見出し画像

ついにポイントとか株を配り始めたので経済は臨界状態に達したかも

うーん。

これはほんと江草の直観でしかない、つまりは勘に頼った話なんですが、いよいよ経済が臨界状態に近い感じがします。

というのも、なんか企業がポイントとか株とかを「ただ配り始める」みたいなことがちょいちょい出てきてる感じがするからです。

付け加えるならば、この両者の合わせ技みたいな「ポイントを投資させる」という「ポイント投資」も流行ってます。

これ、ポイントや株を配ると言っても、それがあくまでピュアに「お金」を配ってるわけではないというのがキモだと思うんですね。「お金」は国(厳密には中央銀行)の管轄ですが、「ポイント」とか「株」というのは企業が勝手に発行できるものだからです。

たとえば、「ポイント」は要求されたらあたかもそれが現金であるのように値引きに使用できるからお金と一緒と思われるかもしれませんが、実際にポイント利用を要求されるまでは現実には支出にはならないという点がポイントです(「ポイント」だけに)。

いつ作ったかも分からないどこかのお店のポイントカードって、皆さんの財布なり引き出しの中なりを探ってみたらいくつかあるんじゃないでしょうか。それって、その中の「ポイント」は引き換えすることなく、死蔵されたままですよね。となると、その「ポイント」を発行したお店はその「ポイント」分の実負担から逃れることができてるということになります。出し得ですね。

だから、極論、「ポイント」がどれぐらいの割合で死蔵されるかを予想しておけば、本当は出しちゃいけないぐらいの量の「ポイント」を発行できちゃうわけですね。一斉に引き換えられると破産するけど、一斉に引き換えられることはないと踏んで、「ポイント」を大盤振る舞いしてお得感を演出できると。

その目で見ると「ポイント投資」というのも、「ポイント」を引き換えさせず投資で含み益のままでほっておいてもらって、死蔵割合を増やそうという狙いに見えます。だって、ポイント投資が調子よく右肩上がりで増えてたら、ユーザーがもっと「ポイント」増えるかもしれないと思って引き換えなくなる気がしませんか?投資させることで見た目上のポイント量(含み益)は拡大しても、企業側からすると現実の「ポイント」引き換えの実費負担を抑える効果があるのではないかと推測されます。

ちなみに「ポイント」でなく「株」の発行の方はどうか。本来は株主に利益を配当して還元する義務も生じますけれど、株は倒産したらただの紙くず(最近は株券もバーチャルだから「電子くず」?)です。この辺が、「ポイント」みたいに分かりやすく「お金」と互換性がある「負債debt」ではなく、なんやかんや適当な時に株主の責任に押しつけて解散させることができる「equity」の小狡いところですね。(いや、「ポイント」も突如倒産したらあっさり紙くずになるのかな?その辺、法的にどうなってるか不案内ですみません)
それでも企業に期待感を持ってくれる人たちがいれば、「株」の発行は「ポイント」と同じか同等以上にお得感を出すことはできるでしょう。
なので、「株」をジャカジャカ配るのも、「ポイント」をジャカジャカ配る(場合によっては「ポイント投資」もさせる)のも、実際の引き換えを先延ばししつつお得感を演出する仕掛けとしてあんまり変わらないと思います。


で、本当は採算が取れない量の「ポイント」を超過発行するのって、銀行の「信用創造」にそっくりなんですよね。

実は、銀行も預金者から預かってる額以上の額を融資に回してるんですよね。一斉に預金者がお金を引き出そうとしたら、そんな大量のお金はないので破綻しちゃう。でも、一斉に預金を引き出されることはまずないから、日常的には大丈夫という仕組みですね。(逆に言うと金融危機などで取り付け騒ぎが起きると大ピンチなわけです)

