塾代助成事業とカジノ
塾代助成事業
松井一郎大阪市長は、今中学生に対して行われている塾代助成事業を小学校5,6年生まで拡大したいという見解を示した。この塾代助成事業というのは、中学生一人当たり月額1万分のクーポンを支給して、それを学習塾やダンススクール、吉本の芸人養成学校などの月謝の一部に充てることができるというものである。子育て世代への壮大なバラマキ政策である。
これは橋下徹が大阪市長だった頃に始まったそうで、2013年12月に大阪市全域でスタートしている。支給規模は年間15億円で、その事務手数料が5億円かかっている。大阪市内の中学生徒数は6万人程度だから一人当たり2.5万円ということになる。おそらくクーポンを利用しない人や世帯収入などから支給対象外の人がかなりいるのだろう。
学力テスト最下位
オレがこの事業を評価しない理由は、成果が出ていないからである。もしもこの塾代助成事業が劇的な成果を上げていれば、中学生の学力上昇につながるはずだ。しかし10年近く継続していて目に見える効果は上がっていない。実際の大阪の教育状況と言えば学力テスト全国最下位を沖縄と争っているというのが現実である。
塾に行けば必ず学力が上がるものではない。それは学習というものは本人が自発的に取り組むから効果が上がるものであり、塾になんか行きたくないのにクーポンがあるからと親から命令されて無理やり行かされる子どもには逆効果だろう。やる気のない生徒は塾でもただ遊んでいるだけである。
選挙対策という名のバラマキ
この無意味な政策をなぜ大阪市がやっているかと言うと、それは維新の会の重要な選挙対策だからである。維新の会というのは他の国政政党とは全く性格が違う。他の国政政党というのは政治に対して何らかの意志や目的がある人たちが政党(パーティー)を組んでいるわけだが、維新の会はとりあえず議員になりたい人のための当選互助会なのである。彼らの目的は住民のために何かするということではなく、自分が議員であるという地位(既得権益)を守ることなのだ。これは維新の会の議員の多くが親や親せきが議員で、世襲的な形で政治に関わっていることからもよくわかる。オレの居住する地域の維新国会議員ももちろん親子2代の議員一家である。
「議員になる」「政治家になる」という強い目的があるため、維新の議員や首長は常に「選挙でどうやって勝つか」ということを考えている。大阪の場合は府知事、大阪市長の二人が公務そっちのけで選挙応援に駆け付け、吉村知事は常に「大阪府知事」という肩書で衛星都市の首長選挙で応援に入る。そして「知事とのパイプ(癒着)」を強調して選挙で勝つのである。選挙スタイルそのものは昔ながらのどぶ板的なものだが、何も考えてない騙されやすいおっちゃんオバハンを騙すにはもっとも有効である。
助成金のカラクリ
大阪で子育て世代の票を獲得するために維新の会が仕掛けたのがこの「塾代助成制度」と、「私立高校の授業料の一部または全部の補助」である。長々と「私立高校の授業料の一部または全部の補助」と書いたが、誰でも無償化されるわけではなくて、所得制限があって全体の6割の生徒だけが「全額補助」となっていて、他は「一部補助」または「補助なし」なのである。仮に年収1000万という世帯なら、子どもが5人いて教育費がかかって大変ということであっても、私立高校の授業料は全く公費では補助されないということなのである。
この私立高校の授業料補助の制度、一部だけの補助でもすばらしいと保護者が思ってるとしたらそれは間違いで、その原資は地方交付税として国から出ているお金がほとんどである。本来なら助成金として直接学校に渡されるお金を、大阪府は恩着せがましく保護者経由で渡す仕組みにしているだけのことである。府独自の補助金も+αで含まれるがそんなものはわずかである。また直接学校に渡される助成金の額は橋下徹が知事の時に大幅に削減された。そうしてゼニを浮かしているからちゃんと原資はあるのだ。
「改革をやってる」「塾代助成は助かる」と有権者に勘違いさせることで維新の会は得票を伸ばし、昨年秋の衆議院選挙では大阪府下の小選挙区の議員を公明党に与えた4議席以外独占した。この壮大なバラマキによって買収された住民たちは強固な「維新支持層」となったのである。
維新支持者でもカジノには反対の人もいるだろう。それは維新支持者が全員大阪市廃止も支持していたわけではないことでわかる。もしもカジノの是非を住民投票で問えば、反対派が勝つ可能性が高い。だから維新の会は自民党が出した住民投票案を公明党と組んで否決した。負けることがわかっているからである。
維新の会は選挙に強い。それは塾代助成や私学授業料の一部無償化などの小銭バラマキ政策によって手なづけた有権者が支持層となっているからである。「維新はよくやってくれる」と本気で勘違いしてる人たちである。
催眠商法と詐欺師
これは老人たちを相手に騙すあの「催眠商法」とよく似ている。無料のものや安いものをたくさん配った後で、最後に高額な羽毛布団とかを買わせるアレである。いろんなものを先にタダでもらったりしている以上断りにくく、またそれが素晴らしいものであるかのように騙されているので、お年寄りは高額ローンを組まされ、買わされてしまうのである。
すでに小銭を受け取ってる有権者は維新の会に逆らえずに投票する。それは最終的に彼らの推進する「カジノ」という羽毛布団を買わされることになるのである。維新に投票するということはカジノに賛成することと同じである。カジノのために費やされるゼニは1兆円を超える。このゼニは市民が将来返済することになる。カジノの売り上げで返せると維新の会は宣伝するが、その試算というのは杜撰そのものである。年間入場者数の予測は2000万人ということだがこれはUSJの1500万人よりも多い。
シンガポールにある有名な世界的カジノ「マリーナベイサンズ」の入場者は4000万人を超えるがその年間売上高は2000億円ほどである。ところが舞洲カジノの売上高の予測は4200億円である。
「マリーナベイサンズ」の半分の入場者で2倍の売り上げを出す予測である。それは来場者として想定されている大阪のDQNどもがシンガポールの4倍負けないと達成できない。
この試算を堂々と語る連中に対して一言だけ言っておきたい。
この詐欺師どもめ!
大阪市民は将来にわたって巨大な負の遺産となったカジノの借金を背負わされ、損失補填までさせられるのである。介護保険料や国民健康保険料はどんどん値上げされるだろうし、住民サービスはとことんまで切り詰められるだろう。そこまでして作りたいという舞洲カジノの実態は、巨大なパチンコ屋である。
しかし、フェスゲもオスカードリームもオーク21も、最後はマルハンになったわけである。舞洲カジノもパチンコ屋になって終わることは間違いない。それを招いたのは維新の会に騙された大阪の住民である。
もう遅いのだが・・・・
モノ書きになることを目指して40年・・・・ いつのまにか老人と呼ばれるようになってしまいました。