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スマホ写真のHDRに思うこと

目で見たときは見えているものでも、写真に撮ると見えなくなるということがあります。
写真では、白っぽい部分の濃淡(階調)が分かりにくくなったり、白く飛んだりします。たとえば雲など。
黒っぽい部分の濃淡(階調)が分かりにくくなったり、黒くつぶれたりします。たとえば陰になっている場所など。

このような白飛び・黒つぶれを防いで、実物を目で見たときに近い、イメージを作り出すのがHDRという方法(技術)です。
HDRとは High Dynamic Range の略です。

HDRのしくみ

昔のデジタル一眼などでは、構図を固定して複数枚の画像を露出を変えながら連写して、あとで合成するという方法がありました。

  1. 白い部分が飛ばないような露出(アンダー気味)

  2. 標準の露出

  3. 黒い部分がつぶれないような露出(オーバー気味)

この3枚(場合によりそれ以上)の画像を合成して1つの画像にします。

現在のHDRは進化しており、スマホでは設定を調整することもなく高速連写して自動的に画像を作り出すため、普通に写真を撮るのと何ら変わらない操作性でHDR画像が得られます。

Live HDR+

Google Pixel には現在、Live HDR+ という機能が搭載されており、露出設定を意識しなくてもAIで最適な露出に調整したHDR画像を作ってくれます。

Live HDR+ は、自分が持っている Pixel 6a では標準でONになっており、OFFにできない仕様です。
Google カメラアプリを使用した場合、画面に露出調整用の2つのスライダが表示され、それぞれハイライトとシャドウのレベルが調整できるようになっています。(デュアル露出補正
OFFにはできないけれども、ハイライトを上げてシャドウを落とせば、OFFにしたのと同じような画像が得られるという状況です。

実際のところ

Google Pixel 6a は非常に美しい写真が撮れますし、目で見た感じの明るさにうまく調整されています。
とくに露出補正を触らなくても、大体の場合は問題ありません。暗く見える場合は少しハイライトを上げてやれば解決するような感じです。

サンプル

サンプル写真を3つ置きます。

このマクドナルドの写真の場合、入り口付近の陰になっているところや、天井の陰などは、普通のデジタルカメラ(HDRなし)の標準露出で撮ると黒くつぶれ気味になりますが、この場合、しっかり表情が出ています。


夜景にHDRは向いていると思います。暗い場所とライトなどの輝度が高い部分が混在している状況で、双方の表情をうまく出してくれるため。


このような場合も陰になっている部分が見えるようにしてくれるため、理解しやすい画像になりますね。
また背景の空が白飛びすることなく、淡い青色が表現されています。

いろいろな屋外での撮影をしていて、被写体の後ろの空がきれいに映り込む印象はあります。

気になるところ

それじゃあ、上記のようなHDRの画像でオッケーか?ということになると、オッケーじゃないのですよね。
長い間、普通のデジカメの写真や、フィルムの写真を見てきているから、それらの画像が「自然」に感じていて、HDRの画像が「不自然」に感じるのです。
従来の写真は、実物とは違う見え方になるのが当たり前でした。そのような、実物と違うのが「自然」な写真だと感じていたのですね。

明暗の差

HDRは明暗の差が少なく見えるのですが、そのことがベタッとした印象を感じさせるのだと思います。「絵」のような感じなるといいますか。
最近、アニメ風の写真が流行っていますが、HDRの「絵のような感じ」はアニメ風写真には向いていると思うし、効果的だと思います。

しかし純粋に写真だと思ってみると、ベタッとして透明感がやや薄れる感じが気になるのですね。

ノイズっぽさ

暗い部分にノイズが乗ったようなザラついた画像になるのが気になります。
これは全体に光が回っているような被写体の場合は気になりませんが、露出不足のようになっている部分では、気になるのですね。

上記の3つの画像ではそれほど分からないですが、もっと顕著にザラつくようなシーンがあるのです。

デュアル露出補正が不安定

これは Google Pixel に限った話ですが、ハイライト・シャドウのスライダを調整したときに、画像が極端に白っぽくなってしまって、元に戻らない場合があるのです。
まだ画像処理が十分に調整されていないか、バグがあるのか不明ですが、スライダを上下目一杯に動かしてHDRが無い状態にすることが、現実的にできない場合があるようです。

その他

最近のスマホにいえることですが、輪郭強調処理がややオーバーな気がします。画像が精細に感じられるようにしているのだと思いますが、それが非常に気になる場合があります。

木々の葉っぱや、満開の桜など、細やかな濃淡・色合いの変化があるようなシーンで、全体に滑らかさがなくなるのです。
これも感覚でいえば「ザラザラ」ですね。木々がザラザラになるのです。

スマホの機種によって、これが顕著に出るものがあって、遠目の桜などは見れたものじゃなくなる場合があります。

まとめ

というわけで、経験上の感覚なのかもしれませんが、HDRの画像はやはり不自然さを感じて、それがとてもモヤモヤするのですね。
だからここぞというときには、デジタル一眼を持ち出したいのです。

今後、スマホはAI化していくのでしょう。
HDRに関しても、今のようなノイズ感がなくなればもう少し、安心して見られる画像になるのかもしれません。
ただ、明暗の差が少ないということはドラマチックさがなくなる方向のため、表現としての写真を考えた場合に、永遠に相容れないものはあるのだと思います。

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