ロスジェネ氷河期世代が直面する「物価高」と「牛丼」の考察
牛丼が100円引きという広告を目にして久しぶりに食べたくなったが、その価格に驚いた人も少なくないでしょう。吉野家の牛丼「並盛」が500円近くなっているとは思いませんでした。私が20歳くらいの頃は400円くらいで、しばらくして300円を切るくらいに値下がりしていたのを覚えています。それが今、30年前の価格に戻るどころか、さらに上昇している。なぜこんなに値段が上がったのか?そして、ロスジェネ氷河期世代にとって、この物価上昇がどのような意味を持つのか?
牛丼と物価上昇の背景
まずは、牛丼の価格上昇の背景を考察してみます。ここ数年、世界的な食料品の価格高騰、原材料費の上昇、さらには人件費の増加が続いています。日本国内でも、米の価格や輸入肉のコストが上昇しているのは明らかです。さらに、コロナ禍の影響で物流が滞り、物資の流通コストが高騰したことも要因として挙げられます。これに加え、円安の影響で輸入品の価格が上がり、飲食業界全体が大きな打撃を受けているのです。
しかし、価格が上昇しているのは牛丼だけではありません。スーパーでの食料品、電気代、ガス代、日用品など、あらゆる生活必需品の価格が上昇し続けています。これがロスジェネ世代にとってどう響くのか。若い頃、少しでも安く済ませたかった日々を思い返すと、この物価上昇は非常に大きな負担に感じられます。
ロスジェネ氷河期世代と牛丼の関係
私たちロスジェネ世代にとって、牛丼は特別な存在でした。20年以上前、バブル崩壊後の就職難で、非正規雇用や不安定な職業に就くことを余儀なくされ、給料が低い中で生き延びる術として、牛丼チェーン店は頻繁に利用されていました。吉野家、松屋、すき家、そしてらんぷ亭やなか卯など、どこでも安くて早くてお腹いっぱいになる。特に外回りの仕事をしていた人や、忙しい学生には最適な選択肢だったでしょう。
その頃は、牛丼一杯が300円前後で、これほどの満足感を得られるものは他にありませんでした。昼ごはんに牛丼を食べ、少しでも節約しようとする姿は、ロスジェネ世代の特徴とも言えるものだったのです。お金がないけれど、なんとかしてやりくりしなければならない。牛丼は、そうした日常の中で大切な存在でした。
しかし、時代は変わり、生活環境も大きく変化しました。私自身、外回りの仕事ではなくなってから、牛丼を食べる機会はほとんどなくなりました。そのため、最近までその価格変動に気付かなかったのです。しかし、久しぶりに目にした500円近い価格には、当時の私たちの牛丼への感覚とのギャップを感じずにはいられませんでした。
これからの物価とロスジェネ世代の未来
ここで気になるのは、今後の物価がさらに上昇する可能性です。米や肉の価格が上がり、人件費も上がれば、当然飲食業界は価格を引き上げざるを得ません。牛丼が今や500円、さらにそれ以上になるかもしれない時代がやってくるのです。
ロスジェネ世代は、就職難を経験し、非正規雇用や低賃金の仕事に従事し続けてきました。そんな中での物価上昇は、生活をさらに厳しいものにしています。外食は贅沢になりつつあり、日々の生活費を抑えながら、いかに節約するかがますます重要なテーマになってきます。特にこの世代は、結婚や子育てを遅らせたり、経済的な理由からあきらめたりするケースが多い中で、老後の生活すら見通せない不安が増大しているのです。
昔に戻ることはできないが
牛丼が300円だった頃に戻ることは、もうできません。物価は上がり続け、私たちはその中で生き延びるしかない。吉野家や松屋が500円台に突入している今、少しでも安く食べられる場所を探し、節約を心がけなければなりません。しかし、物価上昇だけではなく、将来の不安と向き合いながら生きるロスジェネ世代は、単に牛丼の値段だけでなく、生活全般にわたる厳しさと向き合わざるを得ない状況にあるのです。
外食の値段が上がるという事実は、小さなことに見えるかもしれません。しかし、それは私たちの生活を象徴する大きな変化の一端でもあります。ロスジェネ氷河期世代にとって、物価上昇は、失われた就職機会や安定した生活への道のりがさらに遠のくことを意味します。今後、どのような手段でこの厳しい時代を乗り越えるか、各々が模索する時代が続くでしょう。
それでも、あの頃の300円牛丼を懐かしみながら、これからの生活に備えなければならない。次にどのような変化が待ち受けているのか、その答えはまだ見つかっていませんが、少なくとも私たちは、その波に飲み込まれないよう、準備を続ける必要があります。
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