上司も部下も意識すべき、職場における心理的安全とは
オンラインが普及していますが、働き方が変わっただけで、組織での仕事や上司と部下の関係は変わりません。上司の一つの仕事は部下が働きやすい環境を作ってあげることです。部下が100%の力を出せればチームの成果は上がっていきます。一方で、部下が上司に話をしづらいという環境ですと、部下は持っている力を中々出せないですよね。いい職場環境を作るために、Amy Galloさんが書いた、What Is Psychological Safety? は、心理的安全に関して教えてくれましたので、紹介したいと思います。
心理的安全って何?
悪いニュースを上司に報告できますか?もし怒られるかもしれないと思っていたら、中々報告できないものです。でも、一方で、上司は怒るのではなく、解決策を教えてくれると思っていれば、報告しやすくなると思います。もし、今の職場でそれぞれのメンバーが悪い報告を躊躇なくしているのであれば、心理的安全がある環境だと言えると思います。
あるレポートの調査で、病院内のチームワークの研究が行われました。その中で、よい関係を作っているチームの方が失敗の報告が多かったと言います。チームワークがよいのに、失敗の報告が多いのは矛盾があるように思います。しかし、これはよい関係のチームが間違いをすぐに報告していたためでした。つまり、心理的安全が確保されているため、メンバーがなんでも報告しやすかったようです。心理的安全が保たれていないチームは、悪いニュースは隠し報告しないこともあるようです。悪いニュースが現場から出てこないことは、企業は大きなリスクを抱えることとなります。
なぜ心理的安全は重要なの?
心理的安全が重要な理由は3つあります。
1つ目は、チームメンバーがよりチームに貢献しようと思うようになり、高いモチベーションを持って仕事に取り組みます。メンバーは、自分がチームに貢献できていると思い、失敗も恐れずに報告できます。
2つ目は、メンバーが意見を自由に言えることで、多様な提案や懸念が伝わっていきます。正確な情報を現場から得ることで、リーダーは、より的確な意思決定を下すことができます。
3つめは、チームメンバーが失敗を共有することで、組織が学びを継続し改善することができるため、強い組織を作ることができます。
Googleで組織の効率的運営について研究がなされた際に、心理的安全が最も重要なファクターでした。反対に、心理的安全が確保されていない組織では、ネガティブな感情が芽生え、ストレスによる休職や離職に繋がります。
チームの心理的安全の測り方
7つの項目が心理的安全を測る指標となります。ただ、メンバーの基準も異なり、絶対的なスコアリングは難しいです。ただ、メンバー間が感じる各項目のばらつきを見てチームでの改善ポイントを考えることは重要です。
チームでミスをしたとしても、不利になることはない
チームメンバーは問題や困難な問題を提起できる
チームは異なる意見を受け入れることができる
チームでリスクをとって挑戦することが推奨される
チームメンバーに助けを求めることは難しくない
チームは自分の努力を無駄にすることはない
チームで働くことで、才能や経験を活かすことができる
どのように心理的安全を作るのか?
心理的安全はチームで一緒に作り上げるものです。マネージャー単独で与えられるものではありません。マネージャーはチームにおける組織の規範と期待を明確にすることで、メンバーが感じる不公平感などを和らげることができます。しかし、チーム全体で心理的安全は作っていくものです。例えば、オープンコミュニケーションや積極的な意見を聞くことで、メンバーがサポートされていると感じることができます。そして、メンバーの意見に感謝を示し、謙虚に受け入れることが重要です。そのほかにも、自分の誤りを認めたり、積極的に意見を取り入れたりする方法があります。一方で、難しい点は、親切であることが心理的安全を作るとは限らないことです。
考察
上司に率直に意見を言えるだろうか?もし言えるのならば、ある程度の心理的安全を保てていると思います。少し振り返ると、昭和の上司は、厳しくすることが上司の姿と思っている人がいるかもしれません。飲みにケーションで、部下の意見を聞く場ともいわれていて、それは心理的安全を作ることに効果があったのかもしれません。今は、在宅勤務が当たり前になり、仕事の後の飲み会も減り、飲みにケーションの機会が減っています。昔のスタイルのままだと心理的安全を作ることができず、全く報告が上がってこないなどの状況に陥ってしまうかもしれません。その分、昭和のスタイルの厳しい部分だけ残しても上手くいかないので、仕事の中でいかに心理的安全を作り出せるか一度考えてみることが大切です。上司はもちろん、部下も考え一緒に心理的安全が重要という認識を共有することが第一歩です。まずは、文中にあげた7つの指標で自分のチームを見つめなおし、チームメンバーの意見を聞き、意見を交わすことで心理的安全を作ることを心がけていきたいです。
参考
What Is Psychological Safety?
https://hbr.org/2023/02/what-is-psychological-safety
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