【薬剤師に相談】妊娠中で有益性投与の薬を出されましたが本当に大丈夫ですか?

【ご相談内容】

酷い咳と痰で呼吸器内科にかかってお薬を処方されました。
妊娠中でも大丈夫とは言われたのですが、自分でも調べてみて不安になりました。吸入薬の説明書には、無水エタノールを使っているのでアルコールに弱い人は注意するよう書かれていて、胎児へのアルコールの影響も心配です。特にカルボシステインは妊婦に投与しない方が望ましいと書いてあり、飲むのに躊躇われます。吸入薬は、治療上の有益性が危険性を上回る時に投与ともありましたので、産科の先生に相談した方が良いのでしょうか?

処方されたお薬
・アモキシシリンカプセル250mg「トーワ」 
・メジコン錠15mg 
・トラネキサム酸錠250mg「YD」 
・SPトローチ明治0.25mg 
・フルティフォーム125エアゾール(120吸入) 
・カルボシステイン錠250mg
 

【回答内容】

お咳が酷いとのこと、ご体調は大丈夫でしょうか? アルコールご不安になってしまいますよね。。。まず、吸入薬は全身作用を目的としたものではなく、局所作用を目的にしておりますのでご安心下さいませ。妊娠時のアルコールに関して指摘されているのは飲酒により全身作用を示すからです。

またカルボシステインに関しても添付文書上はご相談者様のおっしゃる通り、投与しない事が望ましいと記載がございますが、最新版の妊娠向けの専門書には有害事象を生じた報告はなく、妊娠には影響しない可能性が高いとの記載がございます。 また産婦人科医へのご相談でございますが、飲んでいらっしゃるお薬やサプリメントに関しては主治医も把握していただいた方が良いと考えますで一度ご連絡はするようにお願いします。

今後もお薬やサプリメントを使用する際は是非ご報告はお願いします。 国の方でもあらゆる策を投じて副作用等の情報収集を行っておりますが、それでも限界があり、断言できないものに関しては「投与しない事が望ましい」「有益性投与」などの形で記載されています。医療において問題があっては絶対にいけませんが、このような不安を煽るような書き方をする背景の一つとして、万が一何かあった際に国が責任を逃れようとしている事があげられます。

今回のケースの場合、医師もご妊娠をご理解された上でご相談者様に最適なお薬を出されております。全てのお薬にはほぼ必ずと言っていいほど、副作用のリスクが付いて回り、医師は薬による、メリット・デメリットを天秤にかけ慎重に処方を行っております。 特に妊婦様の場合はお母様が元気でないと、お腹の赤ちゃんにも影響してしまう為、その点も踏まえてお薬を出しております。薬によるリスクを100%否定できないが、ご相談者様のご体調が優れない状況が続く事は、薬を使用しない方がより赤ちゃんに負担が掛かってしまうという事を医学的に判断された形になります。

先ほどのカルボシステインも国は副作用に関するデータ不足から添付文章のような記載になっておりますが、現場のエビデンスでは有害事象の報告はない為、薬剤師である私も服用が必要であれば使用した方が良いと薬学的観点から考えられます。 医療は不完全な状態で、ご相談者様をはじめ患者様は常に不安が付きまとうかもしれません。もし不安感があまりにも強すぎる場合は逆に健康的にも良くないので、そのような点も是非、医師にご相談されてみる事をおすすめします。そちらを汲み取った上で処方してくれると思います。医師にご相談しにくいこと、相談内容で迷っていること等ありましたら、勿論私にもお気軽にご相談下さいませ。

~お薬解説~

■抗生剤に関して
ご相談者様のお薬に「アモキシシリン」という抗生剤が出てきました。抗生剤はとても素晴らしいお薬なのですが、多くの患者様がその正しい使用方法をご存知でない方が沢山いらっしゃるので、今回は抗生剤に焦点を当てて説明をしたいと思います。

私が薬局で勤務していた際に、ある患者様から「俺はこんに咳が出て、風邪が酷いのに抗生剤を出してもらえない。だから先生に頼んで抗生剤を出してもらえないか?」というお話をいただきました。

確かに抗生剤はどんなに酷い風邪でも治してくれるようなスーパーマン的な印象があるかもしれません。しかし、この考え方は直さないといけません。理由として、抗生剤が効果を示すのは細菌であり、ウィルスには効果がありません。そして私たちが「風邪を引いた」という原因の多くは細菌ではなく、ウィルスによるケースが殆どです。

どんなに強い抗生剤を飲んでもウィルスには効果を示さないので、体にはメリットが一つもなく、逆に腸内の常在菌を抗生剤が破壊してしまい、腸内環境が乱れるなどのデメリットしか得られません。またウィルスに効果を示す薬はインフルでよく使用するタミフルなどの一部の薬しか存在しない為、多くの風邪では咳などを抑える薬を対処療法として使用しながら、免疫力を上げる以外に治療方法がないのが現状です。

今回、アモキシシリンというお薬が出ておりますが、これは恐らく副鼻腔炎という症状を併発している事から医師が出されたものと考えられ、決して風邪の原因であるウィルスを破壊する為に処方されたものではないと言えます。

■風邪を引いたらすること
風邪を引いた際は以下の4点を実施するようにお願いします
①休息を十分に摂るようにして下さい。症状が重く、寝る事もしんどいかもしれませんが、少しでも休める環境を作るようにして下さい。

②十分な栄養を摂るようにして下さい。固形物を摂るのが難しい際はユンケル等の栄養ドリンクでも大丈夫なので無理ない範囲で摂るようにして下さい。

③総合感冒薬は基本使わないようにして下さい。ドラッグストアに行きますと、パッケージのインパクトに釣られて、つい効果がありそうな派手なパッケージの商品に手を出してしまう患者様が大変多くいらっしゃいます。しかし、総合感冒薬は基本、全ての症状に対して効果のある成分が入っているケースは多いものの、成分量が少なく効果の実感が薄い可能性が高いです。またそれにより症状が軽減されず、体力的にも精神的にもダウンしてしまいます。

④市販薬を使用して3~4日しても改善の傾向が見られない、若しくは悪化しているようであれば早めに受診してください。医師が出しているお薬は基本、市販薬の成分を強化した商品になる為、症状が重い時は大変効果的です。また副鼻腔炎などの免疫力低下により感染症を起こしているケースもあります。お仕事もあり受診が難しいケースも多々あると思いますが無理しないようにお願いします。

■まとめ
薬剤師という仕事をしていると沢山の患者様にお会いします。そして多くの方に共通している事は「早く元気になり、いつものパフォーマンスを取り戻したい」という事です。市場には色んなお薬やサプリメント、そして情報が溢れており、悩まれる事も沢山あると思います。

そのような際はお気軽にBELTA専門家薬剤師までご相談下さいませ。お体の状況を丁寧にヒアリングし、ご相談者様に一番適した対応方法を一緒に考えていくことが可能です。

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