Sogachin式統計検定準1級突破法~34点でも諦めなければなんとかなる~
この度、統計検定準1級に晴れて合格することができました。初めて受験したときには34点という壊滅的な点数で、合格ははるか遠くにあって自分には無理なんじゃないかと思いました。そんな絶望的のなかでも、勉強を継続していけば不可能が可能になると実感しました。このようなバックグランドを持つ自分がどのような勉強をして合格にたどり着けたのかここにまとめていきます。
ちなみに不合格だったときの成績は↓のようになっています。
確率と確率分布という項目はなんとかできましたが、あとの統計的推測・多変量解析法・種々の応用は御覧の通り壊滅的な点数となっております。確率と確率分布に関しては統計検定2級までの知識でなんとかいけましたが、あとは全く歯が立たなかったのを覚えています。
今回合格した成績表が↓のようになっています。
確率と確率分布の正解率は変わっていませんね。代わりに統計的推測と多変量解析法が伸びました。種々の応用は相変わらずダメですね。合格したからといってまだまだ知識不足であることを実感します。多変量解析法のゴリ押しで受かったといっても過言ではないですね。
約1か月ちょいの間に30点ほど伸ばすことができたのは、統計的推測と多変量解析法の項目を重点的に行ったことが功を奏した形となりました。
ということで、今回のnoteでは、おもに統計的推測と多変量解析法に関する勉強についてまとめていきます。
1.統計学実践ワークブックは肌身離さず持とう!
統計検定準1級に挑戦するのであれば、統計学実践ワークブックという↓の書籍は絶対に買いましょう。この書籍が試験範囲を網羅しているだけあって、奥底がしれない統計学という学問において、統計検定準1級の勉強を支えてくれる書籍になります。
初めは内容を読んでも理解できず?だらけだと思います。それでもできる限り何度も読んでいきましょう。何度も読むと、数式・記号・名称などをなんとなくでも覚えていきます。これらの記憶が思考の糧となり、統計検定の勉強をする上での武器となっていきます。理解できなところは悩まずに飛ばしていきましょう。今は分からなくても勉強するなかで徐々に分かってくることが多々あります。また内容を読むだだけでなく、章末問題にも取り組んでいく必要があります。ただ、章末問題の解答は答えまでの道筋が省略していることがあるため、フォローしづらいと思います。そんなときは↓のサイトを参考にしてみてください。解答までの道筋が書かれており、理解の促進につながります。
・えびすかずきさんのnote
・あつまれ統計の森
上記のサイトには大変お世話になりました。感謝してもしきれないくらいです。統計検定準1級に合格できたのは上記の二つのサイトのお力が非常に大きかったです。
2. 数理統計をゴリゴリしよう!
今回の試験にて統計的推測を短期間で伸ばすことができたのは、数理統計に取り組んだことが要因としてあると考えています。数理統計の勉強に関しては↓の書籍に取り組みました。
手元に届いたときに予想以上にカバーが真っ赤だったという印象を抱きました。赤色のカバーの書籍ってめったにないので、それだけでもインパクトがありますね。
本書の構成としては、だいたい見開き1ページに例題と解答が載っています。どうやって勉強したかというと、解答をゴリゴリに模写していきました。それは勉強というよりもまさに前腕トレ。筋トレ好きにはたまらない勉強法です。モットーは、「頭で覚えるんじゃなくて前腕に覚えさせよ!」です。脳のキャパを維持しつつ効率的に働かせるには筋肉に覚えさせるのが一つの手かもしれません。実際に、正規分布の確率密度関数は頭よりも前腕が覚えてしまいました。はい、ウソです。冗談はここまでとします。
実際にゴリゴリに解答を模写していくと、この数式はさっきみたなとか、ここでこんな式展開が生じるのかという発見につながります。この発見が勉強における喜びとなり、勉強を継続する強い味方になってくれます。できれば3周ほどゴリゴリに模写しましょう。必要なのはペンと紙だけです。勉強にもなり前腕トレにもなるゴリゴリ解答模写勉強をやらないなんてもったいない。
3. 統計モデリングの勉強で統計解析の全体像をつかもう!
数理統計をはじめとした統計学の理論の勉強をしていると、果たして今勉強していることは統計の役に立っているのかという疑問が生じるかと思います。自分はそうでした。確率分布とか覚えて何になるの?とか考えだすようになってしまいます。そうなると、統計を勉強する意欲がダダ下がりしてしまいます。そうならないためにも、統計解析の全体像をつかみながら勉強をすすめていくことが大切になります。そのさいに強力な武器となるのが統計モデリングの知識です。統計モデリングの勉強をするこで、確率分布といった理論の基礎を学ぶ大切さを実感できます。
統計モデリングを学ぶためのおすすめの書籍としては、
・データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学)
この書籍は超絶おすすめです!一般化線形モデルから階層ベイズモデリングまでつながりを理解することができます!この書籍を読んで改めて統計って面白いんだと実感しました!
統計モデリングを学ぶときにはぜひプログラミングを用いたほうがよいと思います。数式だけでは式展開についていけず、何がなんだか分からないという現象が生じます。自分の場合はそうでした。実際にデータを用いて、プログラミングのコードで統計モデリングを学ぶことにより理解が促進されると思います。統計モデリングにおけるプログラミングでは、以下の2冊を主に用いました。
・実践Data Scienceシリーズ RとStanではじめる ベイズ統計モデリングによるデータ分析入門 (KS情報科学専門書)
・StanとRでベイズ統計モデリング (Wonderful R)
統計モデリングに「ベイズ」という文字がついていますが、統計モデリングの原理は同じです。ベイズの定理(事前分布から事後分布を導き、その事後分布からデータを評価する)を用いるか用いないかの違いです。
ベイズ統計モデリングに関しては、以前にまとめたnoteをこちらに記載しています。ご参考になれば嬉しいです。
実際にプログラミングのコードを書いてみて、どのようにモデルが評価できるか試してみると、統計の面白さがより一層感じ取れると思います。
4. 多変量解析は多読で攻めよう!
