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Dear slave 親愛なる奴隷様 Loveですぅ! 第58話 女の怖さ

 翌日の日曜は琴音さんと銀座へ出かけた、琴音ママと行ったレストランだ。玲司さん夫婦と待ち合わせて中へ入る。

「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」また蝶ネクタイの人が奥の個室へ案内してくれた。

玲司さんの奥さんはとても可愛い人だ、周りをキョロキョロと見ている。

「玲司さん、なんか高級なお店だね」不安そうだ。

「星七君は堂々としているね」僕を不思議そうに見ている。

「僕はこの前琴音さんのお母さんも一緒に一回来ているので………」

「なるほど、だから普通にしていられるんだね」頷いた。

席へ案内されて座った。

「今日はもうコースを注文してあるからゆっくりしてください」琴音さんは嬉しそうだ。

「ありがとう」玲司さんは頭を下げた。

「よかった、僕はメニューの文字が何語かすらわかりませんでした」僕の一言にみんな和やかに笑った。

早速ワインが運ばれて来た。僕と琴音さんにはノンアルコールのワインが用意されている。

「ミコト………じゃなくて琴音さん、誕生日おめでとう、乾杯!」玲司さんがグラスを上げた。

「「「乾杯!」」」

 僕はノンアルコールのワインを少し飲んでみる、渋味が口の中に広がった。
料理が運ばれてくる。とても美味しいがやっぱり何の料理だか分からない。

「星七君もおめでとう、紹介が遅れたけど家内の礼奈《れな》です」

「初めまして、樹神星七です」会釈した。

「星七君か、カッコいいね、モテるでしょう?」僕を観察するように見ている。

「いえ、そんな事ないです………」何度も瞬きした。

「成長って早いね、この前まで可愛い星七君だったのにもうカッコよくなってるなんて」

「でしょう?最近グッと男らしくなって、身長も追い越されそうなんです」琴音さんは笑っている。

 僕は狐につままれたような顔になった。

「星七君の話は琴音さんからいっぱい聞いてるよ、まるで恋人の惚気《のろけ》話みたいにね」玲司さんがニヤニヤしている。

「それは玲司さんが何時も礼奈さんのことを惚気るからでしょう?」琴音さんは口を尖らせた。

「私も琴音さんの気持ちわかるなあ、星七君みたいな子がイトコで一緒に暮らしてたら毎日抱きしめるかも」ニヤニヤしている。

「え〜!そうなんですか?」僕は引き気味に答える。

「でも星七には茉白ちゃんって可愛い彼女が出来たばっかりなんですよう」不満そうだ。

「そんなの早くぶっ壊したらいいじゃない、星七は私の物よって」口角を上げた。

「こらこら、星七君はまだ高校生だぞ、女の怖い話は早すぎるよ」玲司さんが笑った。

「女の人って怖いんですか?」不思議になって聞いてみた。

「大人になったら分かるよ」玲司さんは何ごとも無かったように言った。

 礼奈さんと琴音さんは顔を見合わせてクスクス笑っている、満更嘘でもなさそうだ。琴音さんが怖いのは琴音ママを見たので何となく想像できる。でも茉白ちゃんも怖くなるんだろうか?思わず考えてしまった。

 美味しい食事は進みデザートになった。

「琴音さん、星七君にプレゼントは渡したの?」

「いえ、これからです。はい、私からのプレゼントよ星七」箱を渡された。

「え………何ですかこれ?」

「開けてごらんよ」

「はい………」恐る恐る開けてみる、中から一眼レフカメラが出てきた。

「えっ、カメラですか?」

「そうよ、星七は図書館を持ってバイクで冒険するんでしょう?そうしたら残したい景色や人もあるんじゃないかと思ってさ」微笑んでいる。

「はあ………」僕は言葉を無くして佇む。

「星七君よかったね、さすが柊木グループのお嬢様はやる事が憎いわ」礼奈さんがニヤニヤしている。

「星七君、今度の文化祭は何か考えてるのかい?」

「いえ、まだ何も」

「じゃあ、バイクのイベントに来ている女性ライダーに取材してそれをSNSに投稿したらどうかな、その中から選んだものをバイク雑誌に掲載するのはどうだろう?」

「え〜!それは嬉しいですけど僕に出来るでしょうか?」

「大丈夫だよ星七君なら、君はまるでスポンジのようにどんどん吸収していく、だからやってるうちに道がひらけていくと思うよ」

「そうよ星七、せっかくのチャンスだから挑戦してみなよ」琴音さんは力強く頷いた。

「そう難しく考えなくても大丈夫、私がしっかりサポートするよ」玲司さんは優しく頷いた。

「はい………やってみたいです」僕は新たな目標が出来たようで身震いした。

「琴音さんへのプレゼントです」玲司さんは紙袋を琴音さんへ差し出した。

「私に?」琴音さんは不思議そうに受け取って開けてみる。

「カレンダー?」

「はい、これまでにミコトさんを写した写真の中からベストショットを選んでカレンダーにしました。

「へ〜………凄い!」琴音さんは一枚一枚めくって見ている。

「ねえ玲司、最近写真の腕が少し落ちてるんじゃないの?」礼奈さんは玲司さんを睨んだ。

「こらこら。人前で呼び捨てはダメだと言ってるでしょう?」玲司さんは困った表情だ。

「だって琴音さんは写真よりもっと美人だよ、よく見てごらんよ」

「まあそうなんだけど………」頭をポリポリかいている。

「あのう………ミコトさんが琴音さんだとバレないように可愛いメイクをしているので………」僕はフォローしてみる。

「そうなの琴音さん?」礼奈さんは首を傾げた。

「まあ………そんな感じです………けど」

「そっか、可愛い視点で見るといい写真かもね」頷いている。

僕は礼奈さんの様子を見て、女の人が怖いと言ってた事が少しだけ分かった気がする。

「カレンダーは勿論発売できますよ、琴音さんがOKならね」

「誰か欲しい人いますかねえ?」琴音さんは眉を寄せた。

「かなり売れると思いますけどね」玲司さんは口角を上げた。

「星七、私しのカレンダー欲しい?」

「何で僕に聞くんですか?」

「欲しいの、欲しくないの?どっち?」

「まあ………有ってもいいかなとは思いますけど………」

「星七君も大変だね」玲司さんはクックッと笑っている。

「も、ってどう言うこと?も、って!」礼奈さんは玲司さんを睨んだ。

「それはねえ………星七君………」

「はあ………ですよね………」

「何二人で被害者みたいな顔をしてるの?」礼奈さんは睨んでいる。

楽しくパーティは終わりを迎えた。

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