他人の楽譜の書き込みを見るのが好き
他人の楽譜を見るのが好き。音符じゃなくて何を書き込みしているのか。
その人の演奏中の頭の中を見ているような気がする。
「楽譜に書き込みなんてしちゃだめ!」って教える演奏家もいれば「やる気!根気!」みたいに熱いこと書く吹奏楽部員もいますね。
それから
「楽譜に書き込みするのは鉛筆しか使っちゃだめ!」っていう人もいます。主に言われる理由としてはシャーペンよりも鉛筆のほうが芯がやわらかく、楽譜に傷がつかないからです。プロのオーケストラ団員の方々は原譜(コピーしたものではなく、原本のこと)を使って演奏されていて、その公演が終われば楽譜を返却するのでなおさらそうなんだと思います。(私はプロのオーケストラ団員になったことはないので違っていたらすみません。)
まあ、自分の楽譜であれば「どっちでもよくね」って思います。現に私のフランスでついている先生はサックス界の巨匠のような方ですが普通にシャーペンで書き込みされています。(笑)
筆記用具、書く内容、人それぞれ思想があるようですが、「こうするべき!」みたいなことは個人的になくて、単に興味があります。
まずは私が高校生のとき
某プロ奏者の方が隣で演奏してくださる、という貴重な機会がありました。その先生の楽譜をのぞき見したところ(するな)音符の上にシャープやフラットがメモしてありました。ぺーぺーの何も知らなかった私は目から鱗でした。
「音符の上に書いたらこんなに見やすいんだ!!!」
え、そんなこと?と思われるかもしれませんが、私はそれまでずっと落としそうな記号は音符の横に書いていたので、五線と重なってしまったりしてとても見づらかったのです。
イメージ図
些細なことですが私は「上手な人は楽譜の書き込みも上手!!」と馬鹿なことを考え始めました。
次に大学生のとき
同じサックス科にとても上手な先輩がいました。先輩が試験で演奏していたその曲は、楽譜上では音を伸ばしてばかりの「なにこれ?」な曲でした。でも先輩の演奏にはドラマがあって素晴らしかったんです。
そして、偶然に先輩の使っている楽譜を見させていただく機会がやってきました。
楽譜には先輩の考えたストーリー的なものが初めから終わりまで曲の場面ごとにメモしてありました。要するにイマジネーションがしにくい曲だからこそ自分で考えて書き込んだのだと思います。
先輩は普段あまり音楽の話をしない方だったので、「こんな風に考えて音楽やってたのか!」とわかったのが嬉しかったです。やっぱり音楽って楽譜の音をなぞるだけじゃだめなんだなあと反省しました。
そして留学してから
フランスに来てから、先生が昔使っていた原譜をそのままお借りしたことが何度かありました。借りたのはサクソフォンカルテットの楽譜、先生と同じパートです。
とてもびっくりしました。
・自分がメロディーを吹く箇所にはすべて赤鉛筆で定規を使って線が引かれている。
・伴奏を演奏しているところは誰がメロディーを吹いているのかのメモ
・ブレスしたい場所を青鉛筆で記入
・他パートの音符もところどころ丁寧に書き写されている(自分が出とちるのを防いだり、他パートの動きを把握するため。)
なにがびっくりしたって、あのスーパープレイヤーですらこんなに丁寧に書き込みをしているということです。定規など使っているような丁寧さだったのでおそらく譜面台の上ではなく、サックスを置いて、机の上でスコアとにらめっこしながら書いたんだろうなということがわかります。
先生は天才なのではなくて、こうやって楽譜と丁寧に向き合ってるんだな、と書き込みから伝わりました。
こんな感じで、私が人の楽譜を見て感動した経験はたくさんあります。中には全く書き込みをしない人もいるだろうし、それも含めて奏者がどのように楽譜と向き合っているのかわかるのが面白いです。
他人の楽譜の書き込み見るのが好き。
これ、共感してくれる人いないかな~。笑
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