多変量解析の勉強については、面白そうだと思った書籍を片っ端から読んで、自分にあった書籍を何度も読むのが良いと思います。私自身、大学の図書館に足を運び、多変量解析という名前がついた書籍は手に取って読むようにしてみました。同じ多変量解析のなかでもそれぞれの書籍でアプローチが変わっていたりするので面白いです。読んだ書籍のなかでもおすすめの本を紹介していきます。
・マンガでわかる統計学 回帰分析編
・マンガでわかる統計学 因子分析編
マンガだからあなどるなかれ。回帰分析や因子分析に加えて、恋は統計を学ぶスパイスになることが分かります。多変量解析は、いきなり専門書を読むと数式の羅列で眠気に襲われます。特に筋トレの後に勉強したら尚更です。まずは、全体像を理解してから本格的な多変量解析の勉強に移るためにもマンガから入ることを超おススメします。
・多変量解析法入門 (ライブラリ新数学大系)
この書籍は、多変量解析法の進め方を具体なデータを用いて説明してくれます。多変量解析でつまずくポイントとしては、数量化1類といった数量化理論での多変量解析の項目だと思います。数量化理論における多変量解析の説明ではこの書籍が一番分かりやすかったです。また、データにおける数式の扱われ方についても分かりやすく説明してくれるので、多変量解析の勉強が非常に面白く感じました。
・多変量解析入門――線形から非線形へ
主に数式の展開による多変量解析の仕組みについて学ぶことができます。紹介している身として非常に恥ずかしいのですが、実際のところあまり理解できていません。この書籍に取り組むには、さらなる勉強が必要だと感じでおります。何度か読みましたが、また勉強をするめるうちに再度読んでいこうと思います。
・Rによる多変量解析入門 データ分析の実践と理論
多変量解析の勉強でもプログラミングと一緒に学ぶと理解が進みます。多変量解析ではあまりみかけない手法があったりするため、数式や言葉だけで理解しよとすると頭のなかが「?」でいっぱいになってしまうと思います。そんなときは、実際のデータを使ってコードを書いて解析の過程を学ぶと良いと思います。また、解析結果の評価方法を学ぶことで多変量解析の理解が深まります。実際にRのコードを書いて多変量解析の勉強を行ったことで、これまで良く理解していなかった因子分析の解析方法について学ぶことができました。また、この書籍では、AICやBICといったモデルの評価についても説明があるので、統計モデリングを学ぶ際にも非常に役に立つ知識が得られると思います。
これらの書籍のおかげで、統計検定準1級の多変量解析の正解率を21%→79%まで伸ばすことに成功しました。試験で点数をとるためには、上記の書籍を読むのに加えて、統計学実践ワークブックの多変量解析の項目を何度も読んで、章末問題を解けるようにしておくことが大切だと思います。
加えて、書籍にあきたらぜひYoutubeを見ましょう!AIciaさんが解説するYoutube動画は非常に勉強になります。内容もですがトークも面白いのでぜひご視聴されることをお勧めします。
5. 筋トレした勢いで勉強しよう!
勉強に「勢い」はかなり大切です。その勢いをつけるに「筋トレ」は一つの手段になると考えています。バーベルやダンベルに向かって「ヤってやるぞ!」という気持ちは、勉強にて机に向かったさいの「ヤってやるぞ!」という気持ちに似ています。私自身この勢いで日々勉強に励んでおります。
加えて、筋トレは、筋肉だけに効くのではなく、脳機能にも有益な効果があることが研究で示されています。脳機能のなかでも、実行機能といって、脳の前側(前頭前野)が司る脳機能が習慣的or一過性の筋トレで高まることが示されています。拙著でありますが、以前私が総説論文としてまとめています↓。
筋トレと脳機能の論文を書いたからこそ、いち実践者として日頃から筋トレして勉強するように心がけています。もちろん筋トレしたからといってテストの成績が急上昇するというわけではありません。あくまでも、筋トレをする尚且つ勉強もすることで試験の成績が伸びていきます。これまでの研究の知見から考えられることとしては、筋トレによって脳機能を高めてから勉強することで、効率的な学習につながる可能性があることです。このように筋トレの良い部分だけを言っていますが、実際に取り組んでみるとやはり理論だけでは上手くいかないことが多々あります。私自身、筋トレと勉強の文武両道を目指していますが、実際のところ失敗も多いです。ですが、これまでの研究の成果を考慮すると、「運動して勉強する」ことは非常に有意義であると捉えて日々取り組んでいます。自分がこのように勉強できているのは、これまでの研究の知見のおかげだと考えています。また私自身の原点として、「運動して勉強する」ことを大切にして取り組んでいきたいと考えています。
6. 最後に
最後まで読んでいただき誠にありがとうございます。この場をお借りして、普段からTwitterをはじめとしたSNSでの勉強仲間の方々に心から感謝申し上げます。SNSにて勉強に取り組まれている姿に私も刺激を受けており、勉強を継続するモチベーションをいただいております。今回は偉そうに統計検定準1級突破法という記事を書いてみました。ギリギリの合格点にもかかわらず、私が書いた記事を読んでくださりありがとうございます。読んでいただいた方に少しでもお役に立てる記事になっていればこれほど嬉しいことはありません。この度は統計検定準1級に晴れて合格することができましたが、まだまだ分からないことが山積みです。今後も継続して統計の勉強をしていきます。まだまだ実力不足の私ですが、今後とも何卒よろしくお願いいたします。