【防災白書】もっとすごい防災の書籍があった!いや,公助に特化した防災書籍?データベースや防災の歴史に詳しい防災書籍!
はじめに.防災白書を真面目に見ることとする
さて,防災力を身に着けるため,「東京くらし防災」に基づき,自宅の安全確保を進めたり,エンジニアとしての事業継続を見直ししたりしてきました(下記マガジン:ゼロから始める防災).そして,防災士の資格を取得した私ですが,もっと防災の歴史を知りたくなってきました.そんなときに見つけたのが,【防災白書】です.
防災白書について,目次からその防災の書籍としての特徴を見たいと思います.詳細は,下記をご覧ください.
特集1 「火山」知る,そして備える
わが国で,地震や津波,洪水や土砂災害よりも珍しい災害が火山噴火でしょうか? 2014年に噴火した御嶽山噴火から10年経過したこともあり,特集1では,御嶽山噴火の教訓を踏まえた火山防災対策,火山防災に関する法改正等が記載されています.
私も火山噴火に対しては,どのようにすればよいか分からないので,しっかり理解して,どのように過ごせばよいか考えていきます(プライベート,仕事の両方で).
特集2 令和6年能登半島地震
今年は,元日から日本全国に衝撃が走りましたね.令和6年能登半島地震ですね.亡くなられた方・被災された方にお悔やみ申し上げます.
防災白書の特集2として,地震とその被害の概要や,具体的な国の対応,生業の再建支援策,復興に向けたまちづくりに関して記載されています.
下記では,我が国の災害の特徴と経年的な災害対策の取り組み(第1部),直近の令和4年度の防災関連の措置(第2部),これらを踏まえた今年度の防災計画(第3部)について記載されています.そして,白書の末尾には災害関連の各種データが取り纏められています.
第1部 我が国の災害対策の取組の状況等
第1章「災害対策に関する施策の取組状況」では,
自助・共助による事前防災等,国民やボランティア,産業界,学術界等,防災の基本である自助・共助についてまとめられています.
また,公助として,行政が防災に備えるための法体系や自治体の役割等が記載されています.
また,災害種別(地震・津波,風水害・土砂災害,火山対策
,雪害)ごとの対策についても記載されています.
この様な,歴史的に積み上げられてきた,我が国の防災力を向上するための「国土強靭化」を推進するための施策についてもまとめられています.
第2章「原子力災害に係る施策の取組状況」では,
原子力の防災体制について平時の体制と緊急時の体制について説明されています.また,原子力規制委員会の取組,地域の原子力防災体制を充実するための施策などが挙げられています.そして,令和5年度に実施された原子力総合防災訓練の状況についても記載されています.
第3章「令和5年度に発生した主な災害」では,
その題名とおり,下記の災害についてその概要が記載されています.
令和5年梅雨前線による大雨等に係る災害
令和5年台風第6号による災害
令和5年台風第7号による災害
令和5年台風第13号による災害
★ボランティア・NPO等による対応
第1部はこれでおわりです.
第2部 令和4年度において防災に関してとった措置の概要
第2部では,全部で6章から構成されています.
第1章「法令の整備」では,
まず,「福島復興再生特別措置法」が改正されました.ここでは,福島国際研究教育機構を設立し,その目的,業務の範囲,業務運営についての目標などが定められています.また,激甚災害に関する8つの政令が制定されたようです.
第2章「科学技術の研究」では,国策として推進されている研究や防災関連機関(国土交通省,防災科学技術研究所,消防庁消防研究センター,宇宙航空研究開発機構,会場・港湾・航空技術研究所,国土地理院,土木研究所,国土技術政策総合研究所,文部科学省等)の研究などが紹介されています.
下記に,一部抜粋して記載します.
情報収集衛星による自然災害観測・監視 技術
南海トラフ海底地震津波観測網の構築
農村地域の減災及び防災技術に関する研究
土砂・洪水氾濫発生時の土砂到達範囲・堆積深を高精度に予測するための計算モデルの開発
火山噴火予測に関する基礎的研究
雪崩及び冠雪害に関する研究
林野火災に関する一般研究
などなど
第3章「災害予防」では,
まず,災害に一般的に共通する事項として,教育訓練や防災施設設備の整備,災害危険地住宅移転等について紹介されています.
また,各種災害ごとに,教育訓練や防災施設設備の整備状況等が取り纏められています.
第4章「国土保全」では,
治水事業,治山事業,地すべり対策事業,急傾斜地崩壊対策事業,海岸事業,農地防災事業,災害関連事業,地盤沈下対策事業,下水道における浸水対策等が紹介されています.
第5章「災害復旧等」では,
直近の災害に対する災害応急対策,災害復旧事業,そのための財政金融措置,また,過去に発生した災害発生地の災害復興対策について紹介されています.
第6章「国際防災協力」もあります.
第3部 令和6年度の防災に関する計画
第1部,第2部で纏められた災害や災害復旧・復興事業に基づき,第3部では,こんねんどの防災に関する計画が整理されています.
附属資料
附属資料には,戦後の主な自然災害の状況や,それに伴う死者・行方不明者数等がまとめられています.これらに関しては,本ブログでも記事にしたいと思います.
また,戦後の防災法の制度や災害対策関係の法律等についても纏めれれています.
おわりに
防災白書の目次を見てきましたが,個人的な印象として,【防災白書】は【公助に特化した防災の教科書】という印象です.併せて,附属資料が充実しており,災害のデータベース,災害の歴史,法体系の歴史といった側面があると感じました.
皆さんも,興味がある方は,下記サイトからご覧ください!