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【#中間報告書】自主企画:「メタバース霊岸島」構想の実現に向けて

2022年9月19日作成

本記事は、ランサーズ新しい働き方LABの「研究員制度」の活動の一環として、私個人が行う「働き方実験」についての「中間報告書」です。

1.実験の背景と目的

Δ図1.霊岸島位置図

筆者は、1992年から川を中心としたまちづくり活動に携わってきました。
川といいましても特に都市河川です。
東京でいえば、荒川・隅田川・神田川・多摩川などです。
大阪でいえば、淀川・大川・土佐堀川・堂島川・安治川などです。

1-1.実験の背景

大阪は、「水都大阪」として認識している住民の割合が比較的高く、全国一の水都としての立ち位置を定着させています。
一方、東京は、「水都東京」として認識している住民の割合は、依然として低く、水都として定着しているか?疑問です。

その理由の一つとして、大阪と東京の治水対策に違いがあります。
一言でいいますと、「大阪は水門のまち、東京は堤防のまち」です。

1-1-1.大阪は水門のまち

大坂の治水対策は、3大水門によります。
大阪市内を流れる安治川、尻無川、木津川の河口部に、それぞれ水門を設置し、高潮からの被害を抑えています。
結果として、3大水門により陸側の河川堤防を低く抑えることができ、その分親水性が増します。

特に、道頓堀川沿いに設置されている「とんぼりリバーウォーク」という水辺遊歩道は、「水都大阪」の象徴です。
川面までの距離が近く、川に対してお店が開かれており、イベントも度々行われます。

1-1-2.東京は堤防のまち

一方、東京の治水対策は、堤防です。
東京の主だった川には、水門がありません。
高潮に対して堤防を高くすることにより、被害を抑えています。

しかし、河川堤防が高くなり、街中から川面を眺める場所が少なくなり、親水性は小さくなります。
また、延々と続く堤防の距離は、トータル数十km以上に及び、大阪の水門・堤防と比較しても、維持管理費用に莫大な予算を投じています。

1-1-3.「水都東京」の復権を目指して

しかし、東京の小河川の中にも、水門により高潮から守られている地域が存在します。

例えば、
 ・中央区:亀島川沿い
 ・江東区:小名木川沿い
 ・墨田区:縦十間川・横十間川沿い
などです。

この地域内であれば、想定される洪水・高潮被害からまちを守ることができ、親水性を高くする仕掛けが可能となります。

1-2.実験の目的

「川をまちの表舞台」にすることが究極の目的です。
この実験では、そこに至るまでの啓蒙装置を制作することが目的です。

Δ図2.「メタバース霊岸島」設立趣旨

1-2-1.対象地域は霊岸島

上記の地域の中で、より都心に近い中央区の亀島川沿い(住所:中央区新川1・2丁目)にある霊岸島を、この実験では取り上げます。

Δ写真1.霊岸島
(出所:Google earth)

霊岸島は、亀島川・日本橋川・隅田川に囲まれた島です。
亀島川は、上流端と下流端に水門が設置され、高潮から守られた地域です。

この地域の住民は、水辺に対する意識が、高いことがわかりました。

1-2-2.霊岸島は、かつて江戸湊・舟運・日本酒のまち

霊岸島には、かつて江戸湊がありました。
全国から、舟運により物資や情報が集められました。
特に京や大坂から菱垣廻船・樽廻船により運ばれる物資は、「下り物」と呼ばれ、外来品のごとく珍重されました。
中でも、京都の伏見、神戸の灘から運ばれる日本酒は、「下り酒」と呼ばれ、江戸中で人気となり広まりました。

1-2-3.「メタバース霊岸島」構想

霊岸島を、
 ・川を表舞台にしたまちづくり
 ・江戸情緒のあるまちづくり
にするための手段として、メタバースにより
 ・水辺を活かしたバーチャル空間
 ・江戸時代のまち並みを再現したバーチャル空間
を制作し、地域の住民を中心として啓蒙活動を行い、リアルに水辺遊歩道建設に繋げたいと考えております。

筆者は、このプロジェクトを「メタバース霊岸島」構想と名付け、地元企業に呼び掛け、既に準備を始めております。

今回、良いタイミングで「新しい働き方LAB」の企画を知るに至り、これに便乗しようと決断しました。
ひょっとしたら、志を同じく持っていただける仲間に出会えるかもしれないと考えたからです。

