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わかってるんだよ

わかってるんだよ ほんとうは何もかも でも知らないんだよ 与える術を あなたに言いたい突くような言葉も わたしは何の気なしに呑み込んで 呑み込んで 呑み込んで 毒になって身体を廻るの 与えてほしい愛情を宙ぶらりんにするから わたしたちはまだ本当の意味で ふたりになれていない ひとつになれない #ほろ酔い文学

    • この子の未来のためにできること

      私には娘がいる。彼女はまもなく2歳になろうとしている。 活発で、利発で、それでいて少し不器用な子である。不器用さは私譲りで、申し訳ないなと思っている。 私は双極性障害の2型である。産後うつも経験した。今でも情緒不安定になることが多く、特に月経前の感情の振れ幅がつらい。 娘は、母親がそんな病気なんて分かるはずもない。しかしこんな母親でも、娘は寄り添ってきてくれる。ちょこんと私の膝元に来ては、クレヨンで絵を描いたり(実際は色とりどりの丸や線やごちゃごちゃしたもの)、絵本を持

      • 愛くるしい

        あいーくるし・い【愛くるしい】 (形) (幼児などの顔やしぐさが)大層かわいらしい。 ー広辞苑 第六版より 辞書に載っている言葉の意味が、時折物足りなく感じてしまう。 あと少し言葉を足して、詩的にしてほしい。 それは全くもって自分勝手な要望。自覚はしている。 私の中でこの言葉は、甘く、そして少しばかり苦しい。 生まれてまだ間もない娘。 眠る姿も起きて泣き喚く姿も、胸が焦げ付くような痛みと幸福感に戸惑う。 只々涙が流れる。 感情が盛り上がるのでは無い。

        • 会えなくても、分かっていた

          10月27日。 いつもより早めに夕食を食べ終わり、いつもより早めにベッドに入って、本を読んでいた時だった。 突如携帯電話が震えた。末の弟からの電話だった。 「あのね…」 末の弟と私は結構頻繁にLINEでやり取りはしていたけど、電話を掛けてくるなんて珍しいことだった。どうしたのと軽い口調で私が出たものだから、普段通りに話し出そうとしたのだろう。あのねと繰り返して、躊躇してーーー電話の向こうの空気が震えていた。それが弟の嗚咽だと気がつくまで、随分と時間を要した気がする。