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A&W化する沖縄
Lana Del Reyの曲が好きだ。
女性特有のテンポと世界観がよく反映されている曲がたくさんある。
特に彼女のA&Wという曲は「女性」として生まれた一部の人たちが経験する暗闇を等身大に表現した曲で、聴くたびに何とも言えない虚無感が広がる。
ファストフード店の如く、争うことなく消費の波にひれ伏す女性の姿が遠くに映る。
「陰陽」、どちらも社会が必要とする限り、彼女の作品は輝き続ける。
私は普天間基地の近くで生まれて育った。
騒音や事故の危険性だけでなく、幼かった頃は風俗街も近くにあった。
私が知っている沖縄は綺麗な沖縄じゃない。
沖縄にいる限り、私の過ち(敗戦)でなくとも、全てを持つもの(アメリカ)に従属しなければいけない構造や雰囲気を幼いながらに感じていた。
日々の騒音はもちろん、米国でも違法に値するクリアゾーンのない基地、基地と基地の間を走る国道58号線、返還合意を信じて待ち続けた疲弊した背中姿。
「植民地」という言葉が頭から離れなかった。
幼いながらも、沖縄で過ごした幼少期は鮮明だった。
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当時の私は猛烈に基地問題とつながりを持ちたかった。
違う角度でこの状況を見れるようになって、やるせなさを消化したかった。
そんな動機から、大学生の頃に米軍がよく来るバーで一時期バイトを始めた。
Lanaの「A&W」を聴くたび、そこで見た世界をよく思い出す。
あの経験ほど自分が女性であることが怖くなった経験はない。
アメ女*界隈では噂はすぐ広がる。
誰と誰がデートに行って、体の関係があるかなど。
米軍の誰かと体の関係を持った女性は「bitch」と呼ばれ、レイプの対象になってしまうと。
だからデートも慎重に決めるべきだと、勤務したての頃に教えてもらった。
一度過ちを起こすと、小さな島の沖縄ではもう後に引けない。
Bitchと噂を流されて妊娠依存になった子もいると耳にした。真意は伏せておきたい話。
そのバーで勤務した期間中、様々な事情により沖縄に派遣された米軍の実態を知った。
その経験をもっても、幼少期から感じていた基地への思いは変わらなかった。
反対に、私は想像を止められなかった。
基地がなかったら、当時一緒に働いていた女性達はどんな人生を歩んでいたのだろう。
一人で逞しく生き抜いている彼女や、妊娠依存の彼女、風俗街で勤めていた彼女。
彼女たちは、一体、どんな人生を送っていたのだろう。
今日も考える。
沖縄に基地がある限り、あの世界で生きる彼女達を。
敗戦後70年経っても、自分たちの土地に足を踏み入れられない彼らを。
資本主義の車輪の中で、世界中に派遣されるシステムの結果として沖縄に住んでいる彼らを。
今日も沖縄の地は資本主義の一輪となって回り続ける。
海の青は全てを飲み込んだ青。
燃え尽くされて灰となった今でも回り続ける。
ある人は「性」を、ある人は「命」を、ある人は「兵器」を。
*アメ女ー米軍と交際関係や交友関係のある女性の呼称。