【宮崎大学発ベンチャー企業】「株式会社Smolt」上野社長の「好き」を仕事にする人生観【後編】
こんにちは、エクサコードの重永です。
今回は、「株式会社Smolt」の代表である「上野 賢」さんへのインタビュー後編です。
前回は、上野さんの幼少期から大学の研究室に入るまでを紹介しました。
前編をまだご覧になっていない場合は、下記リンクからご覧ください。
01.ビジコン出場で学長賞を獲得
ビジコン出場から学長賞を獲るまでの経緯についてもお話を聞きました。
「ビジコンは初めはこんなイベントがあるんだくらいの感覚でしたけど、当時は研究と産業の結びつきを薄々感じていた時期でした。」
「というのも、うちの研究室は直接現場に行って魚を獲ったり生産者の方と話して研究を進めていくところで、生産者の方々は作ったものがどう売れるか、いくらで売れるかを考えなければならないじゃないですか。」
「研究だけやっていたら狭いし、研究者の自己満足になるなと思ったんです。」
学会の発表でも自己満足の研究は多いらしく、そうならないために世の中を見ながら勉強する、その勉強としてビジコンはいいかもと思い参加を決意されたそうです。
「それで参加した結果、学長賞をもらったんですけど、僕はそれが大学が求めるスタイルだったから賞をいただけたんだと思ってます。」
「そうやってビジコンを通して色々な起業家たちと出会う中で刺激を受けて、自分自身やっても特にリスクはないし、産業やビジネスを学べるといいなと思って、起業してみようと。」
「2017年に第一回ビジコンがあって、そこから1、2年事業計画などを立てたり準備して、2019年に会社を設立しました。」
02.人が共感しないと研究として面白くない
学会でも自己満足の研究が多いとのことで、実際に他の研究を見る機会が多かったのか質問してみたところ...
「起業しながらではあるんですけど、外部で海外研修があって、韓国で研究発表する機会がありました。」
「他には、国内の技術の学会があって、そこでも学生として色々な人の研究を聞く機会がありましたね。」
「この研究分野って面白いよねとか、それが分かってくると次の技術に発展するよねとか、共感する部分があるかないかってかなり大事で。」
「人が共感しないとやっぱり研究として面白くない、世の中の皆んなが悩んでいることがビジネスとして評価されるし、それは研究も同じなんですよ。」
「客観的な例が一個でもあればいいけど、俺はそう思ってるんだよねみたいな一方通行だと誰も共感しないし、最初の1分で聞く気が失せるじゃないですか。」
「ベンチャーのピッチとかでもそうですけど、僕らが事業をすることでどう世の中が変わるか、誰がハッピーになるかが大事ですね。」
「10〜20年前はこうやったら儲かりますで投資が集まってたらしいですけど、今はそうじゃない。お金を持ってる人たちの意向がそうなってるんですよ。」
03.時間をかけてゆっくり課題を聞いていく
どう世の中が変わるか、誰がハッピーになるか、その消費者の困り感を見つけるためのコツもお聞きしました。
「僕らの研究は技術ありきで、この技術が誰を喜ばせるかという視点でした。」
「本来であれば、ここが困っているからこれをやってあげるという順序が大事です。」
「困り感を見つけるコツは、自分のお客さんになるであろう人たちとお付き合いをしていく中で、時間をかけてゆっくり聞いていくことですかね。」
「その中で何気なく出てきたことが、実は大きな課題だったりします。」
「僕自身、事業計画を立てていく中でゆっくり課題解決を考えていきました。それで日々事業計画がアップデートされていくイメージです。」
04.自分の研究に酔いしれるな
大学発ベンチャーはどうしても技術先行のことが多いですよね、というインタビュアーの発言に対して上野さんは...