2.検証したいと思っていたこと

Δ図3.「メタバース霊岸島」イメージ

検証したいことは、
 ・メタバースプラットフォームの選定
 ・メタバースによるまちづくり制作
 ・制作したメタバースへの住民参加
です。

2-1.メタバースプラットフォームの選定

日本で利用されている主なメタバースのプラットフォームには、
 ・VRチャット(アメリカ)
 ・Neos VR(チェコ)
 ・クラスター(cluster)(日本)
 ・バーチャルキャスト(日本)
 ・リアリティ(REALITY)(日本)
 ・ゼペット(ZEPETO)(韓国)
など様々なものがあります。

それぞれのプラットフォームに特徴があり、利用者は使い分けて利用しているのが現状です。

今回の実験において、どのプラットフォームを利用するかを探ります。

2-2.メタ―バースによるまちづくり制作

選定したプラットフォームに、「メタバース霊岸島」を制作します。
霊岸島を「川を表舞台とした街づくり」へと再生します。

具体的には、霊岸島周辺に水面に近い型式での水辺遊歩道を設置し、周回できる街づくりを行います。
川沿いにある建物は、水辺遊歩道に対しても出入りができる玄関を設けます。
例えば、店舗は水辺遊歩道から客の動線を作り、飲食や買い物などを楽しめる空間とします。

下図は、そのイメージ図です。

Δ写真2.霊岸島周辺の亀島川の現況(左写真)
図4.「メタバース霊岸島」亀島川沿いのイメージ(右図)
(出所:日本大学理工学部海洋建築工学科)

2-3.制作したメタバースへの住民参加

制作した「メタバース霊岸島」に、霊岸島内外の住民にアバターを通して参入していただきます。
「川を表舞台とした街づくり」に対する啓蒙活動を行います。

Δ図5.パソコン・スマホでの住民・企業説明

「メタバース霊岸島」の利用者数のデータ取りを行います。

  • 参入者数
     ・霊岸島内の住民による参入者数
     ・霊岸島外の住民による参入者数

  • 開催イベントへの入場者数

  • 参入者数・入場者数へのアンケート調査
     ・利便性
     ・水辺遊歩道に対する好感度

3.研究活動の概要

研究活動の概要として
 ・メタバースプラットフォーム調査
 ・メタバースプラットフォーム選定
 ・「メタバース霊岸島」制作
 ・「メタバース霊岸島」事業計画書作成
について説明します。

3-1.メタバースプラットフォーム調査

メタバース関連書籍を読みながら、各プラットフォームの特徴やメリット・デメリットを調べました。
参考にした書籍は、下図の通りです。

Δ図6.メタバース関連書籍1

これらの書籍は、メタバースプラットフォームをわかりやすく解説しています。
また、メタバースのビジネスチャンスや始め方、メタバースの未来についても解説しています。

「どのプラットフォームを利用すると、目的達成に向けて一番貢献できるのか?」を探りました。

選定したプラットフォームは、「DOOR」「cluster」です。

3-2.メタバースプラットフォーム選定

「DOOR」「cluster」について説明します。

3-2-1.住民啓蒙用は「DOOR」を検討

Δ図7.「DOOR」WEBサイト

住民啓蒙用のメタバースプラットフォームについては、「NTTXR」が提供する「DOOR」を検討しています。

メタバースプラットフォームの大半は、デバイス(PC、タブレット、スマホ)にアプリをダウンロードする必要があります。
しかし、「DOOR」は、アプリをダウンロードする必要が無く、WEBサイト上にて操作可能となります。
手間が軽減されますので、住民啓蒙用として適したメタバースプラットフォームであると判断しました。

3-2-2.イベント開催、店舗販売は、「cluster」を検討

Δ図8.「cluster」WEBサイト

イベント開催
 ・和船による隅田川、日本橋川、亀島川周遊
 ・水辺コンサート
 ・落語・講談
 ・ファッションショー
 ・セミナー
店舗販売
 ・バーチャルアイテム販売
など、有料での開催については、「cluster」を検討しています。

「cluster」を利用するには、アプリをデバイスにダウンロードする必要があります。

ちなみに、「バーチャル渋谷」は、clusterが使われています。

Δ図9.「バーチャル渋谷」(cluster)

