見出し画像

JSTQB FL合格記

今年の4月27日にJSTQB Foundation Levelを受験し、無事合格することができました。
受験しようと思った動機や勉強方法、受験した感想などを、次に続こうとする誰かにいつかきっと役に立つんじゃなかろうかと、YAGNIに思いっきり反した精神でまとめたいと思います。

なぜ受験しようと思ったか

僕のキャリアは一貫してモバイルアプリの開発者です。そしてテストが好きです
前職は開発部門と品質保証部門が分かれていて、おまけに事業所が異なり物理的にも距離がありました。
そんな環境で開発しバグを修正する中で、それぞれのバグはどのタイミングで防ぐことができただろうかとふりかえると、要件の確認が不十分だったり考慮漏れだったり。
初めはこんな小さなきっかけだったのに、後々大きく問題に育ってしまうのかと驚き、そしてこんなにたくさんの小さなミスを重ねているのかともやもやしていました。
そんな状況でアジャイル開発に出会い、そしてアジャイルテストにも出会い、効率的にリスクを潰せそうだとテストが好きになりました(この辺の話は次回あたりに別のnoteで書きたいと思っています)。

そんなこんなでテストを好きになってWACATEに参加したり本を読んだりして勉強していましたが、ある時『マインドマップから始めるソフトウェアテスト』を読むとそれまで勉強していたテスト技法はソフトウェアテストにおける一部で、テスト計画・分析などもっと広い領域があることを知ります。

開発者の自分が、ソフトウェアテストの本当に一部を表面的に触れただけなのにテストを好きですなんて言ってしまっている。
加えて現職の小さなチームで、QA専門の方がいない中でもチームとしてQAロールもこなしてソフトウェアをリリースする必要がある。
この状況でテスト好きの開発者を名乗るなら、ソフトウェアテストの全体を少なくとも浅くは抑えておかないとと考えJSTQB Foundation Levelの受験を決めました。
開発者だけでQAロールをこなせるからQA専門の方は必要ないなんて状況になれるとは思っていませんが、開発者でもQA知識を持っていることでより効率的にソフトウェア開発を行えると考えたのです。

ちなみにこのJSTQB Foundation Levelは、QAの方々が取得されているものの開発者はあまり取得していないようなイメージが個人的にあります。
しかし実際勉強を始めてみるとJSTQB Foundation Levelのシラバスには

Foundation Level資格は、ソフトウェアテストに関与するあらゆる人々を対象にする。Foundation Level資格の対象者には、テスト担当者、テストアナリスト、テストエンジニア、テストコンサルタント、テストマネージャー、ユーザー受け入れテスト担当者、ソフトウェア開発担当者などが含まれる。このFoundation Level資格は、ソフトウェアテストについて基本的な理解を望む方、例えば、プロダクトオーナー、プロジェクトマネージャー、品質管理マネージャー、ソフトウェア開発マネージャー、ビジネスアナリスト、IT部門長、経営コンサルタントのような人にも適切である。

ISTQBテスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス 日本語版 Version 2018V3.1.J03 より

とある通りで、開発者でも役立つと感じる部分がとても多かったです。

勉強方法

使用したのは

  • ソフトウェアテスト教科書 JSTQB Foundation 第4版

  • テス友アプリ

の2つでした。

注意としては、教科書は準拠するシラバスのバージョンが、最新のものとはマイナーバージョンが異なっています(2023/07/03時点)。内容が大きく異なるわけではなさそうに見えましたが、念の為サラッと目を通しました。
あとテス友アプリ使うためのアカウント登録の時に紹介コード入力欄がありましたが、どこで紹介コードが手に入るのかも、入力したらどんな特典があるのかもわかりませんでした…

まずは教科書を一周読み、巻末の模擬試験を解きます。この時点で合格ライン40問中65%の26問正解に対して、29問正解とギリギリ合格圏。
けれどその後テス友アプリで類似問題を解いてみると、わかる問題は65%ギリギリあるけれど全くわからない問題もたくさんあることが判明。
「複数あるレビュー方法のうち、次の特徴に当てはまるものはどれか」
「あるテストフェーズでの作業について、次の選択肢で当てはまらないものはどれか」
というように、ざっくりした全体の理解よりも、似たものの細かい違いを把握していることを問われることがわかりました。
全部で40問なので、数問落とすだけで一気に不合格圏に転落します。
受験料は決して安いものではないので、テス友アプリでシラバスの章ごとに問題を解いては理解が怪しかった箇所は教科書を見直す勉強を重ね、最終的にはこんな正答率になってました。ちょっとやりすぎたかも…

