隠れ家の不良美少女 203 社長頑張って!
リハーサルはしっかりと予定通り進められ無事に終了した。
近くにあるSONEレコードの会議室へコロナの配慮をして食事が用意される。
全員会議室へ移動した。
「「「「お疲れ様でした〜」」」」
夕食が始まる。
プリンちゃんがため息をついて話し始める。
「超緊張した〜!足がガクガクだよ」
「プリンさん、とってもカッコよかったですよ」キナコが微笑んだ。
「私、ステージとか立った事ないし…………お遊戯会とかさえ出た事ないのよ、初舞台が武道館なんて考えれないわ」口を尖らせる。
「じゃあこれまでのYouTubeの配信は何だったんですか?」みかりんが不思議そうに聞いた。
「あれはステージの上に立ってないし」
「いや、配信も立派なステージでしょう」まなこちゃんが笑った。
「そうかなあ…………」プリンちゃんは不本意な顔だ。
「でも武道館の計画司書を見たら結構エグいよねえ」みかりんは頬を膨らして食べながら呟く。
「えっどう言うこと?」まなこちゃんが聞いた。
「だって、一階は色んな企業が招待されてるんでしょう?それに2階3階は放送局や新聞や雑誌社なんかのメディア席なんでしょう?」
「えっ!コロナだから無観客の配信じゃないの?」
「勿論コロナに配慮して広い空間をとった関係者席だよね」みかりんは俺に聞いた。
「まあ……そんなとこかな………」
「え〜!本当?」まなこちゃんは固まった。
「招待した企業ってCMの契約を取るためでしょう?そしてメディアにはキナコちゃんは本物だって見せつける魂胆でしょう?」
「マジ……………………」まなこちゃんは箸を置いてさらに固まった。
「お兄ちゃんてそんなにやり手だったっけ?」不思議そうに俺を見る。
「俺は何も考えてないぜ、全てここにいる敏腕マネージャーの友里香さんが計画してくれた事さ」
「やっぱりそうか、お兄ちゃんだと出来過ぎだと思ったよ」そういって笑った。
まなこちゃんは俺と友里香さんを繁々と見ている。
「キナコちゃんは良いなあ………良い人達に恵まれて」
「みんな友希さんのお陰だけどね」そう言ってゆるい笑顔をした。
「私もキナコちゃんの事務所に入りたい!」まなこちゃんは少し口を尖らせる。
「まなこさんは個人事務所ですよね」みかりんが聞いた。
「そうなの、だから大変」
「奏太さんが社長だから聞いてみたらいかがですか」未来ちゃんが微笑んだ。
「えっ!奏太くんは後退りした」
「武道館の後すぐにSONEムービーからキナコちゃんのドキュメンタリー映画も放送されるんですよ」
まなこちゃんは目が溢れるくらい大きく見開いた。
それを見た友里香さんは少し微笑むとまなこちゃんに言った。
「じゃあうちの事務所と提携したら良いんじゃないかしら、そうしたら招待した企業からCMの依頼があるとすぐに相談できるし」
「なるほど……そうかも」まなこちゃんは何度も頷く。
「後輩のキナコに対してこんなに一生懸命サポートしてくれているまなこちゃんは、悪い印象にはならないと思うけど」友里香さんは口角をあげる。
「ですよね…………」まなこちゃんも友里香さんの敏腕さに納得したようだ。
「奏太さん、今後ともよろしくお願いします」まなこちゃんはニッコリ頭を下げた。
奏太くんは不安そうに俺を見る。
未来ちゃんがニッコリして「社長、頑張って」そういうと友里香さんも「社長、頑張って」そういった。
「友希さ〜ん、助けてくださいよ〜」奏太くんは切なそうな顔だ。
俺も「社長!頑張って」そう言った。