他にも「cluster」内のワールドを遊びがてら調べてみました。

3-2-3.選定したプラットフォームの比較

選定した2つのプラットフォームである「DOOR」「cluster」の特徴・価格・実績等を比較しますと、下表の通りです。

Δ表10.「DOOR」「cluster」の比較表

3-3.「メタバース霊岸島」制作

筆者自身が、知識ゼロの状態から「メタバース霊岸島」を制作します。

また、後々の
 ・プロモーション活動
 ・メンテナンス活動
 ・資金作成
などを考えますと、ある程度の完成度の高さが求められるため、メタバース制作企業との連携も視野に入れます。

3-3-1.自身による「メタバース霊岸島」制作

自身で、ワールド制作(まちづくり)したいと思い、学び始めました。
参考にした書籍は、下図の通りです。

Δ表11.メタバース関連書籍2

親切丁寧に解説してくれますので、ゲーム制作の方法をわかり易く学ぶことができます。

3-3-2.メタバース制作企業に依頼

3DCGのデータ制作・販売を手掛ける「キャドセンター」という企業に打診しました。
「キャドセンター」は、これまで主に不動産開発に伴う3DCGの制作を手掛けてきた企業です。
「キャドセンター」が提供する3DCGや制作されたメタバースによる街空間を見ますと、さすがにプロであると感じました。
と同時に住民啓蒙をする場合、映像品質の高い方が、説得力が増すだろうなあと感じました。

ちなみに、「バーチャル秋葉原」は、キャドセンターが制作しています。

Δ図9.「バーチャル秋葉原」
(出所:キャドセンター)

◆制作資金の捻出◆
メタバース制作企業へ依頼するとなると、当然制作資金が必要になります。
霊岸島の中で、制作範囲を限定したとしても、制作見積額は1,700万円となりました。

◆スポンサー企業への資金提供依頼◆
制作資金を捻出するために、霊岸島内にある大企業(一部上場企業)に資金提供依頼をすることになりました。
そのための事業計画書の作成に取り掛かりました。

◆9月下旬~10月上旬に第1回プレゼン予定◆
「メタバース霊岸島」構想の啓蒙活動は、今年の3月から霊岸島内の既に行っていました。
 ・大豊建設株式会社(東京都中央区新川1丁目)
 ・株式会社内田洋行(東京都中央区新川2丁目)
です。

特に、株式会社内田洋行の大久保社長とは、今年の3月・7月に直接面談しており、「メタバース霊岸島」構想の件は、簡単に口頭で説明しています。
(詳しくは、後記の活動報告を参照)

この中間報告書を提出した後に、第1回プレゼンを行う予定です。

◆中央区役所へもプレゼン予定◆
中央区の住民に対する啓蒙活動が、目的となりますので、中央区役所に対しても、持ち掛ける予定です。
幸にして、中央区副区長:吉田不曇さんとは、川に関連した活動で30年の付き合いがあります。
陳情に伺い、予算の打診も取ってみたいと考えております。

3-4.「メタバース霊岸島」事業計画書作成

「メタバース霊岸島」事業計画書をスライド形式で掲載します。

Δスライド1:「メタバース霊岸島」事業計画書

4.中間報告時点での気づき

中間報告時点での気づきとして
 ・「メタバース霊岸島」制作の進め方
 ・「メタバース霊岸島」制作範囲
 ・「メタバース霊岸島」制作箇所
 ・「メタバース霊岸島」制作費
 ・「メタバース霊岸島」による効果
について触れます。

4-1.「メタバース霊岸島」制作の進め方

「メタバース霊岸島」制作を下図の順番にて進めていく予定です。

Δ図10.「メタバース霊岸島」の進め方

4-2.「メタバース霊岸島」制作範囲

「メタバース霊岸島」の制作範囲は、下図の通り限定しました。

Δ図11.「メタバース霊岸島」制作範囲

4-3.「メタバース霊岸島」制作箇所

「メタバース霊岸島」の制作箇所は、下図の通りです。

Δ図12.「メタバース霊岸島」制作箇所

4-4.「メタバース霊岸島」制作費

「メタバース霊岸島」の制作費は、下図の通りです。

Δ図13.「メタバース霊岸島」制作費

筆者が意図するメタバース空間を業者に制作依頼しますと、1,700万円かかることが判明しました。

4-5.「メタバース霊岸島」による効果

メタバース霊岸島による効果は下図の通りです。

Δ図14.メタバース霊岸島による効果

地元住民に対する効果と住民以外に対する効果を挙げました。
これに加えて、地元企業に対する効果を挙げる必要性があります。

5.中間振り返り

中間振り返りとして、
 ・「メタバース霊岸島」のイメージ
 ・居酒屋がポイント
 ・スポンサー企業に対するメリット強化
 ・スポンサー企業以外の資金づくり
 ・8月定例会にて発表
について触れます。

