ハゲタカジャーナル
まあ、世間にはインパクトファクターゼロの商業誌もいっぱいあって、問題になってますよね。
おっしゃる通り、インパクトファクターがゼロまたは非常に低い商業誌が多く存在し、学術界で大きな問題になっています。これらの雑誌は「ハゲタカジャーナル(Predatory Journals)」と呼ばれることもあります。
インパクトファクターゼロの商業誌の特徴と問題点
1. 査読プロセスが存在しない、または形骸化
これらの雑誌は、論文を査読なしで受け入れる、または査読が非常に形式的であることが多いです。
質の低い、または不正確な研究がそのまま掲載されるため、科学的信頼性が欠如しています。
2. 著者からの掲載料が収益源
**論文掲載料(APC: Article Processing Charge)**が高額である一方、内容の質は問われません。
学術誌というよりは、著者からの収益を目的とした「商業誌」に近い運営スタイルです。
3. インパクトファクターを持たない
信頼性の高い学術データベース(例:ClarivateのJournal Citation Reports)に登録されていないため、インパクトファクターがゼロのままです。
Google Scholarや自社プラットフォームにのみ論文を掲載している場合もあります。
4. 学術界の混乱を招く
質の低い論文が増えることで、本当に信頼できる研究との区別が難しくなる。
一部の研究者が「業績数を増やす」ためにこれらの雑誌を利用することで、学術界の評価システム自体が歪むリスクがあります。
代表的な問題点
「ハゲタカジャーナル」の急増
インターネットの普及に伴い、オンラインで簡単に発行できる学術誌が増加。
学術誌の体裁を持ちながら、質の低い内容をそのまま掲載する「ハゲタカジャーナル」が広がっています。
若手研究者のターゲット
学術誌の評価基準に詳しくない若手研究者が「論文を早く発表したい」というプレッシャーの中で、これらの商業誌に引き込まれることがあります。
大学や機関の評価に悪影響
論文の掲載数を重視する評価制度では、これらの雑誌を利用する研究者が一時的に有利になる可能性があり、不公平が生じます。
解決のための取り組み
信頼できるデータベースを利用
論文投稿時には、インパクトファクターのある雑誌や、ScopusやPubMedなどの信頼できるデータベースに登録されている雑誌を選ぶことが推奨されます。
査読プロセスの透明性
質の高い学術誌は、査読のプロセスや基準を公開しており、不正や誤りが発生した場合の対応も明確です。
教育の強化
若手研究者に対して、ハゲタカジャーナルの危険性や信頼性の高い学術誌の選び方を指導するプログラムの強化が求められています。
まとめ
インパクトファクターゼロの商業誌の存在は、学術界の信頼性に深刻な影響を与えています。これらの雑誌の利用を避けるためには、研究者自身が学術誌の信頼性を慎重に見極めることが重要です。また、学術界全体としても、査読プロセスの透明化や評価基準の見直しを進めることで、信頼性の高い研究環境を保つ努力が必要です。
連名で名前が乗ったら、経歴の調査が来た雑誌もありました。
そうですね。連名で名前が掲載された場合でも、その論文や雑誌の信頼性が疑問視されると、研究者個人に対して調査が及ぶケースがあります。特に、近年の学術界では不正論文やハゲタカジャーナルが増加したため、経歴や研究活動に関する信頼性が厳しく精査される傾向が強まっています。
経歴調査が行われる背景
ハゲタカジャーナルへの寄稿疑惑
ハゲタカジャーナルに論文が掲載されると、共著者全員の研究倫理や学術的な信頼性が疑われる可能性があります。
特に有名大学や研究機関に所属している場合、研究機関全体の信頼性を守るため、調査が行われることがあります。
論文不正の疑い
過去には、データの捏造や改ざんが問題となった論文に連名で掲載された共著者に対し、「不正に関与していたのではないか」という調査が行われたケースがあります。
たとえ主要な執筆者ではなくても、研究不正が発覚すると連名者全員が調査対象になることがあります。
査読プロセスの不備
問題のある雑誌が、質の低い査読プロセスや不適切な出版を行っていた場合、連名者にその雑誌を選んだ理由や背景について質問が及ぶことがあります。
具体例
1. STAP細胞事件
STAP細胞論文では、主著者だけでなく、共著者である若山照彦氏やチャールズ・ヴァカンティ氏にも調査が行われました。
共著者としてどこまで研究内容を把握していたかが問題視され、責任の所在が問われました。
