納税者を増やしてそれでどうするの?
NHK党の立花孝志党首の『日曜討論』での発言が「優生思想だ」として物議を醸してるそうで。
江草も該当部分の録画を観たのですが、「うーん」という感じです。
注目されてる「優生思想」うんぬんについての部分は、(別件ですが)先日のnoteでも色々語ったので割愛するとして、
むしろ江草が気になったのは、「将来納税する賢い子どもが必要」という箇所です。
各党首が少子高齢化社会に対する考えを聞かれてる場面なので、立花氏としては「少子高齢化社会の対策には(できる限り高額の税金を収める優秀な)納税者を増やすのが大事」と考えてるのだと解釈して良いでしょう。
これ、立花氏に限らず、しばしば見受けられる見解なのですが、正直疑問に思うのですよね。
納税者を増やすことがどうして少子高齢化社会の対策になるの?
と。
この疑問に関しては江草みたいな凡人が解説するまでもなく、ホモ・ネーモさんやはむっち先生が優れた記事を書かれているので、これらを一読していただくのが早いのですが、
一応ここでも簡単に江草なりに書いてみます。
そもそも少子高齢化社会は何が問題であるかと言えば、高齢者などの支えられる人員に比べ、社会を支える現役世代の割合が少なくなるマンパワー不足の問題のはずです。
「胴上げ型社会から騎馬戦型社会を経て肩車型社会へ」などとも言われます。
で、ここで税金がいっぱい集まったら解決するでしょうか。
そんなことはないですよね。
いくらたんまり税金を集めても、お金そのものが何かしてくれるわけではありません。
ただ集めるだけでなく、その税金を使って何かをしないと意味がないわけです。
じゃあ税金の使いみちを考えてみるとして。
少子高齢化社会の問題が、社会を支える人員のマンパワー不足の問題であることからすれば、自然に考えるとその税金を使って社会を支える仕事をするエッセンシャルワーカーにお金を流そうとなるはずです。
税金を投入してエッセンシャルワーカーのなり手を増やそうと。
ところが、それはつまり「エッセンシャルワーカーは税金を払うというよりも税金をもらう人たち」ということになりますから、事実上「いっぱい納税してくれる人」ではないのですよね。
しかし実際に社会に足りてないのはそうして「税金を投入されるべき」エッセンシャルワーカーなわけで、立花氏が言うような「納税をいっぱいしてくれる子どもが必要」という話と噛み合いません。
税金を集めるだけ集めるけど、エッセンシャルワーカーの確保には使わないというのなら、なおさらそれがどうして少子高齢化社会の対策になるのかよく分からなくなりますし。
だいたい、「高額納税者が多い方が良い」として、高収入で納税額も高く「賢い」人たちが集う業界に進む子どもたちを育てた結果、「よーし、証券トレーダーになって少子高齢化社会を支えるぞー」とか「よーし、広告をバンバン打って少子高齢化社会を支えるぞー」とか言われてもピンと来ないでしょう。
それこそNHK職員だって高額納税者なのですから、「優秀な納税者を増やすのが大事」という主張は、NHK党の立花氏が毛嫌いするところであるNHK職員を増やそうと言ってるのと同じとも言えるのですが、いいのでしょうか。
つまるところ、税金がどうとか、お金がどうとかは、あくまでバーチャルな話なんです。
社会はお金が働いているのではなく、人が活動して成り立ってるのだから当然です。
だから、現実(リアル)に社会で人が足りないという話をしているのに、「優秀な納税者が増えれば解決」なんてバーチャルな話は筋違いに思います。
税金自身が現実で何かをしてくれるわけではないのですから。
たとえ、税金の話に触れるにしても、少子高齢化社会の対策にその税金で何をするかまで言及して初めて主張として成り立つところでしょう。