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都立高校入試のESATJスピーキングテスト(問題点の整理)

11月27日は都立高校入試で批判殺到のスピーキングテストが行われます。
何故、批判が殺到しているのかを考察すると、いくつかの理由が挙げられます。

・採点を特定企業に委託している
特定企業を利する行為(採点のみならず教材開発や各学校にコンサル的に入るのも有利)ですし、大学入学共通テスト記述式で起きた問題と同じことが考えられるためです。
現在でも、皆さん一般人の知らないところで教育情報コンサルタント会社が学校に入り込み、学校関係者に講演や資料提供などを行っています。あたかも悪のように書いていますが、非常に有用な情報を提供してくれます。だからこそ学校側も頼ってしまうのですよね。

・採点がフィリピンで行われる
世間ではこれが重大な問題とされていますが、大学入学共通テスト記述式でもアルバイトの採点がバッシングされました。そのこと自体に問題があるわけではなく、採点の妥当性があるのかという点で課題が残ります。共通テストでは採点のブレが出ないような問題設定にしていることで、記述式の意味がなくなってしまうので逆に問題でした。
今回のスピーキングテストの場合は日本人の発音の癖や学校教育で習う単語などを知っておかないと、それで有利不利が出てしまう可能性があります。またフィリピンは一応現在は実効支配的に公用語になっていますが、もともとの公用語国ではないため、英語のできるフィリピン人が採点しているという点においては日本人の抜群に英語ができる人が採点するのと変わらないことになります(単に人件費抑制策?)。アメリカやイギリスなどのもともと英語が公用語の国であれば、名目上ネイティブによる採点という日本人には替えがきかない制度になるのですけどね。

・公立中学校では発音的に英語が話せない教師が英語を教えている
以前よりは多少マシになったとはいえ、相変わらず英語がロクに話せない公立中学校教師にしか英語を教わっていない前提なのに、それでスピーキングテストを行うのですから妥当性が担保できないことになります。最低レベルの教師から教わったことを前提に、それ以上できていれば全員満点にしないと不公平ということになります。つまり、話した内容の文法などでは点差をつけてもいいけど、カタカナ発音とネイティブみたいな発音で点差をつけてはならないのです。

・英会話と発音は学校教育よりも家庭環境が大きく左右する
英会話は海外在住経験がある、英会話塾に通っている、親が英語がある程度話せるなど、家庭環境によって大きく左右される科目です。他の科目もそうじゃないかと言うかもしれませんが、体育や音楽同様、努力でカバーできる範囲が小さいのです。家にピアノと楽譜だけ与えて、指導者もなく「頑張ってピアノを弾きなさい」と言ってまともに弾けるようになりますか? なりませんよね。それと同じことを中学生に強いているのです。
たしかに、少し耳を鳴らす、発音までのレスポンスタイムを早くすることはできるかもしれませんが、せいぜいそこまでで、LとRの発音をよくする、リエゾンを的確に表現するなんて指導もなく中学生個人でできるものではありません。また、CBT制ですが、中学校までの教育で情報教育は必須のものではないので機械操作の上手下手や心理的障壁も点数に影響する可能性があります。

次回のnoteでは私が実際に問題を解いてみることにします。


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