おもちゃ売り場のおもちゃ試遊ゾーンをなんとかしたい
子どもを連れておでかけする時、商業施設のおもちゃ売り場に時々あるおもちゃ試遊ゾーンに助かっています。ここで言う試遊ゾーンとは実際の商品として売られているおもちゃを子どもが遊べるゾーンです。
見本ということなのでしょう。おもちゃを試しに遊んでみて気にいったらぜひ買ってくださいねという狙いなのだと思います。
子どもを買い物に付き合わせてる親の立場からしても、子どもの不満のガス抜きができるこのゾーンはとにかくありがたいんですね。子どもが退屈で不機嫌になり始めた時に「じゃあ、おもちゃ売り場いこっか」で大分素直に笑顔になります。おもちゃを前にするとほんと熱心に夢中になって遊んでいます。(引き剥がすのが今度は大変になるぐらいです)
そんなありがたい試遊ゾーンなのですが、なかなかにビジネス構造的に限界がありそうだなあとも感じます。
まず、買ってもらうための試遊のはずなのですが、そこで子どもがおもちゃを気に入ったからといって本当にそのおもちゃの購買につながるかどうかはかなり怪しい。
こう言うとなんですが、おもちゃ売り場のおもちゃってAmazonとかに比べても割高で、値札を見るとうーんとなってしまうんですよね。どうせ買うにしてもネットで宅配してもらう方が荷物もかさばらないし楽というのが現実です。
この辺は家電とかでもある問題ですよね。実機は家電量販店でチェックするけれど、買うのは最安値のネットショップで、みたいな。
いやもちろん、タダで遊ばせてもらってるんだから買って恩返ししてあげろよという話ではあるのですが、ちょっと寄るたびに買うほどにはおもちゃは安い物でもないですし、だいたい家におもちゃの置き場ももはやないのですよね。
あと、おもちゃって買ってもすぐに子どもって飽きるんですよね。一部ロングラン大ヒットするおもちゃもありますが、飽きる時は速攻で飽きるので親的には慎重にならざるを得ません。
子どもが「欲しい!欲しい!」と泣き叫んでいたから買い与えたのに、数日経ったらケロッと興味なくしてる。そんな理不尽なのが、ちびっこモンスターなわけで。
言ってみれば、試遊ゾーンは「いつもと違うおもちゃ」だからこそ子どもにとって魅力があるという側面があります。買ってしまうとそれはすぐにただの「いつものおもちゃ」になってしまうので悲しいことに魅力が減じられてしまうのです。
おもちゃが割高だし、おもちゃの置き場もないし、おもちゃはすぐ飽きられちゃうから、そこそこ買うには慎重になる。
試遊ゾーンはありがたいので恩返ししたいのはやまやまなのですが、そんな感じで、どうにも実購買に至る雰囲気が出ないんですよね。(それでもなんとかちっちゃい小物を時々買って恩返しみたいにはしてますが)
そしてまた、試遊ゾーンの実に難しいところだなあと思うのが、おもちゃの損耗ですね。
おもちゃって、コースを転がすためのボールだったり、小さいミニチュアの家具だったり、組み立て用のパーツだったりと、いくつも部品があるものです。子どもたちが遊んでるうちにどっか行っちゃってるんだと思うんですが、そうした部品がなくなってるケースが少なくないんですね。
ひどいときにはもはや遊ぶためのアイテムは全くなくなっていて本体だけが取り残されてるおもちゃもあったりします。試遊の意義さえ失っている悲しい状況に親目線でも苦笑せざるを得ません。
もちろん付き添ってる親たちも注意はしてると思うんですけど、子どもたちの自由でカオスな遊びっぷりにかかれば、一部のパーツがどっか飛んでっててもなかなか気づきにくいものです。
特に試遊ゾーンでは複数の子どもが入り乱れることもあるし、親にとっても知らないおもちゃなのでどういうパーツが存在してるかが把握できてないし、別種類のおもちゃたちのパーツが混ざってしまっていたりして、その中の欠品に気づくのはかなり難しい。
そうこうしてるうちに一つ、また一つとパーツが消えていって、しまいには裸のおもちゃが悲しくも残されるということになると。
これを日々片付けるおもちゃ売り場の店員さんも大変だと思うんですよね。ぐっちゃぐっちゃにかき混ぜられたパーツを適切なおもちゃに戻さないと行けないし、台の下とか隙間とかにパーツが落ちてるのを見つけないといけないしと。相当な労力がかかってることはまちがいないでしょう。江草も毎日家で散らばってるおもちゃを片付けてるから共感します。
まあ、子どもにおもちゃを遊ばせてたら自然とパーツはなくなりますよね。(上の記事で書いてた江草家のジグソーパズルも無事ピースが行方不明になっています)
