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各法令等での文書保存期間 

輸出管理に関する記録に限らず、業務上の書類群は一定期間保管します。
会社・団体では書類毎または業務毎に保管期間を規程などで定めているかと思います。業務単位で保管期限を定める場合、もっとも長い保管期限を採用することになります。
安全保障輸出管理関連の法令などで示されている保管期限を拾ってみました。

日本 経済産業省 輸出者等概要・自己管理チェックリスト(CL)

輸出関連書類等が貨物の輸出又は技術の提供後7年以上(注)保存されるよう定められているか。
(注)ただし、輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号)別表第1、外国為替令(昭和55年政令第260号)別表それぞれの5の項から16の項までの中欄に掲げる貨物又は技術については、貨物の輸出又は技術の提供時から5年以上

日本 経済産業省 外為法 安全保障貿易管理ガイダンス[入門編]

第二版

・貨物の輸出又は技術の提供日から武器及び大量破壊兵器等関連
 (輸出令別表第1及び外為令別表の1項~4項)のものは、
 少なくとも7年間
・通常兵器関連等(輸出令別表第1及び外為令別表の5項~16項)
 のものは、少なくとも5年間

※採用時の誓約書等、従業員等の特定類型該当性を確認した記録については、該当の有無にかかわらず、これら従業員等への規制技術の提供が見込まれる期間は適切に保存することが望ましい。

日本 税関 帳簿書類の保存

(1) 帳簿
(記載事項)
品名、数量、価格、仕向人の氏名(名称)、輸出許可年月日、許可書の番号を記載(必要事項が網羅されている既存帳簿、仕入書等に必要項目を追記したものでも可)
(保存期間)
5年間(輸出許可の日の翌日から起算)

(2) 書類
(書類の内容)
輸出許可貨物の契約書、仕入書、包装明細書、価格表、製造者又は売渡人の作成した仕出人との間の取引についての書類、その他税関長に対して輸出の許可に関する申告の内容を明らかにすることができる書類

(保存期間)
5年間(輸出許可の日の翌日から起算)

(3) 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存
(電磁的記録の内容)
電子取引(いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メール等により取引情報を授受する取引)を行った場合における当該電子取引の取引情報(貨物の取引に関して授受する契約書、仕入書等に通常記載される事項)
(保存期間)
5年間(輸出許可の日の翌日から起算)

米国 商務省BIS EAR 15 C.F.R. § 762.6 Period of retention.

(a) Five year retention period. All records required to be kept by the EAR must be retained for five years from the latest of the following times:

(1) The export from the United States of the item involved in the transaction to which the records pertain or the provision of financing, transporting or other service for or on behalf of end-users of proliferation concern as described in §§ 736.2(b)(7) and 744.6 of the EAR ;

(2) Any known reexport, transfer (in-country), transshipment, or diversion of such item;

(3) Any other termination of the transaction, whether formally in writing or by any other means; or

(4) In the case of records of pertaining to transactions involving restrictive trade practices or boycotts described in part 760 of the EAR , the date the regulated person receives the boycott-related request or requirement.

安全保障貿易情報センター作成モデルCP

規制貨物等の輸出等に係る文書又は記録媒体を、貨物が輸出された日又は技術が提供された日から起算して、少なくとも7年間は保管する。

<注1>
文書又は記録媒体を起算日から、少なくとも7年間保管と規定しているのは、核兵器等関連貨物、技術の無許可輸出及び無許可取引の罰則が、外為法第69条の6第2項により、10年以下の懲役と規定されていることから、その時効期間が7年になるため。また、包括許可取扱要領Ⅱ4(1)②で定める「返送に係る輸出」、同Ⅱ4(2)②で定める「返送に係る技術の提供」のために特別一般包括許可を使用する輸出者等は、返送関連資料を一律7年間保存することが求められている。(包括許可取扱要領(別表3)許可条件の適用(7)、(別表4)許可条件の適用(4))なお、核兵器等関連貨物、技術を取り扱わず、返送のために特別一般包括許可を使用しない企業は、少なくとも5年間保管と規定しても良い。

米国 財務省OFAC 31 C.F.R. § 501.601. Records and recordkeeping requirements.

Except as otherwise provided, every person engaging in any transaction subject to the provisions of this chapter shall keep a full and accurate record of each such transaction engaged in, regardless of whether such transaction is effected pursuant to license or otherwise, and such record shall be available for examination for at least 5 years after the date of such transaction. Except as otherwise provided, every person holding property blocked pursuant to the provisions of this chapter or funds transfers retained pursuant to § 596.504(b) of this chapter shall keep a full and accurate record of such property, and such record shall be available for examination for the period of time that such property is blocked and for at least 5 years after the date such property is unblocked.

企業・団体は?

To match the new statute of limitations period, OFAC anticipates publishing an interim final rule, with an opportunity to provide comment, extending from five years to 10 years the recordkeeping requirements codified at 31 C.F.R. § 501.601. OFAC anticipates that a 10-year recordkeeping requirement would become effective six months after publication of the interim final rule.

最終規則が公表されてから6か月後に有効になると記載されています。
元になる法律は2024年4月24日に成立しており、2024年4月24日から5年前の2019年4月24日の取引以降は保管期間を10年に変えることになるのではないでしょうか。

最終的に、実施は各企業・団体の判断になります。

・米国法に関係するものは保管期限を10年、それ以外は7年にする。
・一律に10年にする。

規程を変えるのは大変です。
CPとして経済産業省に提出している会社・団体は、再提出sることになります。その前に社内手続きも大変なはずです。かなり上の人の決裁をとる必要があります。
期限は規程に記載せず、別紙を参照とするという方法であればいいですが、そんなに変わる数字ではないのでCPに記載している会社・団体が多いでしょう。うまくできないでしょうか。

ITシステムで保管期間を入力して、削除処理をシステム任せにしている場合、保管期間を変えるのを忘れないようにしましょう。ITシステムは決められた通り動きます。

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