〈せつなさ〉と〈しょうもなさ〉
鳥の鳴き声で目を覚まし、朝露に濡れた草を踏みわけ、トマトをもいで食べ、いつも聴くアルバムのピアノ7音に心を沈ませ、そして師に挨拶する。空を見ては天気を憂慮し、烏(カラス)の群れ鳴けば不幸に心が痛み、大酒を交わしながら縁を紡ぐ。一日酷使された腕は痺れながら、冷える夜に歓喜する。乾いた身体に「のどごし生」が染み渡り、机に置いたコップを見れば金の泡が一列になって浮遊する。夢を見ているようだけど、叱咤激励を受けるたびに目が覚めて、気を引き締める。そうして虫の音を聞きながら夜は更け。街