隠れ家の不良美少女 46 また企画会議
土曜になり天空カフェへ来ている。
新くんと名水コーヒーを飲んでいると、希和がやって来る。
「おはよう!友希さん新さん」手を振った。
「やあ、希和ちゃんおはよう、今日も可愛いね」
「ありがとう新さん……友希さんは言ってくれないの?」
「何をだよ!」
希和は少し頬をふくらす。
「希和ちゃんのフォロワーが40万人を超えたけど、伸びなくなったねえ」
「そうなんですよ、どうしたらいいんだろう?友希さん……」
「俺は分かんないよ……」
「やっぱりスクール水着かなあ」新くんが笑った。
「私、水着大丈夫ですけど……」
「それは止めとこうよ」俺は首を横に振る。
「友希くんは希和ちゃんの水着を他の人に見せたく無いみたいだねえ」含み笑いをしている。
「そうなの?」希和がニヤけて上目使いで見てきた。
俺は寒気がしてブルっとした。
「そう言えば希和ちゃんはピアノを習ってて絶対音感があるって言ってたよね?」
「はい、ありますよ」
「歌は歌えないの?」
「上手じゃ無いけど……とりあえず歌えると思うけど……」自信なさげに言った。
「じゃあちょっとだけ歌ってみて?」
新くんはスマホで録音する準備をした。
「友希さん何歌ったらいい?」
「何でもいいから好きなヤツを歌えよ」
「じゃあ……後ろ姿の君は〜……」歌いはじめたのはロブスターズの『ラプソディを君に』だった。
普段話す希和の声とは違った。透明感があって綺麗な声だ。
歌い終わると二人で拍手した。
「なんだ希和、歌はいいじゃん」
「そうだねえ、とってもいいよ」新くんは何度も頷く。
新くんは録音したスマホを再生して驚いた。
「友希くん見てよ!このアナライザーのメーターを、倍音がめちゃ多いよ!」
「えっ……どう言うこと?」
「だから、希和ちゃんの声はストラディバリウスみたいに凄い声だって事だよ」
俺は新くんが指差すグラフを見る。よく分からないが凄いらしい。
思わず「血は争えないなあ」と漏らしてしまった。
「えっ?」新くんが不思議な顔だ。
「新さん、私のお父さんの事が分かったんです」
「そうなんだ」
「ロブスターズのヴォーカルでリーダーだったんです」
「ええ!あのロブスターズの!」新くんは椅子から落ちそうになっている。
「新くんロブスターズを知ってるの?」俺は聞いた。
新くんは何も言わず、首を何度も縦にふった。