「本当そうなんですよ。イケてないところが多いんですよ(笑)」
「自分の研究に酔いしれてる人がほとんどで、作ることだけ専念すればいいんだよという人もいますね。」
「僕は会社として、ベンチャーとしてやるならそれは間違っていると思っています。」
「僕は今、魚の養殖の研究じゃなくて、マーケティングとか販売とか、ブランディングもそうですけど、そういうのを勉強してますし、そこを見ずして売上を上げるのは無理ですよ。」
ついつい自分のやっていることにばかり目が行きがちですが、ビジネスをやる上でこの視点は忘れないようにしたいですね。
「うちもやっと売り上げが出てきました。本当にやっとですよ。」
「2019年に立ち上げて今3年目くらいでやっと売り上げが出てきて、それまでは投資資金で回していく感じだったんで...大変です。」
05.人間関係を良好に、堪えて堪えて自分のやりたいことを続ける
テレビにも出て、名前もかなり聞くようになって、株式会社Smoltは宮崎を代表するものになっていきそうですよね。
「本当にコツコツやっていくしかないですね。」
「周りの人と仲良くしていくのはベンチャーとして大事で、ブチギレたくなることもありますけど、それを言わずに人間関係を続けること、堪えて堪えて自分のやりたいことを続ける忍耐ですよね。」
「やっぱり人に繋がる縁がとてもあります。」
「率直に不安などを打ち明ける相手がいるのも大事だし、そういう風に課題を共有して皆んなで解決していくんですよ。」
「メディアに出る必要があるならその業界の人と繋いでもらうとか、側から見て注目されていると感じることも、実はこっちで仕込んでやっていたりします。」
「ビジコンで取った賞もこちらから応募して評価してもらっている訳ですし。」
人間関係を良好にしながら、全ては戦力の上に成り立っているということのようです。
とにかく考えて考えて、考えまくることが大事なのかもしれません。
06.好きなことをやるのには相当な覚悟がいる
好きなことでずっとやっていくことに不安がある人は多いと思いますが、今回はそれについても質問をぶつけてみました。
「好きなことをやるなら、自分の苦手なことや嫌いなことも避けては通れません。」
「僕は好きなことをやりたいなら大手に行くべきで、そこの専門職の部署に入ればいいと思ってます。」
「でも、組織に入ると自分の嫌なこともやらないといけないですよね。」
「お金を稼ぐ、生活をしていくには、好きなことをやるのは相当な覚悟がいるんですよ。」
つい好きなことをやることだけが先行してしまいますが、やっぱりどんな選択をするにも、それ相応の覚悟が必要ですよね。
「好きなことをやる中で別の好きなことが出てくることもありますよね。」
「僕も途中でマーケティングが好きになって、商学部に入れば良かったと思ったこともありました。」
「今好きなことが10年後まで好きとは限らないですし、多分もっと好きなことは増えているはずです。」
「好きなことがあればやればいいし、その過程で嫌いなことも経験して、自分が成長できればそれで良くて、そこで何か新しい好きなことも見つかればいいと思ってます。」
07.色々なところに顔を出してみる
マーケティングが好きになって商学部に入れば良かったと思った、という発言から上野さんの今までの後悔について聞いてみると...
「皆んながやってて僕がやってないことでいうと、就活ですかね。」
「会社がどのような考えで動くかとか、僕は会社を起こしてから色々勉強しましたけど、その前に自分を見つめ直したり、会社というものを勉強しておけば良かったなと。」
「やった方がいいなと思うことで言うと、色々なところに顔を出すことです。」
「周りを気にせず、色々な大人と会って、刺激を貰って自分の糧にするのがいいと思います。」
08.学生からアクティブに大人と会う
宮崎大学は、大人に会いに行くという観点ではどうなのでしょうか。
「物理的な距離として街、経済の中枢から離れているっていう問題はありますね。」
「イベントとかは沢山あるけど、基本的にバイトや街飲みくらいしか大人に会える機会はないし、今はコロナでそれも大変じゃないですか。」
「でも、学生からアクティブに動くべきだとは思います。」
「今はZoomでのセミナーみたいなものもあるので、コロナを逆手に取ってオンラインを活用するといいんじゃないですかね。」
09.最後に伝えたいこと
最後に上野さんが学生に伝えたいことをお聞きしました。
「Smoltと一緒にインターンやアルバイトをやってみたい、スタートアップってどんな感じなんだろうと経験したい人がいれば、ぜひご連絡ください。」
「仕事内容は、主に広報やSNSの運用、バックオフィス系が多いと思います。」
「取引先とのメールのやり取りであったり、その日程調整であったり、身の回りの手仕事ですね。商品の発送梱包もあります。具体的な日付とか在庫コントロールをしながらやってもらいたいです。」
「場所は産学地域連携センターがメインで、もしくはオンラインになります。」
「今はこれが足りないからこれやろうみたいな、その都度色々やることが出てくる所謂ベンチャーの働き方になると思います。」
「ベンチャーってどんな感じだろうみたいな、学びの意識が強い人が来て欲しくて、それが次期2、3年生であれば尚良いという感じです。」
10.まとめ
以上が株式会社Smoltの上野社長へのインタビューになります。
好きなことを仕事にするとはどういうことなのか、大学発ベンチャーとはどんなものなのか、学びになることがたくさんありました。
最後まで見ていただきありがとうございました!