2. ハゲタカジャーナル問題
ある大学の研究者が、インパクトファクターゼロの雑誌に大量の論文を発表していたことが発覚し、所属大学が経歴の再調査を行ったケースがあります。
他の共著者にも「どのような経緯で連名されたか」を確認する調査が行われました。
3. 経歴詐称への警戒
一部の研究者が「高インパクトの雑誌に掲載された」と誤解を招くような形で業績を発表し、後に雑誌がハゲタカジャーナルだったことが発覚。
これが採用や昇進に影響した場合、関係者全員への経緯調査が行われることがあります。
調査の主な内容
論文執筆への関与度:
共著者としてどの部分を担当したか、どの程度の知識があったかが確認されます。
投稿先の選定理由:
なぜその雑誌を選んだのか、雑誌の信頼性についてどの程度理解していたか。
査読プロセスへの認識:
査読を経た論文であれば、査読結果やその内容をどのように確認したか。
経歴詐称の有無:
業績を誇張していないか、論文の掲載実績を不適切に利用していないか。
対策
研究者がこうした状況を避けるためには、以下のことが重要です:
投稿先の雑誌の信頼性を確認
インパクトファクターやScopus、PubMedなどのデータベースで登録されているかを確認する。
オープンアクセス誌の場合、**DOAJ(Directory of Open Access Journals)**などの信頼できるリストに登録されているかをチェック。
共同研究者との合意形成
共同執筆者全員で投稿先を慎重に検討し、雑誌の選定プロセスを透明にする。
共著者間で査読結果を共有し、不備がないか確認する。
論文内容の正確性を重視
自身の関与部分について、責任を持ってデータの正確性を確認する。
不正行為の疑いがある場合、適切な機関や責任者に報告する。
まとめ
インパクトファクターが低い、またはゼロの商業誌に関わることで、研究者のキャリアに予期せぬ影響が及ぶ可能性があります。特に、共同研究の連名者として名前が記載されていた場合でも、調査が及ぶケースがあるため、投稿先の選定や研究の透明性を確保することが極めて重要です。
今では、医薬品の申請において実施された治験の報告は論文化されなければならなかったため、いわゆる商業誌にお金を払って掲載することも多かったですが、現在は投稿の必要がなくなりましたね。
その通りです。以前は、医薬品申請において治験結果の論文化が事実上の慣例となっており、製薬会社が商業誌に費用を支払い掲載するケースが一般的でした。しかし、近年ではこのような「商業誌への投稿」が必須ではなくなり、より透明性の高い方法が採用されるようになっています。
以前の状況:治験結果の論文化と商業誌投稿
論文化の目的
医薬品申請の際、治験データの信頼性を示すために論文化が推奨されていました。
論文化された治験データは査読を経て公開されるため、規制当局(PMDA、FDA、EMAなど)にとっても信頼性が高いと見なされました。
商業誌への投稿の問題点
掲載料の高さ:
商業誌では論文を掲載するための費用(APC: Article Processing Charge)が高額であることが一般的でした。
製薬会社は費用を負担する一方で、必ずしも研究の内容に見合った信頼性が保証されるわけではありませんでした。
透明性の欠如:
特にインパクトファクターが低い雑誌や、質の低い商業誌への掲載が行われた場合、データの信頼性が疑問視されることがありました。
時間的制約:
投稿から掲載までに時間がかかり、医薬品申請プロセスが遅延する可能性がありました。
現在の状況:投稿の必要性が低下した理由
1. 治験データの登録・公開の義務化
多くの国や地域で、治験の実施状況や結果の登録が**治験登録データベース(例:ClinicalTrials.gov)**に義務付けられています。
治験結果は、商業誌に論文化しなくても、これらのデータベースを通じて直接公開されるため、規制当局や第三者がアクセス可能です。
2. 医薬品承認プロセスの効率化
論文として公開するよりも、規制当局への直接的なデータ提出が求められる傾向にあります。
データ提出フォーマットが標準化され(例:ICH E3やeCTD)、査読プロセスを経ずともデータの信頼性を示せる仕組みが整備されました。
3. 透明性の向上
商業誌を通じた論文化よりも、治験データの生データ公開が推奨されるようになりました。
これにより、研究者や規制当局が直接データを検証でき、透明性が向上しています。
4. 商業誌依存の回避
