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こんな仕打ちが待っていたとは
16歳の時、米国アイダホ州の州都ボイシーに留学しました。
学校で日本人は私だけという環境で、ホストファミリーは両親と16歳、14歳の姉妹。
私に貸与された部屋は姉のジェシカと相部屋で、ベッドは妹のテニールがこれまで使っていたもので、私がこの家族と一緒に暮らし始めてからというもの、テニールは毎晩リビングルームのソファで寝ているようでした。
ペットは
長毛の大型犬×2
高齢のペルシャ猫×1
セキセイインコ×数え切れない数
犬と猫はいつも私のベッドの上で昼寝をしているせいで、リネンは獣臭がする上に、ベッドに入ると必ず長い毛が体中にまとわりつく始末。
あらゆる箇所か痒くなってくる…。
キッチンに隣接するダイニングテーブル脇には、冷蔵庫サイズの鳥かごにセキセイインコ 30羽ほどが所狭しと詰め込まれていました。
このセキセイインコたち、「せますぎるよー」とストレスを訴えているかのように、私たち人間の食事時になると決まって甲高い声でケンカを始めるのです。
ホストファーザーのトムはインコのケンカが始まると条件反射のように、手元の濡れた台布巾を鳥かご目掛けて思い切り投げつけます。
驚いて一斉に飛び立つインコの体から抜け落ちる羽が「フワ~ッ」 と私の夕飯のトッピングとなるのが日常。。。
ダイニングで食事をする気にはなれない日々が続きました。
ジェシカの相手...
姉のジェシカには友人と呼べる仲間がおらず、私がテニス部に入部すると
「一緒に帰れなくなるから部活には入らないで」
と強くせがまれてしまいました。
私は部活に所属することで一日も早く友人を作りたかったし、英語がよくわからない自分が唯一、最初から認めてもらえるのはテニスだったので、部活だけは自由にやらせて欲しいとお願いしました。
朝練や放課後に試合があるため、部活がある日の学校の送迎はテニス部の友人にお願いしていたところ、ホストマザーのデボラまでが
「ジェシカの相手をしてくれないと困るわ」 と私に言ってきました。
私はジェシカのベビーシッター?!
日本を単身離れ、遥々やってきた異国の地。言葉も通じない中、本来であれば色々と相談にのってもらって頼りたいはずのホストファミリーに対して一抹の不安を抱くのにさほど時間は掛かりませんでした。
私は徐々に憂鬱になり、学校の授業に身が入らなくなっていきました。
学校専属のソーシャルワーカーが私の異変に気が付き、声を掛けてくれました。
事情を話すと、すぐさま学校側は校長先生、教頭先生、ソーシャルワーカー、エリアレップ(留学生受け入れ家庭の審査を行う責任者)、ホストファミリー(両親)、私、そして学校が手配してくれた日本人通訳のヨシコさんを交えてのミーティングをセッティングしてくれました。
英語があまりよくわからなくても、そもそもこの家族がホストファミリーとしての審査基準を満たしているのかという話になっているのが分かります。
話し合いが進む中で、当日参加したエリアレップは、私のホストファーザーであるトムの実姉であることが判明。
半年ほど前、友達ができないことに悩むホストシスター(姉)のジェシカが自殺未遂をしたため、「留学生でも受け入れてジェシカの友達になってもらえばいい」という発想のもと、エリアレップが弟トムの家族がホストファミリーの基準に到達しているかのように、ホストファミリー選考書類を改ざんしたことまでが明らかになりました。
ミーティングの結果、新しいホストファミリー探してくれることになりましたが、当の私は生きた心地がしません!!
だって、新しいホストファミリーが見つかるまで、つまりこのミーティングの後も、この両親と一緒にあの家へ帰らなくてはならないのですから。
さらに焦ったのは・・・
気分を害した両親は、ひたすら焦りまくる私に一言も声を掛けることなく、2人だけでサッサと帰ってしまったのです。。。
学校のミーティングルームに取り残された私。
見るに見かねた通訳のヨシコさんが車で家まで送ってくれたのですが、家が近づき、重たい気持ちで車窓からぼんやり外を眺めてみると、家の玄関の外には信じられない光景が広がっていました。
私のスーツケース、衣類、歯ブラシ、日本からのお土産にと持参した日本人形までもが投げ捨てるように放り出されているではありませんか(泣)
続く・・・