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人が会社でどれだけ猫をかぶっているかって話

皆さんは転職経験者ですか?経験者ならそれまで勤めていた会社を退職する時、どのような理由を述べたでしょうか。すんなりと次の転職先が見つかって、さわやか円満に退社出来たと言う人はラッキーです。多くの場合は、人間関係の不満や労働環境の悪さから退職を決めるものの、会社に退職を申し出る時は、体のいい理由を言うというパターンだと思います。今回はあまりにも表の顔と裏の顔が違った退職理由についてお話します。

先日入社してから数か月の新入社員枠の男性の退職挨拶メールが、うちの教室にも送られてきました。その人は最初の所属はうちの教室であり、1か月勤務したそうです。その後なぜか突然隣の教室に配属変えとなりました。どちらもとても忙しい教室です。新婚さんで、まだ子供が生まれたばかりと聞いていました。その人と良く話すという、うちの教室の同じく新人社員枠の人(勤務約1年)から、その男性は「子供が生まれたばかりなのに、塾で夜遅い時間帯の勤務で悩んでいる。」と言っていることを聞きました。

その男性の退職理由に関して、うちの教室長である上司は偶然退職前にその人が異動となった教室に行く用事があり、話せたそうです。上司から聞いた退職理由はこうです。「もうどうしようもない状況、プライベートなことだからはっきり言えないけれど、お子さんが明日にでも死ぬような状況。」というのが直接の理由でした。さすがに「死ぬ」という言葉まで出てどんな状況なんだとまさに喉をゴクリと鳴らしたくなる話です。

彼は前職はフリーランスで、IT系の仕事をしていたそうです。今回家族を養うためにも、正社員の仕事をしよう、ということで転職したそうです。今回辞めざるを得なくなったことに対して、上司に「せっかく正社員の仕事に就けたのに。組織人として勤めてみると、会社勤務というのはこんなにも守られているものなんだ。」と感じたそうで、本当はずっと長く働きたいと思っていると伝えたそうな。つまり本人の意思に反する、涙ながらの退職というわけです。

ただすでに仲のいい人から伝え聞いた「勤務時間帯への不満」はこの話にはないので、なんか変だなと感じながら聞きました。この話を上司が私にしたのは、当然私が辞めるかもしれないと突然言い出したことから、牽制の意味でしょう。

この話を教えてくれた人にすると「この前話す機会があったけれど、全然違います。一番の理由は給与に不満があったからだそう。転職先は経験のあるIT系で、今より給料が15万(!)も上がり、更に仕事もうちの会社より程よく楽。」とのこと。夜が遅いのは塾という業界だからで、当然一般的な9時17時とかの勤務時間になったのも想像出来ます。これにはもう驚きました。

私も会社行事でその人とあいさつを交わしたことがあるのですが、純朴そうな、とても真面目そうな、どちらかと言うと大人しそうな男性でした。外見と少しだけ交わした言葉からは、とても表と裏でここまで違う人物を演じていたのは信じられません。私もこれまで会社を退職する際には、さんざん親の病気だの介護だの、また自分の病気も尾ひれをつけて来たりもしました。しかしさすがに「自分の子どもが死にそう」とかはいくらなんでもすごすぎませんかね。

子供を産んだことがない、物理的に産めない(年齢じゃなくて病気の絡みで)、産みたいと思ったことがない私からしても、親なら「死にそうなんです」とか言えそうですが(?)、子供にはそれは言ってはいけない気がするのですが、どうなんでしょう。そこは個人によって違うからまあいいとしても、とにかくまさにおとなしそうな人が、赤ずきんちゃんの狼ばりの腹黒さだったのに驚いたという話です。

その男性の年齢は30代に見えましたが、上司いわく、理由が理由だから退職したけど、年齢的に転職先を探すのは大変だろうと言っているので、30代後半でしょうか。私と上司は同世代である40代です。40代は仕方ないかもしれませんが、副教室長が30代後半ですが、その人に対しても転職は難しい年齢だと言います。上司自身転職経験あるのに、そこまですぐに転職先は見つからないと決めつけるのもどうかなと思います。

とにかく超絶猫かぶりな北島マヤもびっくりな演技力を見せた男性が、給料が15万も上がり、仕事内容、条件が良くなる転職をしたというのは、すごい話です。そしてこの話を教えてくれた新人枠の人も今月で退職します。私もこの新人がすぐ辞めるブーム?に乗るかどうかは、まだ考え中ですが、この男性の前例が出来たことである意味ラッキーだと感じています。教育業界はやはり4月になり生徒を担当するようになると、辞めにくくなるからです。それもあり、上司にどうするか決めるように言われています。

将来を考えると、この会社でずっと定年まで勤めることはないし、無理だと思っています。塾は本当に体力が落ちてくる40代50代になると、若い頃よりきつくなります。やはり夜遅くに終わる仕事というのは、疲労度が段違いですから。そして更に私が退職検討をしている理由の一つは副業禁止ということもあります。

私は過去に正社員じゃなくて生活費が足りないから、という理由で、フルタイム派遣社員、塾講師と家庭教師、在宅の仕事1つか2つ、と多いときだと5つ副業というか複業をしていたことがあります。当時はこれが正社員なら一つだけで済むのにと思っていたものです。でも2020年3月現在なら、この複業の方がいいのかもしれません。今回のパンデミックでやっと日本もテレワークが広まりそうですし、働き方改革というのが本当の意味で進みだした一方で、このパニックで潰れる企業も出てくるなど正社員が安泰という状況は更に少なくなってきたと思います。これまでも正社員勤務してても、長く続きませんでした。結局私は給与の高さや安定よりも、自分の特性を生かして働けないと無理というのを改めて自覚しました。

この記事でも前記事でも「退職に迷っている」と書いていますが、理由は単にまだ転職先が決まっていない、生活費をどうしようというお金の問題のみです。そこが解決したら、いやしなくてもまあほとんど私の気持ちは決まっています。これまでは私の持つHSSの衝動性もあり、すぐに退職して来ました。ただ失業保険がすぐに出る条件ではありました。今回はその技は使えません。それでも近いうちに、私も猫かぶり男性に続いての演技を見せることになるかもしれません。




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りおん@キャリアコーチ&講師
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