WHO発表: 北半球における、ヒトメタニューモウイルスを含む急性呼吸器感染症の動向
以下は、個人的な試訳です!
2025年1月7日付のWHO発表
状況
北半球の多くの国では、この時期に急性呼吸器感染症が増加する傾向にある。
これらの増加は通常、季節性インフルエンザ、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトメタニューモウイルス(hMPV)を含むその他の一般的な呼吸器ウイルス、肺炎マイコプラズマなどの呼吸器病原体の季節的流行によって引き起こされる。
多くの国では、急性呼吸器感染症や一般的な呼吸器病原体について定期的な監視を行っている。
現在、北半球のいくつかの国では、インフルエンザ様疾患(ILI)および/または急性呼吸器感染症(ARI)の発生率がここ数週間で増加、通常の季節的傾向に従って基準値を上回っている。
季節性インフルエンザの活動は、北半球の多くの国で上昇している。
監視データが入手可能な場合、RSV検出数の傾向は地域によって異なり、北米を除く殆どの地域で減少が報告されている。
最近、中国におけるhMPVの症例に関心が集まっており、病院が混雑しているとの指摘もある。
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は、多くの国で冬から春にかけて流行する一般的な呼吸器ウイルスであるが、すべての国で定期的に検査が行われ、hMPVの動向に関するデータが公表されている訳ではない。
気管支炎や肺炎で入院するケースもあるが、hMPVに感染した人の殆ど
は風邪に似た軽い上気道炎症状を呈し、数日で回復する。
中国が発表した2024年12月29日までのデータによると、ここ数週間、急性呼吸器感染症が増加しており、特に中国北部の省では、季節性インフルエンザ、ライノウイルス、RSV、hMPVの検出も増加。
観測された呼吸器病原体の検出数の増加は、北半球の冬のこの時期に予想される範囲内である。
中国では、インフルエンザが、急性呼吸器感染症の患者に最も多く検出されている呼吸器病原体です。
WHOは中国の保健当局と連絡を取り合っているが、異常な流行パターンに関する報告は受けていない。
中国当局の報告によると、医療制度は圧倒されておらず、緊急事態宣言や対応は発動されていない。
WHOは、共同監視システムを通じて、世界、地域、国レベルで呼吸器疾患の監視を継続、必要に応じて最新情報を提供する。
状況説明
北半球の多くの国では、この時期に急性呼吸器感染症の流行が増加する。
これらの増加は通常、季節性インフルエンザ、RSV、hMPVを含むその他の一般的な呼吸器ウイルス、肺炎マイコプラズマ等の呼吸器病原体の季節的流行によって引き起こされる。
冬の季節に複数の呼吸器系病原体が同時に流行することで、病人を治療する医療システムの負担が増大することもある。
現在、北半球のいくつかの国では、インフルエンザ様疾患(ILI)および/または急性呼吸器感染症(ARI)の発生率がここ数週間で増加、通常の季節的傾向に従い、基準値を上回っている。
インフルエンザは、ヨーロッパ、中央アメリカ、カリブ海諸国、西アフリカ、中東アフリカ、アジアの多くの国々で上昇、季節性インフルエンザの優勢な型や亜型は場所によって異なるが、COVID-19パンデミック時にインフルエンザが殆どなかった2020年と2021年の大部分を除いて、この時期には典型的である(図1↓)
図1
2025年01月07日現在
北半球の国々からFluNetに報告された、2017年10月01日〜2024年12月30日までのサブタイプ別ウイルス検出数
定点観測調査(sentinel surveillance:センチネル・サーベイランス)で検出され、世界規模の呼吸器系ウイルス感染症の監視:GISRS)に報告された新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)は、報告国からの排水モニタリングと共に、北半球の国々では、北半球の夏季に高水準の活動が長期化した後、現在低水準にある。
監視データが入手可能な場合、RSV活動の傾向は地域によって異なり、RSV活動が増加している北米を除く南北アメリカの殆どの地域で減少傾向が観察され、ヨーロッパ地域ではここ数週間減少が観察されている。