5-1.「メタバース霊岸島」のイメージ

上記において、モデルケースとして「バーチャル秋葉原」「バーチャル渋谷」を挙げましたが、ガチャガチャしたイメージがあります。

ブランディングにも繋がりますが、「メタバース霊岸島」のイメージとしてキーワードを挙げます。

Δ図15.「メタバース霊岸島」空間イメージ

和風のイメージを持つ地域となります。
そのイメージを活かす方向で、水辺空間を形成します。

一つのモデルケースとして、大阪市内を流れる道頓堀川に架かる戎橋を中心に「とんぼりリバーウォーク」(水辺遊歩道)を再現した「バーチャル大阪」を挙げます。

Δ図16.「バーチャル大阪」
道頓堀川沿いの「とんぼりリバーウォーク」を再現

戎橋から階段を下りて、「とんぼりリバーウォーク」を歩ける仕様となっています。

「メタバース霊岸島」においては、水辺空間を和風化します。

5-2.居酒屋がポイント

霊岸島は、江戸時代に江戸湊が置かれ、日本中の物資が集積しました。
中でも、京都の「伏見」・阪神の「灘」からは、「下り酒」といい、良質な日本酒が菱垣廻船・樽廻船により運ばれました。
いわば、江戸時代からの「日本酒のまち」です。

そこで、日本酒が楽しめる「日本酒バー」が、ポイントになると考えました。
そこでのコミュニケーションにより、啓蒙活動を図ろうとするからです。

Δ図17.「日本酒バー」イメージ
(出所:cluster)

ただし、カウンターごしのママさんの設定をどうするか?
人気店になるか否かのポイントになりそうです。

今後の課題です。

5-3.スポンサー企業に対するメリット強化

「メタバース霊岸島」制作には、スポンサー企業による資金提供が必至です。
そのために、スポンサーになっていただくだけのメリットを享受していただく必要があります。

スポンサー企業のメリットとして、

  • スポンサー企業の社屋制作

  • 社屋に広告看板設置(動画仕様)

  • 河川空間沿いに宣伝看板設置(動画仕様)

などを検討し、スポンサー企業へ打診します。

ちなみに、「バーチャル渋谷」におきましては、スポンサー企業である「au5G」の宣伝看板が、あちこちに設置されていました。

Δ図18.「バーチャル渋谷」内の「au5G」の看板

上記以外にも、強いメリットを打ち出せないか?検討します。

5-4.スポンサー企業以外の資金づくり

スポンサー企業が付かなかった場合の資金集めの方法も検討する必要があります。

例えば、

  • クラウドファンディング

  • DAO(Decentrailzed Autonomous Organization)設立による資金集め

などです。

5-5.8月定例会にて発表

サンチェスさんのすすめもあり、「8月定例会」(8月16日)において、「メタバース霊岸島」の紹介をさせていただきました。
持ち時間は、2分ということで、骨子だけを説明させていただきました。
下のスライドは、その時の説明資料です。

Δスライド2.「メタバース霊岸島」の概要説明

本音をいえば、説明時間として5分は欲しかったです。

6.まとめ

以上、

  • 実験の背景と目的

  • 検証したいと思っていたこと

  • 研究活動の概要

  • 中間報告時点での気づき

  • 中間振り返り

について説明しました。

何も無いところから、とりあえず事業計画書作成までは、こぎつけました。
今後、スポンサー企業に対して、プレゼンを開始します。

まだ、「メタバース霊岸島」制作の緒に就いたばかりです。
スポンサー企業の有無により、規模や仕様などに大きな変更が伴います。
しかし、方法は様々あると思いますので、最初に意図したものを造り上げていくつもりです。

ここまで読んでいただいた方の中で、何らかの形で協力したいと考えていただける方は、連絡をお願いいたします。
一緒に造り上げていきたいと考えています。

メールアドレス:exceate@gmail.com

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