なので、預かった分以上に貸せるということで、銀行は事実上「世の中のお金を増やせてる」ことになります。これが「信用創造」です。

ここで対象があくまで「お金」ではない別物ではあるとはいえ、「ポイント」や「株」を好き放題に発行しまくるのは、本来無理な額を他人に気前よく発出しちゃうという意味で、「私企業製信用創造」な感じがするんですよね。

ここで銀行はやっぱり一応、金融庁なりなんなりで、色々厳しい管理がされてるので、本格的に無茶なことはしにくいようになってるんですけど、こういった一般企業の「ポイント」や「株(特に未公開株)」の過剰発行はあんまり管理が行き届いてないのではないでしょうか。この辺が江草も素人で自信が無いので、だから冒頭で「勘」と述べたのですけど、なんか嫌な予感がするわけです。

好き放題に発行できるなら、その信用は思いのほか「ジャンク」なおそれがあります。一部の大胆な企業が、ちょっと本格的に権利を引き換えられると破綻するようなギリギリを攻めちゃってるかもしれない。そういう「不渡り」が出ると、連鎖反応的にヤバいことになりえるのが現代の経済社会なので、とても心配なのですよね。

実際、先のリーマンショックでも、「CDO(Collateralized Debt Obligation)」という信用不安をごまかすデリバティブ商品を乱発したことが原因であったと言われてます。つまり、よく分からないごちゃごちゃした複雑な操作でそれに信用が乏しいことがバレないように、それっぽく「張りぼて」が仕立て上げられた商品が出てくるとヤバいってことですね。

「ポイントを配ります」とか「株を配ります」とか「ポイントで投資しましょう」とか、なんかそれっぽいですけど、それがあくまで直接的に「お金を配ります」「値引きします」でないところに嫌な予感がするわけです。最初からお金を配れるだけ、あるいは割引できるだけの余裕があるなら、そうしてもいいはず。でも、なんやかんやそれっぽい口上を述べて、あえてそうしない。だから、本当は負担する気がない(できない)だけの「信用」を企業が勝手に乱発しちゃってるフェーズなのではないかと。

こんな風に、実体経済の姿が見えずに、いよいよ金融マジックばかりになってきたら、局面としてはとても怖い感じがします。

まあ、ただの江草の勘なので、「個人の感想です」ってやつなんですけど、ちょっとそろそろドキドキして参りました。


ちなみに、この問題は、本当はお金を発行する国家システムに対しても言えることでして、それで好き放題国債を発行することに懸念する人が出るわけですね。特に「ベーシックインカムを配るぜ」となると、企業の「ポイントを配るぜ」と何が違うのか、となるのは至極当然の疑問でしょう。

江草もベーシックインカム支持派ではあるので、これは課題だなあと自覚はしています。ただ、結論が出てるわけではないのですが、少なくともベーシックインカムはやっぱり国家システムについて民主主義に基づいた管理がなされることが前提と思ってます。

企業の場合は、あくまで経営側立場の人たちと、消費者などのユーザー側の立場の人たちと立場が二分されてしまいます。しかし、民主主義国家の場合は、一応は国家の経営者とユーザーがともに同一の「国民」となり、この点が異なるわけです。(あとは「営利企業」と「国家」ではもともと求められる役割が違うはずだろうという感覚もあります)

まあ、理想の民主主義国家運営こそ絵に描いた餅と言われるとそうかもしれないのですが、しかしそうだとしても好き放題に「ポイント」を発行できる私企業とどっちが信用できるかということになるのでしょう。


※なお、江草は先日『投資依存症』を読んだばかりなので、経済に対してネガティブな気持ちになってるだけかもしれません。投資は自己責任でおねがいしますね😉


いいなと思ったら応援しよう!

江草 令
江草の発信を応援してくださる方、よろしければサポートをお願いします。なんなら江草以外の人に対してでもいいです。今後の社会は直接的な見返り抜きに個々の活動を支援するパトロン型投資が重要になる時代になると思っています。皆で活動をサポートし合う文化を築いていきましょう。