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水の生まれる夜に 68 突然ポケキャバ

・・・・・・・綾乃目線・・・・・

私はしっかりコタツの虫となっていた。
コタツの上の新さんのスマホがメッセージを表示する。珍しくポケキャバだった。

『家出娘さん、まだいますか?』

『はい、家出娘ですけどまだいますよ』

『やっぱりいましたか……本気なんですね?』

『勿論です』

『どんな人か見たいなあ』

『あなたは本当に高校生なの?』

『はい』

『じゃあアレルギーで困ってるのもホント?』

『何で知ってるんですか?』

『うん、彼に聞いたよ』

『そうか……そんな事まで話したんですか』

『ねえ、私も会いたいんだけど』

『えー!マジで』

『池袋でしょう?』

『そうですけど』

『じゃあ会いに行くわ、いつが良い?』

『いつでも』

『じゃあ、明日お昼にいけふくろうの前でどう?』

『いいですけど』

『私の携帯番号は0701232345よ』

『私はここでは書けないんです』

『それなら、この後私の番号に直接電話して』

『はい』

『これまでの会話を消したいんだけど?』

『下の赤いところから今日の会話を全部消すことができます』

『了解』

私はこれまでの会話を全部消した。スマホに電話がかかってきた。

「初めまして、綾乃です』

「初めましてミユキです」

「明日よろしくね」

「こちらこそよろしくお願いします」

スマホを置いてニッコリした。

「新さんの寂しさを和らげてくれた人だもんね」

新さんは何も知らずキーボードを叩いている。
私は新さんのスマホをみて、本当に何も隠し事のない正直な人だなあと思った。

最近新さんは自信をつけたみたいで、カフェでも仲間ができている。
同じ九州出身の一瀬さんや不良少女の希和ちゃんなんかも新さんを慕っている。
真面目で頼りないけど良い人って感じだった新さんは、少しずつ頼り甲斐のある人へ変化している。何でだろう?不思議な気がした。

「新さん、私明日用事ができて池袋まで行きたいんだけど」

「いいよ……行っておいで」

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