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国際コーチング連盟 「Artificial Intelligence Coaching Framework and Standards」を公表

「AI技術で進化するコーチングサービス 〜ICF基準に基づく信頼性と倫理の確保〜」

AI技術の進化に伴い、コーチング業界でもAIを活用したサービスが増加しています。弊社でも「CoachMET」というAIチャットボットを活用した「AIコーチング」を提供しており、対話や目標達成をサポートする新しいツールとして活用されています。しかし、AIコーチングシステムの利用には、倫理やプライバシー保護、透明性といった重要な基準を守ることが求められます。この記事では、国際コーチング連盟(ICF)が10月に発表した「Artificial Intelligence Coaching Framework and Standards」に基づき、AIコーチングを利用する際の注意点を解説します。ICFの基準に沿って、弊社の「CoachMET」を含め信頼できるAIコーチングサービスがさらに進化し、より多くの人々に広がることを願っています。
ICF: International Coaching Federation- Professional Coaching Association

1. AIの透明性とユーザーへの開示

ポイント:AIがどのように機能し、どんなデータを使用するのかをユーザーに明示する。

AIコーチングシステムを使うユーザーが、「自分はAIと話している」と理解することは非常に重要です。例えば、チャットボットが「バーチャルコーチAI」などと表記された名前を持つことで、ユーザーに明確な認識を促せます。また、AIコーチングが提供できるサポートと、その限界についても明示する必要があります。AIが対応できる領域と、医療やメンタルヘルスのように人間の専門家が対応すべき領域との区別を説明することで、誤解によるトラブルを避けましょう。

2. セキュリティとデータプライバシー

ポイント:チャットデータの暗号化とアクセス制限を厳格に行い、ユーザーの個人情報を保護する。

コーチングに関わる情報はセンシティブな内容が多いため、データの保護は必須です。特に、送信時や保存時には業界標準の暗号化を施し、不正アクセスを防ぐ対策が必要です。さらに、収集したデータの取り扱いについては、システム利用時にユーザーに事前に同意を得ることも大切です。データがどこで保存され、誰がアクセス可能なのかについても明確にしましょう。

3. 感情と心理的安全性の配慮

ポイント:ユーザーの心理的安全に配慮したシステム設計を行う。

AIが扱うコーチング対話には、感情や個人的な悩みが含まれることも多く、心理的な安全性が重要です。特に、ユーザーが不安やストレスを感じる状況では、AIが丁寧に対応できるようにする必要があります。システムが対応できない状況では、早期に人間の専門家に案内するようなサポート機能を取り入れると良いでしょう。さらに、AIの応答がユーザーの心理的安全をサポートするように配慮し、誤解や不安を引き起こさない表現を心がけることが求められます。

4. クライアントの成長を促す対話デザイン

ポイント:ユーザーが目標に向かって成長できるよう、自己発見をサポートする質問設計を行う。

AIコーチングは、クライアントが自身の目標に向けて取り組み、成長を実感できる環境を提供することが目的です。具体的には、オープンエンドの質問や自己反省を促すような問いかけが効果的です。また、リマインダー機能や進捗管理機能を取り入れることで、ユーザーが目標に向かって進んでいると感じられるようにサポートしましょう。適切なフィードバックも合わせて提供し、達成感を持ってもらうことも重要です。

 5. 非差別的で包括的なAI設計

ポイント:AIにバイアスが含まれないようにトレーニングし、公平で包括的な対応ができるようにする。

AIが偏りのない公平な対応を提供できるように、トレーニングデータには注意が必要です。特定の偏見を回避するために多様なデータを用いたり、定期的にデータとアルゴリズムのバイアスチェックを行ったりすることで、偏りを最小化します。これにより、AIがあらゆるバックグラウンドやニーズを持つユーザーに対して、配慮ある対応ができるようになります。

 6. ユーザビリティとアクセス性の確保

ポイント:ユーザーが直感的に利用でき、どんなデバイスからもアクセスしやすい設計にする。

AIコーチングシステムは、さまざまなデバイスで利用できることが望まれます。PC、スマートフォン、タブレットなどの複数デバイス対応を考慮し、ユーザーがどこでもアクセスできるようにすることが大切です。また、システムの基本機能はシンプルでわかりやすい説明を添え、初めて使うユーザーでも迷わないインターフェースを提供しましょう。FAQやチュートリアル機能の設置も有効です。

7. クライアント同意と利用ルールの明示

ポイント:システム利用時に、AIコーチングに関する同意を得るプロセスを組み込む。

AIコーチングを利用するにあたり、ユーザーからの同意を確実に得ることが重要です。ユーザーに、AIが提供するコーチングの範囲や制限について理解してもらい、同意を得た上で進行するプロセスを設けましょう。システムが対応できないケースや倫理的な考慮が必要な問題には、人間のサポートを案内することで、ユーザーの安心と信頼を確保します。

8.AIコーチングで目指す未来

AIによるコーチングは、より多くの人々にアクセス可能なサポートを提供できる点で非常に有望です。従来の人によるコーチングサービスに加え、AIと人間の相互作用を通じて、個人の成長が加速する未来が期待されています。

ICFのAIコーチング基準に沿って、プロのコーチとしてICFの倫理規定とコア・コンピテンシー(CC)を遵守しつつ、ユーザーの信頼を得られるシステムを活用することが、AIコーチングの成功の鍵です。ユーザーにとって安心で、効果的な成長支援ができるAIコーチングシステム活用を目指し、社会全体での自己成長と学びの機会を広げていきたいと考えます。