qu'est-ce que la vie
なり切った
このひとを今生き切った
緞帳がおりていくなか
拍手、歓声がからだを
突き抜けていく
されどこのひとの人生
この人のこの世に生まれ落ちた
命の底の底 たどりゆき
掴み切れたと言えるのか
突然襲いくる虚しさ
舞台で演じているだけか
演出家と争いつつも
ご贔屓のお客ならわかって
楽しんでもらえると
思い込んだ舞台の流れ
ひとりよがりにしつらえて
この人を演じて見せる
ゆるされることなのか
ただお芝居だと
安心して役者を、芝居を
楽しみに見に来ているからと
そんな思いで
舞台に仕立てて
公演を続けて
方便(たつき)がたてばよいのか
明日舞台に立つ時
この人が見に来ているだろう
その時そんな人生ではなかったと
叫んで舞台に駆け上ってくる
こんな芝居でこの人を
演じ切ったなどと
どうしてそんな傲慢な
媚びた芝居にして
私を貶め私を演ずるのかと
明日その時
どんなセリフで返せばよいのか
人の人生をその程度にしか
理解できず
そんなものとして演出され
それに同調して
見ているはずもない本物の観客を
排除して
見に来たものどもと
ともに人生を愚弄し
昼日中芝居見物に
足を運んでくるものたちと
その時ばかり
劇場の外の現実忘れて
満ち足りれば十分だと
そんな舞台も芝居も
本当の人生と真向わない
単なるつくりもの
それがどうしてひとの人生を
演じ切ったことなどになるのか
明日舞台に立ってこのひとを
この人が見ている前で
この人の人生を演じ切れるのか
それとも生涯休演することを選ぶのか
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