で、パーツがなくなって試遊の意義さえ失ったおもちゃがそのまま残されてることからしても、試遊ゾーンに投資する余力やインセンティブがおもちゃ屋の方としてもおそらくほとんどないんだろうと推測されます。新しいおもちゃを入れてもまたすぐにやられちゃうのが目に見えてるからと。
実際、試遊ゾーンはじわじわと減ってきてる気もします。時々訪れてた、とあるおもちゃ売り場の試遊ゾーンは以前急に消滅してしまってました。やっぱり試遊ゾーンは労力やお金だけかかって店的にもあまり得がないということなのでしょう。
試遊が購買につながればもちろんいいんでしょうけれど、上で言った理由からあんまりターゲットであるはずの親の心理にフィットしないところがある。
つまり、試遊ゾーンがビジネスとして成り立ってない感じが拭えないんですね。
でも、親目線ではけっこう助かってるんですよ。ありがてえと思ってるんですよ。それゆえ、試遊ゾーンに衰退の一途を辿られるのは苦渋の思いがあります。ただ、どうにも、うまい具合な恩返しがし難いんですね。
だから、なんかもうちょっと自然にお金を払うインセンティブが発生して、客も子もおもちゃ屋もWin-Winになるシステムができないものかなあと思うのです。
まず、思いつくのはマネタイズを購買じゃなくて利用料を取ることで実現する策でしょうか。
「お金を払えば自由にここにあるおもちゃを遊んでいいよ」とする形ですね。これなら、実際におもちゃが買われなくともお金は集まります。値段設定は難しいでしょうが、うまくやればどうしても避けられない部品の自然損耗もまかなえるようにできるかもしれません。
まあ、ぶっちゃけすでに存在してるモデルではあるんです。ボーネルンドとかおもちゃ王国とか。有料でおもちゃを好きに遊んでもらう施設ですね。
ただ、それらのレベルになってくると、商業施設のおもちゃ売り場の試遊ゾーンとは意味合いが違ってきちゃうんですよね。大きな遊具まで設置されてる大がかりな施設であったり、場所が遠かったりします。
何よりそうした施設は「おもちゃを遊ばせに行く場所」であって、商業施設での買い物のついでにちょっと寄る感じではないんですよね。おもちゃ遊びが主目的になってしまってる。
冒頭でも語りましたけど、親視点で言えば、買い物の途中で子どもが退屈そうになった時にちょっと寄れる、そんな日常生活の隣にあるような気軽さが欲しいわけです。「遊びに行くぞー!」と意気込んで行く時でなく、恩恵に預かれるのが試遊ゾーンのありがたさなのです。
だいたいボーネルンドみたいな大きな遊具があるそこそこ広い施設になると、子どもを追っかけたり手助けしてるだけで親的にもヘトヘトになるんですよね。その点、おもちゃ売り場の試遊ゾーンは、エリアも限られてて目が届くし、激しい動きもないから親的にも目は離さずとも手は離せるという休憩感があります。
だから、いくら同じ利用料を取るモデルと言っても、ボーネルンドとかおもちゃ王国みたいな、ガチ勢になっちゃうと、ちょっと違ってきちゃうんです。
なので、もうちっと小規模で課金するシステムで成り立たせたい。
でかい遊具とかなく、ただおもちゃが数種類置いてあって、日常の買い物の動線のそばにそっとありつつ、利用が課金されることで維持費をまかなう。
この辺ビジネス素人なのでなんとも分からないのですが、いっそサブスク形式はどうでしょう。毎月定額払ってれば、好きなだけおもちゃ遊んでもらっていいよと。イメージ的には「シェアリング・トイ」。
おもちゃ売り場があるような商業施設だけにあるのではなく、スーパーやらコンビニやら、親が子連れでいかないといけないような施設のスペースの一角を間借りして、小さなおもちゃ遊びスペースを設ける。いくら遊び放題と言っても、個々のスペースは小規模なので子どもは長くかからずに飽きてすぐに移動するでしょうから、そんなに長く居座ることもないはずです。
本当に世の中のあちこちにそのサービスがあるのであれば、月額課金をしてもいいかなと思うインセンティブも出うるかもしれません。
……うーん。
と、言いながらやっぱり無理がありそうな気もしてきました。
これをしようとすると、誰かがいちいち課金済みかどうかのチェックをしないといけないし、無課金の子が勝手におもちゃに触らないようにスペースを隔離しないといけないとなると、けっこうな大事ですよね。
設置する施設側にスペースの間借り料を払うにしても、それこそあまり貸主のインセンティブにはなりえなさそう。
もはやおもちゃ売り場から離れちゃってるから、おもちゃ屋さんとのWin-Winになりようもないし。
ぐう。厳しい。
なんとかしたいんだけど、なんともならなさそうで、もどかしい。
かといって、おもちゃをバンバン買う感じにもならないし。
かといって、試遊ゾーンがなくなるのも寂しいし。
なんとかならんものですかねえ。