19 "初めての"温泉
ホテルの部屋についた。ダブルベッドが2つの4人部屋だ。
康太「うわ〜い、ベッドベッド〜。」
雅也「子供じゃねえか。(笑)」
俊「寝っ転がりたいけど、すぐ夜ごはんだからねー。」
荷物だけ置いて、レストランに集まった。バイキングだ。大きなテーブルにグルっと一周、美味しそうな料理が並べられている。
雅也「うおお、美味そー!」
康太「よ〜し、食べまくるぞ〜。」
バイキングの時間はさっきみたいにハラハラする要素もなく、穏やかに過ごせた。
食後。俺が一番不安に思っていた時間が来た。
お風呂だ。
おいおい。ゲイしかいない風呂なんか絶対ヤバいじゃねえか。なんかあったらどうしよ…。
そう思いながら風呂場に向かうと、のれんが2つあり、男女で分かれていた。
ああ、この世界でもそこは性別で分けるんだ。まあ、出来るだけ元の世界と同じになるようになってるしな。
脱衣所に入るとき、俺はとても怖かった。中で何か露骨なことをされたらどうすればいいのか。魔境のような空間なのかもしれないと思っていた。
だが、脱衣所に入ってすぐ、それは杞憂だったとすぐ分かった。別に周りのみんなを見渡しても、普通に喋ってただ楽しそうにしていた。
全部脱いでいざ中に入ってみても、ヤバいことをしてるやつがいないどころか、元の世界と何も変わらない雰囲気だった。
…あれ?別に普通じゃん。なんかもっとジロジロ見られたり何とも言えない空気が流れてるのかと思ってたけど。
周りをキョロキョロ見渡して安全かを確認していると、俊が話しかけてきた。
俊「あんまキョロキョロすんなよ。そういう場所じゃないだろ、温泉は。勘違いされるぞ。」
一輝「え?」
俊「一輝、温泉で人の裸見て興奮するタイプか?もうそういうの、中学までで卒業しようぜ。」
あ、いや、そういうつもりで周り見てたんじゃないんだけど…
俊「近くに好きな人でもいんの?それなら裸見たいって気持ちも分かるけどさ。」
一輝「いや、そういうわけじゃ…。」
俊「まあ俺も小5のときに行った林間学校で初めて学校の友達とお風呂入ったときは緊張したなぁ。けど俺らもう高校生だし、慣れてるだろ?」
ああ、そうか。周りを見てるとこんな風に勘違いされるんだな。まあお風呂も心配はないみたいだし、周りは出来るだけ見ないようにしよう。別に俺は見たいわけでもないしな。
一輝「…そうだな、気を付けるよ。」
俊「気になる人がいても、チラッとアソコ見るぐらいにしとこうぜ。(笑)」
いや、見るんかい!
心の中でツッコんだ。