めた。
会議室には100インチ程のモニターを中心に机やテーブルが配置される。
テレビで見るバラエティ番組風のセットが出来上がっていく。
後ろの上には番組タイトルの『キナコとプリンの一緒に食べよう』と書かれた釣り看板が下げられた。
前にはカメラやスイッチャーが設置され、着々と準備ができていく。
操作するのは奏太くんなので、橘さんとチェックしながら進めている。
「新さん友希さん、ほぼ完成しました」奏太くんが声をかけた。
「そう、お疲れさん」
「少しだけチェックしても良いですか?」奏太くんが聞いた。
「時間はあるから大丈夫だよ」新くんがOKサインを出す。
しばらくすると、ウイングの事務所がモニターに映った。
「どお?映ってる未来ちゃん」
「映ってますよ」未来ちゃんがカメラの前に立って手をふっている。
「大丈夫みたいですね」奏太くんが橘さんと頷く。
テストが終わって新くんのオフィスへ向かう。
橘さんはスタッフと帰った。
「来週から配信が始まるね」新くんが少し心配そうな表情だ。
「きっと楽しい配信になりますよ」奏太くんが自信たっぷりに頷く。
「プリンちゃんの方はどお?」俺は確認するように聞いた。
「前にYouTubeでライブ配信をやってたので大丈夫ですよ」
「そうだよね、俺も綾乃と二人で楽しく見てたよ」
「それに今度はキナコちゃんまでいますし、ゲストも呼べます」
「奏太くん、まなこちゃんに聞いてくれた?」
「はい、もう了解とってます」そう、有難う。
「えっ、まなこちゃんも出てくれるんだ」新くんは驚く。
「それから、みかりんさんも出てくれますよ」奏太くんは笑った。
「えっ!何で?妹にも連絡したの?」俺は眉を寄せる。
「はい、キナコちゃんから是非って言われてまして」
「そうなんだ…………」俺は少し渋い顔をなる。
奏太くんと新くんはクスクス笑った。