一部の国では、hMPVなど、一般的に循環している他の呼吸器病原体の監視を定期的に実施、その動向を報告している。
北半球のいくつかの国では、ウイルスによって異なるが、この時期特有の増加傾向がここ数週間で報告されています。
情報提供↓
インフルエンザ研究所監視情報
https://worldhealthorg.shinyapps.io/flunetchart/
中国における呼吸器ウイルス感染、特にhMPVの感染の増加の可能性については、国際的な関心が集まっており、病院が圧倒されているとの指摘もある。
中国は、hMPVを含むILIと重症急性呼吸器感染症(SARI)に対する定点観測調査を確立しており、一般的な呼吸器病原体に対する日常的なウイルス学的監視を行っており、その詳細な報告は中国疾病管理予防センター(CDC)のウェブサイトで毎週発表されている[1]。
中国CDCが2024年12月29日までのデータを共有した急性呼吸器感染症に関する最新監視データによると、季節性インフルエンザウイルス、RSV、hMPVによるものを含む一般的な急性呼吸器感染症は増加傾向にあり、北半球の冬のこの時期に予想される通りである。
現在、呼吸器疾患の原因として最も多く報告されているのはインフルエンザであり、肺炎マイコプラズマの陽性率が最も高かった5〜14歳の小児を除く全ての年齢層で、全ての監視対象病原体の中で最も高い陽性率を示している。
新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)は低いままだが、COVID-19の重症例が増加。
中国国内で循環している新型コロナウィルス亜型は、XDVとその亜型が59.1%を占めている。
中国の北部および南部の省では、2024年後半かインフルエンザ様疾患(ILI)が増加、前年の傾向を踏襲している。
南部のインフルエンザ様疾患は、過去2年間を下回るが、北部では過去2年間の同時期のレベルとほぼ同じ。
中国で報告されているhMPVを含む急性呼吸器感染症のレベルは、冬季の予想範囲内であり、異常な流行パターンは報告されていない。
中国当局は、医療制度が過剰でないこと、病院の利用率が昨年のこの時期より低いこと、緊急事態宣言や対応が発動されていないことを確認。
予想される季節的な増加が観察された為、呼吸器感染症の蔓延を防ぎ、これらの疾患の影響を軽減する方法について、国民に健康メッセージが提供された。
公衆衛生への対応
冬季に呼吸器感染症の増加が予想されることから、中国を含む各国は、呼吸器感染症の蔓延を防ぎ、病気の影響を軽減するための健康メッセージを国民に提供している。
WHOリスク評価
温帯気候では、インフルエンザを含む一般的な呼吸器病原体の季節的流行は、しばしば冬季に発生する。
ここ数週間、北半球の多くの国で観察された急性呼吸器感染症とそれに関連する病原体の検出数増加は、この時期に予想されることであり、珍しいことではない。
呼吸器系病原体の共流行は、医療施設に負担をかける可能性がある。
WHOのアドバイス
WHOは、冬季の地域では。。
特に最も弱い立場にある人々に対して
呼吸器系病原体による感染拡大を防ぎ、リスクを軽減する為に、通常の予防措置をとることを推奨。
症状が軽い人の対して
他の人への感染を避けるため自宅で安静にすること。
リスクの高い人、複雑な症状や重い症状のある人に対して
出来るだけ早く医療機関を受診する。
混雑した場所や換気の悪い場所ではマスク着用、咳やくしゃみをティッシュや曲げた肘で覆い、定期的な手洗い、医師や地域の公衆衛生当局のアドバイスに従って推奨されるワクチン接種することも考慮すべきである。
WHOは加盟国に対し
国の状況、優先事項、資源、能力を考慮し、統合的なアプローチによって呼吸器病原体の監視維持するよう勧告。
WHOは、統合監視に関するガイダンスをここで発表し、また、医療施設への影響を含む、インフルエンザの流行とパンデミックの重症度を評価する為のガイダンスを更新した。
現在のリスク評価に基づき、WHOは、現在の急性呼吸器感染症の傾向に関連した渡航や貿易の制限を行わないよう勧告している。