商業誌に掲載される治験データが、ポジティブな結果に偏る(ポジティブ結果バイアス)問題が指摘されてきました。
データベースを通じたすべての治験結果の公開により、ネガティブな結果も含めた包括的な情報が提供されるようになりました。
メリットと課題
メリット
コスト削減:
商業誌への高額な掲載料が不要になることで、企業の負担が軽減。
迅速な公開:
データベースへの登録や公開は、商業誌の査読・掲載よりも迅速。
透明性の向上:
データが偏ることなく、より包括的な治験結果を社会に提供できる。
課題
データの解釈:
生データがそのまま公開される場合、一般の医療従事者や研究者が結果を正確に解釈するのが難しいことがあります。
情報量の過多:
公開データの量が膨大になることで、必要な情報を的確に見つけるのが難しくなる可能性があります。
まとめ
現在、治験データの公開は商業誌への投稿に依存する必要がなくなり、治験登録データベースの利用や規制当局への直接提出が主流となっています。この変化は、コスト削減、透明性向上、承認プロセスの効率化に寄与しています。
ただし、論文化には治験結果を整理し、広く医療従事者や研究者に伝えるという重要な役割もあるため、データベース公開と並行して、質の高い学術論文としての発信も依然として重要視されています。
大昔、「基礎と臨床」という商業誌があって、困ったらとにかくお金を払って、特急で掲載してもらい、別刷を申請資料として添付しましたよ。
興味深いお話です。「基礎と臨床」のような商業誌が、かつては医薬品申請や研究成果発表の場として手軽に利用された背景には、当時の学術出版事情や規制の仕組みが影響していたと考えられます。
背景:商業誌の役割と「基礎と臨床」
1. 商業誌の利便性
医薬品申請や研究成果の発表が必要な際、以下の理由から商業誌が利用されました:
迅速な掲載:
一般の学術誌は査読に時間がかかりますが、商業誌ではお金を払えば特急で掲載してもらえる場合がありました。
申請資料としての体裁:
商業誌の別刷り(オフプリント)は体裁が整っており、申請資料として提出しやすかった。
論文化の必要性:
当時は治験データや基礎研究を正式な形で提出する際、「論文化」が形式的に重要視されていたため、どの雑誌に掲載されたかは二の次となることもありました。
2. 「基礎と臨床」の特徴
「基礎と臨床」は、基礎研究と臨床医学の橋渡しを目的としていた商業誌で、掲載のハードルが比較的低かったとされています。
製薬会社や研究者が、申請資料や業績作成のために頻繁に利用していたと考えられます。
3. 当時の査読と信頼性
一部の商業誌では、査読が形骸化していたか、そもそも査読が存在しなかった可能性があります。
内容の質よりも「迅速さ」や「形式的な掲載」が重視されていたため、信頼性の観点で問題視されることもありました。
問題点とその後の変化
1. 商業誌の信頼性への疑問
お金を払えば掲載可能な雑誌の存在は、特に医薬品申請の文脈においてデータの偏りや信頼性の低下を招きました。
批判として以下のような問題が挙げられました:
申請資料の質の低下:
特に、急いで作成された論文が科学的な検証不足のまま掲載される場合、申請の信頼性そのものが疑われるリスクがありました。
学術的価値の低下:
商業誌に頻繁に投稿する研究者や企業は、学術的評価が低下する可能性がありました。
2. 現代への影響:変化した基準
近年では、以下のような基準の変化が見られます:
治験登録の義務化:
ClinicalTrials.govのような治験登録データベースに結果を公開することで、商業誌への依存が減少しました。
査読プロセスの重視:
論文化が求められる場合でも、査読プロセスが透明で信頼性の高い学術誌が推奨されるようになりました。
オープンアクセスの普及:
高額な商業誌に依存せず、信頼性の高いオープンアクセスプラットフォームで結果を発表する選択肢が増えました。
まとめ
かつて「基礎と臨床」のような商業誌が、医薬品申請の現場で手軽に利用されていたのは、迅速性や形式的要件を満たすための実用的な手段としての役割を果たしていたからです。しかし、商業誌への依存は信頼性や学術的価値の問題を招き、現在では申請資料の作成方法や治験結果の公開プロセスがより透明化されました。
これにより、当時のような「とにかくお金を払って掲載」というスタイルは徐々に減少しつつありますが、その背景を振り返ることで、医薬品申請や学術出版の進化を理解する手助けとなります。
まだ、その雑誌はあるのでしょうかね?
