(24)食べた物、食べた場所の記憶。一緒に過ごした時間は人生の宝物になる。
思い出した。私が中学生の時にぼんやり描いた夢。
そう、あれは初めての海外旅行。
降り立ったホノルル空港のあの香り、高速道路を走るピックアップトラック。
『あぁ私、ハワイに住みたい』
直感的にそう感じたあん時のあの気持ち。
強くそう思ったの思い出したんです。
あれ、私、何気に夢を実現したんじゃない?
全裸で駆け抜けたパンタロン男と結婚したという事実を除いてみれば、夢のハワイ移住です。
なんて思っていましたが、その夢のハワイ生活は約2ヶ月で終わった。全裸で駆け抜けたクセスゴパンタロン男...もとい、マトさんは、ハワイからフロリダ州のPensacola(ペンサコーラ)という街に異動辞令が出ていました。
2ヶ月前に日本から引っ越して来て、また引っ越し。幸い、新婚&貧乏な2人には大した荷物少なかった。
私の財産は日本から持ってきたアルバム、お友達のメッセージがたくさん書き込まれたお餞別のテディベア、あとは1年前、例の蚊がブンブン飛んでいた公園で結婚した時に、両親が嫁入り道具として、アラモアナショッピングセンターのWilliam Sonomaで買ってくれた、料理番組でよく使っているようなオシャレーな重なるガラスのボウル、ミキサー、そしてMade in Japanの真っ白なお皿。ガラスのボウルとお皿は今でも使ってる。後は中古で買ったテレビにカウチ、そしてコーヒーテーブルセット。マットレス。あっという間、1時間もかからずに引っ越し作業は終了。
この時、ワイキキのコンドミニアムをDaveというルームメイトと借りていた。Daveはマトさんの同僚。彼が引き続き住むので、私達は不動産屋さんと契約終了の書類を交わして、1泊ワイキキのイリカイホテルに泊まった。ここで皆さんに質問です。
"ハワイでの最後の夜、あなたなら何を食べますか?"
これ、食いしん坊の私にとっては重要です。
今の私なら迷わず"Poke(ポケ)"。これは揺るがない。即答。色んなPoke買い込んで、Poke祭りすると思う。
でもあの頃の私、まだPokeを知らなかったんですよねー。マトさんもツナ缶とラーメンが定番の、食べる事に執着も興味もない。私とは正反対の生き方してた人だから。
うちの家族はブランド物とか、ファッションとかよりも、"美味しい食事"に重きを置いて生きてますから。エンゲル係数はどこよりも高めだったはず、というか今でも高いはず。
なので、ハワイの最後の夜にマトさんと2人で何を食べるかって私にはとても、とても重要案件でした(笑)
イリカイホテルの向かい側、ヒルトンホテルの前に"Wainala Coffee House" というダイナーがありました。古き良き、私が好きなオールドアメリカンな雰囲気を持つお店。結構有名店だから、知ってる方も多いはず。とりあえず、そこに入ることにした。夜遅くてもやってたし、ホテルから近いし、お店の雰囲気も好き。
メニューをざっと見て、迷わずに食べたい物見つかった。
"I'll have Loco Moco" (ロコモコください)
カッコ良く英語で言えていた。。。かどうかは別として、ハワイの最後の夜にはピッタリなんじゃないのー?
ハワイと言えばロコモコ、ロコモコと言えばハワイですよ。たっぷりのグレイビーと、半熟目玉焼きにハンバーグ。間違いないやつ。
マトさんと暮らすまで、目玉焼きって英語では"sunny side up"って言うんだと思ってたけど、マトさんの目玉焼きは"Over medium"という半熟の両面焼きが定番。一緒に暮らして2ヶ月、少しずつマトさんの好きな物も分かってきたし、英語もこんな風にちょっとずつ新しいコトバや表現を覚え始めた。ちなみに"Over easy"だと超半熟両面焼き、"over hard"は黄身にも完全に火が通ってる両面焼き。
そして、
食べ物に関する英語に関しては、何よりも覚えやすかった。
超スピード婚の私達は、一緒に暮らし始めてからようやくお互いの事を知り始めた。マトさんは私が料理が出来ることも知らなかったし、まさかこんなに食べる事に拘りのある女だとも思っていなかったらしい。
私も結婚するまでマトさんが全裸で駆け抜けていたあの男だったなんて知りませんでしたけど。
とにかく、私はハワイでの最後の夜をLoco Mocoで飾る。サイドのマヨがたっぷりのマックサラダ(マカロニサラダ)、ハンバーグ、ライス、たっぷりグレイビー。身体に良さそうな食材はほぼ皆無だけど、崩すと流れる黄金の黄身、そして全てがお皿の中で絡まっちゃって絡まっちゃって、もう。。。(笑)
サイドのマックサラダには、ちょこっと醤油を垂らすのが大事。この醤油があるかないかで全然違うの。
あー、書いてて自分でもびっくりするこの食べ物への執着(笑)
でも、この何を食べたという記憶、美味しいから覚えてるのはもちろんなんだけど、
"大好きな人(達)と一緒に食べた美味しいもの"
だから余計に覚えてる事って多いと思う。
小さい頃、月1、恒例で親戚が集まって食事をしていた。食事会というよりも、祖父母の家に親戚一同が集まって、みんなで仏壇に手を合わせてお参りして、ご先祖様に感謝をしてからみんなで食事をする日があった。商売をしていた母の家族、特に祖父はこういう事を大切にしていた。結構厳しい祖父だったけど、家族の事、従業員の事を凄く大切に思っていた"優しい経営者"だったと思う。厳しさ=優しさだったんだと、大人になってみた今、そう思う。
