国内スパコンセンター(最下部のまとめファイルのみ有料)
はじめに
今や市民権を得た「計算力学」「数値シミュレーション」は,多くの学術研究や産業を支える基盤の一つとなっています.さて,数値シミュレーションは,最先端のスパコンで行われることが多いです.しかし,各大学(研究室)や会社でスパコン環境を十分に揃えるには,膨大な初期投資が必要となります.
そんな課題を解決し,我が国の充実した計算環境を提供しているのが,全国に点在するスパコンセンターです(スパコンセンターに関しては,HPCwireJapanで探すことができます。https://www.hpcwire.jp/supercomputerjapan).その中には,計算環境を一般提供しているところも多いです.
しかし、スパコンセンターのwebサイトを一つ一つ確認するのって面倒なんですよね!そこで、今回は,そんなスパコンセンターについて比較しました。
計算環境を提供するスパコンセンター
今回は、大学が運営するスパコンセンターを中心に整理しました。
北海道大学情報基盤センター
東北大学サイバーサイエンスセンター
東京大学情報基盤センター
名古屋大学情報基盤センター
大阪大学サイバーメディアセンター
九州大学情報基盤研究開発センター
筑波大学計算科学研究センター
理化学研究所
このほかにも、海洋研究開発機構や産業技術総合研究所、計算科学振興財団、さくらインターネット株式会社など、官民のスパコンセンターも利用することができます。私が、「学」の立場なので、どうしても大学運営のスパコンセンターに触れることが多いので、官民のスパコンセンターに関しては情報不足です。
CPUベースの計算環境
さて、スパコンでの計算において注意しないといけないのが、どのようなハードウェアでプログラムが動作するかということである。最も一般的なものがCPU(中央演算装置)で計算をするスパコンでしょう。これは、演算処理がCPUだけで行われるので、CPUの性能を活かすためのプログラムを記述するのが容易でしょう。そんなCPUベースのスパコンは下記のようになっています。
北海道大学 Grand Chariot(サブシステムA)
北海道大学 Polaire(サブシステムB)
東北大学 AOBA-S(ベクトル型プロセッサ)
東北大学 AOBA-A (ベクトル型プロセッサ)
東北大学 AOBA-B (ベクトル型プロセッサ)
東京大学 Wisteria Odyssey
名古屋大学 不老 Type Ⅰ
大阪大学 SQUID
大阪大学 SQUID(ベクトル型プロセッサのノードもある)
九州大学 玄界 ノードグループA
理化学研究所 富岳
一方で、CPUベースのスパコンでは、近年、演算性能が足りないことが多く、演算加速装置の一つであるGPUを用いたスパコンが普及しています!近年の生成AIブームもこのGPUを用いて演算するスパコンで計算するのが主流となっていますね!
GPUベースの計算環境
GPUによる高速演算をベースとしたスパコンは下記のようです。
東京大学 Wisteria Aquarius
名古屋大学 不老 Type Ⅱ
名古屋大学 不老 Type Ⅲ
大阪大学 SQUID
九州大学 玄界ノードグループB、C
筑波大学 Pegasus
筑波大学 Cygnus
東京工業大学 TSUBAME4.0
大規模なメモリ(RAM)を有する計算環境
さて、多くのスパコンにおいて、1ノード(台)あたりのメモリ容量は、(32GB),96GB〜512GB程度です。先日、マイクロソフトから発表されたCopilot+PCの性能要件の一つにメモリ容量が16GBであることから、スパコンでは大規模なデータを扱うことが良くわかります。しかも、実際の計算には複数のスパコンを連携させて(通信させながら)計算することも多く、一般の方が想像するよりも多くのデータを扱っています。
しかし、大規模データから情報を抽出したい、大規模なデータを可視化したいなど、計算の前後においては、より多くの情報を扱うことがあります。そんな時には、もっと大容量のメモリを搭載したスパコンで行うのが便利です。以下のスパコンでは、メモリ容量が512GBよりも大きいものとなっています。
2252GB 名古屋大学 不老 TypeⅢ
1024GB 九州大学 玄界グループノードB
8000GB 九州大学 玄界グループノードC
768GB 東京工業大学 TSUBAME4.0
スパコン性能の一覧表
上記のスパコンセンターのノード(スパコン1台)あたりの性能などをまとめた資料を添付します。内容は全て同じです。なお、ベクトル型プロセッサを搭載した東北大学や大阪大学の一部のスパコンシステムに関しては、まとめられていません。
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