「基礎と臨床」というタイトルの雑誌は、現在も存在しています。この雑誌は、ライフサイエンス出版から発行されており、医学文献検索サービス「メディカルオンライン」上で閲覧可能です。
また、CiNii(サイニィ)でも「基礎と臨床 : the clinical report」として情報が掲載されています。
ただし、最新の発行状況や内容については、これらの情報源を通じて直接確認することをおすすめします。
インパクトファクターはついていそうですか?
「基礎と臨床」は、ライフサイエンス出版から発行されている医学雑誌です。しかし、インパクトファクター(IF)は、Clarivate社が提供するJournal Citation Reports(JCR)に収録されている雑誌に対して算出される指標です。現時点で「基礎と臨床」がJCRに収録されているという情報は確認できません。したがって、「基礎と臨床」はインパクトファクターを持っていないと考えられます。
インパクトファクターは、雑誌の学術的影響力を示す一つの指標ですが、必ずしも雑誌の質や価値を完全に反映するものではありません。特に専門性の高い分野や新興分野の雑誌では、インパクトファクターが低い、または設定されていない場合でも、重要な研究成果が掲載されていることがあります。したがって、雑誌の評価に際しては、インパクトファクターだけでなく、掲載論文の内容や質、査読プロセスの厳格さなど、多角的な視点から判断することが重要です。
「基礎と臨床」が近年、ハゲタカジャーナル(Predatory Journal)に区分されるかもしれないという点については、以下の観点で検討できます:
ハゲタカジャーナルに該当する可能性の判断基準
ハゲタカジャーナルとみなされるかどうかは、以下の特徴があるかどうかで判断されます:
査読プロセスが不透明または存在しない
ハゲタカジャーナルでは、迅速に掲載される一方で、査読が形骸化していることが多いです。
「基礎と臨床」の査読プロセスの詳細が明らかでない場合、この疑いを持たれる可能性があります。
商業的動機が強い
高額な掲載料を徴収し、研究の質よりも収益を重視する運営姿勢が特徴です。
「基礎と臨床」が掲載料に依存する雑誌であるなら、批判を受ける可能性があります。
インパクトファクターがない
「基礎と臨床」にはインパクトファクターが付与されていないようです。この点は、学術的な影響力を疑われる一因になります。
データベースへの登録状況
信頼できる学術データベース(PubMed、Scopus、Web of Scienceなど)への登録がない場合、信頼性が低いと見なされがちです。
「基礎と臨床」がこれらのデータベースに登録されているかは不明です。
近年の動向
透明性への期待が増加
医薬品開発や臨床試験のデータ公開が義務化される中、商業誌に依存した形式的な発表は廃れつつあります。
「基礎と臨床」も、こうした変化に対応していない場合、研究者からの信頼を失う可能性があります。
ハゲタカジャーナルの増加
インターネットの普及により、質の低い雑誌が急増しているため、「基礎と臨床」もその一部とみなされるリスクがあります。
実際には長い歴史を持つ雑誌であっても、更新が遅れると批判を受けることがあります。
信頼性を確認するポイント
「基礎と臨床」がハゲタカジャーナルと見なされないためには、以下の基準を満たす必要があります:
査読プロセスの透明性を明確化する。
信頼できるデータベース(PubMed、Scopusなど)に登録される。
商業的動機よりも研究の質を優先する姿勢を示す。
定期的なアップデートや、現代の基準に即した運営方針を明らかにする。
まとめ
「基礎と臨床」が現時点でハゲタカジャーナルに該当するかどうかを判断するには、査読プロセスや掲載基準、データベース登録状況を詳しく確認する必要があります。しかし、インパクトファクターがないことや商業誌的性質を持つ点は、近年の基準ではハゲタカジャーナルと見なされるリスク要因となる可能性があります。