テス友アプリで表示される章毎の正答率

勉強時間はざっくりとですが

  • 教科書1周: 15時間

  • テス友アプリと教科書往復: 4~5時間

くらいの約20時間です。

受験予約〜合格発表まで

申し込みサイトでアカウント登録して、受験資格情報にFoundation Levelを登録して、試験予約から予約しました。ちょっとだけわかりづらい。
試験は各地にあるテストセンターで、Computer Based Test形式で自由なタイミングで受験できます。
僕はオフィスの目と鼻の先にある秋葉原のテストセンターで予約しましたが、9-16時台まで15分刻みで予約可能でした。

当日は予約時間の15分前に着くようにという指示がありましたが、空いていたこともあり予約時間前に開始させてもらえました。
周りはスーツ姿の就活生っぽい人もいて、時期や場所によっては早めに予約するなど注意が必要なのかもしれません。
持ち込みは本当に全てダメで、ハンカチも時計もNG(普段のApple Watchじゃさすがにダメだろうからとわざわざ普通の時計持って行ったのに…)。
少なくとも秋葉原のテストセンターにはロッカーがあり、そこに荷物を預けます。

試験はラミネート加工された用紙とホワイトボードマーカーを渡され、図を書いたり計算をする時にはそれを使い、最後は回収されます。
PCで試験を開始しようとしたら、試験名が「Certified Tester Foundation Level」と表示されていて一瞬混乱しました。みなさんお気をつけを。

試験時間は1時間ですが、見直し含め40分で終了。
超初見感のある問題(その用語の意味問われるのは初めて!など)はどうしても出るけれど2-3割、テス友アプリでかなり解いたおかげか7-8割は既視感がありました。
感覚としては、正解と確信がある問題数だけで合格ラインを超えることができました。

感じたテス友アプリの問題との差としてはこんな感じです。

  • 難易度が大きく異なるようには感じなかった。

  • テスト技法を実際に使って解く問題の比率は実際の試験の方が高い。

    • 確か40問中8問くらい。

    • 組み込みっぽいものやソシャゲ感あるもの、ポケモン感あるものなど。

  • テストの実行順を問う計画の問題はテス友アプリではほとんど出ないけど、実際の試験では1問出た。考え方を抑えておくのが大事。

  • テス友アプリでは出る、選択肢が1つとは限らない問題は実際の試験では出なかった。

受験終了後は受験証明の紙を1枚もらって終わり。
結果は2週間以内にメールで通知が来て申し込み時と同じサイトで確認するのですが、4月27日に受験して結果が出たのは5月8日の朝でした。ネットを見てるとすぐ結果が来る人もいるようでしたが、そわそわしたGWとなりました。
結果発表の約1週間後に証明書も届いて無事全て完了!

受けてみた感想

まず試験の難易度については、基本情報を受けた時の感覚に近かったです。
本を1周読んで、模擬試験を数周こなしたらいけるだろうな、という肌感。
開発者として実務を何年かやってるとイメージ湧きやすい部分も結構あり、QA経験がないと難しいようなって印象は受けませんでした

内容としては、正直とても面白かったです。
ウォーターフォールガチガチな内容を覚悟してたんですが、アジャイルに言及しているところがあったり、良いソフトウェア開発にするために開発者とのコミュニケーションにおける心構えのような話が書いてあったり。
個人的にはテストプロセスに一番興味がありましたが、テストプロセスの一例と各フェーズで何をするかの説明に加えて、プロセスを遵守することで品質を保証するという考え方をこれまでより解像度高く理解し納得できたのは良かったです。

ソフトウェアテストに関する基本的な語彙・知識を揃えることができるので、資格を取るとこまで行くかは別として、開発者であっても勉強を勧めたい内容だと感じました。
テストといえばテスト技法、という状態からさらに歩みを進めるのにちょうど良いと思います。
テストに興味のある方はぜひシラバスを手に取ってみてはいかがでしょうか。

ただ、スクフェス新潟参加にあたって資格を取得すればQA専門の方たちとあれこれお話しできるんじゃないかって企みはあまり成功したとは言えませんでしたが、それはまた別のお話…

この後は

今年2023年末までに「Foundation Level (Specialist) アジャイルテスト担当者」の試験が開始されると発表されています。
Advanced Levelの前にまずはこちらを受けてみようと考えています。
Advanced Levelは下記の資料を見ると、自分は受けるとしたらTAかTTAなんだろうという気だけはしてる状況ですが(半分自分向けのメモ)、勉強もまた大変だと思うので他との兼ね合いを見つつ検討しようと思います。


いいなと思ったら応援しよう!