ブリーフのパンツ
生まれてからずっと、ブリーフのパンツを履いていた。
今の時代は、ブリーフでも柄のついたものなどもあるが、私が履いていたものは真っ白のブリーフだった。
家族の中で唯一の男の父も、白のブリーフのパンツを履いていた。
あまりしっかり見たことはないが、学校の水泳の授業などで着替える時に見た友達のパンツも白いブリーフだったし、水泳教室でみた他人のパンツも白いブリーフだった。
だから「パンツ」といえば「白いブリーフ」しか考えられなかった。
中学校1年生の時、クラスの近くの席に大石君という友達がいた。
大石君は背は小さめだがイケメンで、サッカーをしている。
インドネシアだかマレーシアだかシンガポールだか忘れてしまったが、外国の小学校に行っていて、中学校から日本に帰ってきた。
女の子たちからも人気があったような記憶がある。
その大石君が、履いているパンツがトランクスのパンツだった。
どういう経緯だったか忘れてしまったが、教室で大石君が履いているトランクスのパンツを見せてもらった。大石君の履いているパンツを見て、すぐ「欲しい」と思った。白色じゃないパンツ。そして股間や太ももにピッチリ張り付いていないあの様子、はじめて見るパンツの形に何か「未知の世界に行ける」「大人になれる」そんな期待感が沸いた。
その週の休日、買い物に行きレジに待ち中、ちょうどトランクスのパンツを見つけた!あの大石君が履いていたようなトランクスのパンツ。その場で早速母に「このパンツがほしい」と言ったが、「そうなの?こういうの欲しいの?」という会話は少ししたが、スルーされてしまった。母は保守派で「そんなパンツ履いてる人なんか見たことないから買わないよ」なのか、それとも「母にとっても未知のもの」だったのか、反応は薄かった。そしてもちろん購入なんていう話にもならず、しばらくして、私の中でのトランクスパンツブームは去った。
そこから半年くらいたった秋頃、体育の授業の始まる前か、終わってからか・・・忘れてしまったが、友達に背後から突然「ズボンを落とし」をされた。その瞬間、きれいにズボンが降り、白いブリーフが晒された。
近くにいた元気系の女の子が
「たかしブリーフじゃん」
「白いパンツとか、かわいぃ~」
「お子ちゃまパンツじゃん」
そう言いながら一斉に笑った。
本当に恥ずかしかった。他人にパンツを見られる、それもクラスメイトの女の子。
やっぱり白いブリーフなんて履いてちゃダメじゃん。「もう絶対にブリーフは卒業したい」そう思った。
時を同じくして、母がトランクスのパンツを買ってきてくれた。
そして翌日から早速履き始めた。
ブリーフと違って、股間の締め付け感が無いのがよかった。
そしてもう一つ履いてみて、股間の風通しが良い。体育の授業などで短パンなどを履いていると、何か股間がスース―する。
そう、これが大人の感覚なんだ。大人になったんだ。
トランクスのパンツが、大人感覚を高めてくれた。