水の生まれる夜に 101 匿名のメール
俺は(ポンカン)メールを見ていた。
『ポンカンさん、森田賢一《もりたけんいち》さんを助けて下さい、新規開発課の松本さんが詳しく知ってます』と書いてある。不思議に思った俺は松本を食堂に誘った。
二人でコーヒを注文すると「松本君、森田賢一君って知ってるかい?」聞いてみる。
「えっ!!賢一ですか?……はい知ってます……同級生で同じクラスでした、前にこの会社にいたんです」松本君は顔を曇らせ下を向いた。
「なぜ賢一の事を?…………」
「ポンカLINEにメールが来て、彼を助けてくださいと書いてあったんだよ」
「彼はとっても良いやつだったんですけど……あの城島を殴って会社を辞めたんです」
「そうなんだ……」
「彼は森田専務の息子なんです」
「えっ!あの森田専務の?」
「いくら専務の息子であっても、暴力事件を起こしては会社にはいられません」
「原因はわかるかい?」
「何で殴ったか彼は言わないんです」
「そうか……でも放っては置けないなあ、もし何とか出来るならしてみたいけど……」
俺はつめたくなったコーヒーを少し飲んだ。
「彼はどんな人?」
「とっても優しいやつなんです、子供が勝手に寄ってくるような楽しいやつでした、何であんな事になったんだか?」
「そうか……彼に会うことができるかい?」
「はい、連絡してみます……そういえば城島をたたき出した人がいるって話したら、あいつも会ってみたいって言ってました。