1.5-39 コスモス第三層
小さな人影と大きな人影が並び、白い大地へと降り立つ。
あたりには、天へと聳え立つビル群
まるで、空を貫かんとする様な槍の様に。
「或いは、至らんとするロケットのようか」
「ねぇ、コスモスの中枢って、こんなに殺風景なの?」
小さな人影が口を開き、手を繋いでいた彼へと話す。
「いやいや、殺風景なのには、変わりませんが」
「これは、予想外に騒がしいというか」
「自己主張が激しいですね」
そう剣呑に返す口振りから、いつもの余裕は存在しなかった。
「なんだよっ。リック。余裕ないじゃん」
「そう言わないでください。ゼクセルさま」
「これでも、まだ、余裕に構えている方なのですよ」
「ふーん。全然、余裕には見えないけれど。何かわかったの?」
「ゼクセルさま、また、ご冗談を。もう、あなたも分かっているのでは?」
「それは、当然。やつら、自らが上位者になるつもりだ」
「でしょうね。契約の為のコントラクトが空間に点在して、そして、肝心の彼らの気配がない。代わりに、彼女達の気配がある。と、すると、アレしか考えられないですね」
「しかし、本当にやる奴がいるんだね!」
呆れた様に返すゼクセル。
その美しい白よりの銀髪を靡かせながら、形の良い唇が、そう言葉を紡ぐ。
「確認は、するの?」
碧に輝く剣の柄へと手を伸ばすゼクセル
「はい。一応、そういう決まりになっていますので」
「不愉快極まりないね。早く済ませてしまおうリック」
そう言うと、ゼクセルは、柄へとかけた手を離し、リックの肩へとまわしたのだった。