ロウソクの科学。
先日ノーベル化学賞を受賞された吉野彰さんが小学校の先生から勧められて科学への興味のきっかけとなったこちらの本を読んでみました。
岩波文庫版もありますが、なんとなく表紙にひかれて角川文庫版にしました。
それではどんな内容か紹介しましょう。
講演を行うのはマイケル・ファラデーというイギリスの科学者です。
この講演でどんな話が出てくるかを楽しみにお集まりくださったことの光栄にこたえるために、私は一本のロウソクをとりあげて、皆さんに、その物質としての身の上話をいたしたいと思います。
ロウソクの身の上には、あちらから見てもこちらから見ても、興味をそそる話の種だらけでして、それが科学のいろいろな分野につながる道の多様なことは、まったく驚くほかありません。この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです。
ロウソク一本で全てを語るみたいな。
なかなかすごいですね。
それでは、スライムの科学はじまりはじまり。ん?
スライムとスライムベスはいつも人間にいじめられています。ひのきの棒でペチペチ殴られ、草むらの陰にひそみながらいつも怯えております。
ロウソクの仲間には、とびきり珍しいものがありますが、我々スライムの中にもそれはいます。
まずは、
ホイミスライム。
誰かが傷ついた時に優しく体力を回復してくれる癒しキャラです。スライムの世界にも上下関係があるので、王様と女王様がおります。
さらにその上には、こちらのキング様がおられます。
中には、人間と仲良しになったスライムや、
羽根が生えたものまでおります。
ところでロウソクの燃焼は不思議です。固体の物質がどうやって炎のある所までのぼっていけるのでしょうか?
何か一つの結果を見た時、ことにそれがこれまでと違うものであった時、皆さんは「何が原因だろうか。何でそんなことがおこるのだろうか」と疑問を持つことを、いつまでもお忘れないことを希望いたします。こんな風にして皆さんは長い間に真理を発見していくことになります。
この場合、解決しなければならない疑問は、とけた液体がカップから出ていって、芯をよじのぼり、燃焼の場所にたどりつく方法は何かという問題であります。
一体、炎はどうやって燃料の供給をうけるのでありましょうか。
それは毛管引力であります。
つまりは、サイフォンの原理です。
互いにとけあわない二つの物質をびったりくっつけているのは、この毛管引力による作用が影響しているのです。
それは不注意な少年少女諸君が、手を洗ってふいたあとで、そのタオルを洗面器のふちに投げかけたために、まもなくそれが洗面器の水をすっかり引き出して床に運んでしまう、あの原理であります。
このように、ロウソクが燃える現象から日常生活を支配する法則が見えてくるのです。
この本は探究心の素晴らしさを教えてくれます。
たった一本のロウソクの燃焼から、実験によって酸素、水素、炭素を取り出し、果ては我々が何気に繰り返す呼吸の話にまで思考を広げる素晴らしい講演。
文系の僕にとっては正直難しい説明もありましたが、理系の人って深い思考の海にダイブできるのでうらやましいです。僕も考えることは好きなのですが、まだまだ浅瀬にいるような気がします。
うん、なかなかいい本だったな。
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