私の小さい頃は"するがや旅行会"という社員旅行みたいな家族旅行に連れてって貰った思い出も、私には強く残ってる。おじさん、おばさん、家族同様の存在の一緒に働いていた人たち、そして私やいとこ達、みんなで観光して、温泉入って、美味しい食事と夜の宴会。父と母のデュエット"三年目の浮気"がめちゃくちゃ恥ずかしかったのも覚えてるし、お父さんの"星降る街角"も脳裏に焼き付いている。でも本当に楽しい思い出。出来れば自分の子供たちにもしてあげたいと思うけど、我が家のバケーションは専ら"品川への里帰り"のみ。私とマトさん以外の家族が近くに住んでいないうちの子供たちには、出来るだけ品川の家族と触れあって欲しいし、私やマトさんの居るところ以外にも"帰る場所"があるという事を教えたい。
Loco Mocoで有終の美を飾り、マトさん隊長について、"アメリカ本土"へいざ出陣。初めての"アメリカ"です。ハワイは日本人も、日本食も多いけど、
日本(語)のない世界
めちゃくちゃ緊張、だけど、まぁ多分マトさんといれば大丈夫、そう思ったから、怖くはなかった。(いつかまたパンタロンを履くのではないかという怖さはあった)
ホノルル発、アトランタ経由でノースカロライナのアッシュビルという街までの旅でした。
新しい引っ越し先はフロリダ州のペンサコーラですが、ノースカロライナにはマトさんの家族、義母&義祖父母が住んでいました。そうです、初めて義理家族とのご対面です。
ホノルル空港を飛び立って、ダイヤモンドヘッド上空から見下ろすハワイ。なんて綺麗な海でしょう。大好き、ハワイ。私はダイヤモンドヘッドに向かってこういいました。
"I'll be back !.....soon!"
ターミネーターのあの名台詞、"I'll be back" がこんなところで役立った。機内だから小声で、マトさんにだけは聞こえてたけど、ハワイには何となく戻って来られるような気はしてた。ダイヤモンドヘッドにそう誓い、ホノルルを後にしました。
アトランタに着いて、乗り換えの為に空港内を歩き、エスカレーターに乗った時に、マトさんの洋服に金髪の長い髪の毛が付いているのに気がついた。
"Whose hair is this!?" (これ、誰の髪の毛!?")
とか言いながら、マトさんの洋服に付いたその金髪ヘアーを取ってあげた。マトさんは、
"Not mine" (僕のじゃない)
って言うので、私も
"Not mine neither!"( 私のでもないんだけど!?)
とか冗談言い合ってた時の事。
エスカレーター後方にいたおじさんが、私達の会話を耳にして笑い始めた。
"You達、オモシロイネー"
的に、ちょっと腹かかえるような分かりやすく大袈裟な表現で笑っていた。この感じ、ちょっと映画で見たようなアメリカ人っぽい。
そのおじさんの反応みて私びっくりした。だって・・・、
"私の冗談がアメリカ人に通じてるー"(笑)
まさかのです。
日本で暮らしていても、こんな風に急に知らない人が会話に参加してくるとかあんまりないし、私この頃マトさん以外とあまり英語を話してなかったから。
"めっちゃアメリカー!"
って、ちょっとドキドキワクワクしたの覚えてる。
嬉しくて足取りも軽く、乗り換えゲートまでの移動中、お腹が空いて、フードコートに立ち寄った。マトさんと買いたい物が違った私。あのおじさんに私の冗談が英語で通じていた喜びと、ちょっと付いたその自信と共に意気揚々と1人でチャイニーズフードを買いに行ったら、店員さんにこう聞かれました。
『&^%*(>^÷@!#÷=&??』
あれ? 何言ってるのかワカラナイ。。。。
撃沈....(泣)
この時初めて理解した英語の"訛り"。
英語がワカラナイ時は訛りなんて全然気にならないっていうか、聞こえなかったんですよね。
この頃からマトさんが話す英語が私の"標準語"になっていたので、方言というか、マトさんの発音と違う英語はめちゃくちゃ難しかった。特にアトランタを含めて南部って結構"方言のクセがスゴい"と言われる辺りで、私にはかなり難しかった。
アメリカ本土上陸初日、アトランタで方言に撃沈
マトさんが来てくれたので、無事にチャイニーズフードは買えましたが、やっぱりハワイって日本人に慣れている人が多かったのかも、、、っと感じながら、アメリカでもチャイニーズフードは売ってるんだなって思ったらちょっと安心して、多分やっていけるとも思った。いつも食べ物です、中心は(笑)
ここからノースカロライナへと向かい、義理家族やマトさんのお友達との初対面となります。
次回へ続きまーす。
《今日のヒトサラ》
•再び登場 "Loco Moco"
前にも登場したロコモコ。
ハワイではマックサラダと呼ばれるマカロニサラダがプレートランチのサイドの定番。マヨタップリのマックサラダと、ロコモコの組み合わせは"黄金コンビ"だと思います。カロリーが心配な方は、手を出しては危険です(笑)
ちなみに写真↓の目玉焼きは"Suuny side up"です。
以前”Hawai Lifestyle Club"さんで書いたロコモコのレシピ&コラムです。