隠れ家の不良美少女 225 本番前夜
最後のリハーサルが行われた。
キナコ、希美子さん、まなこちゃん、みかりん、未来ちやん、プリンちゃん、コスプレサークル雅のみんな、ロブスターズ、バックバンドのメンバー、ダンサーなど全ての出演者が集まって本番さながらのリハーサルが行われる。音響や照明、舞台スタッフなども参加して全体を確認する。
貸し切った広い会場には本番に近いステージが用意されている。
舞台監督の橘さんが確認しながら進行していく。
俺はその様子を見ていたが何故か涙が溢れてきた。
「良くここまで来れたなあ………」独り言を漏らす。
「そうね………ここまで来たわね」友里香さんも同じように漏らした。
二人はどこか似たような口振りだ、おそらく桜に言ってるように思えた。
友里香さんと顔を見合わせて少しだけ笑った。
本番前日武道館には多くの大型トラックが集まり機材が次々に運び込まれていく。
俺と奏太くんはその様子を確認しながら見ていた。
会場にはパテーションが多く運び込まれて企業の席が用意されて行く。
小宮さんが会場係をしてくれるので安心している。
友里香さんと未来ちゃんは印刷された企業名を設置している。
「未来ちゃん、そんな事してて明日は大丈夫かい?」俺は心配になって聞いた。
「私は動いてる方が調子いいんです」ニッコリそう答えた。
希和と希美子さんは近くのホテルにいる。今夜はそこに泊まって明日に備える。
俺も設営が終わったら、同じホテルに向かう予定だ。
ロブスターズのメンバーや和也さんの奥さん、そしてココアちゃんも泊まる。
大きな期待と不安が渦巻いている。
「今夜は寝られないかもしれないなあ……………」
「あら、友希くんらしくも無い」友里香さんが笑った。
「俺たちが出演する訳じゃ無いけど、やっぱり不安だなあ」
「そうね、でも泣いても笑っても明日は本番よ」
友里香さんは遠足の前のように楽しみにしてるようだ。
俺はそんな友里香さんが頼もしいと思った。