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4.86章 決戦-GNO

(そう、ボクはボク自身の答えの為に)

「勝つ必要があるからね!」
そういうと、あたり一面から銀色の粒子が舞い上がり、彼女を包む甲殻を包み光り輝いた。

感覚だけで、後ろに下がる。

「とったと思ったのだけどね」
ジノの蹴りがフィーの首があったところを掠めた。
フィーの装甲を破壊し、つーっと首筋から、流血が起こり緑色の血が噴き出る。
一定距離を取ったフィーは、それを自身のドレスを引きちぎり、結ぶことで止血する。

「早すぎる!」

「えっ、この位がかい?」
嫌な予感がした。
フィーは、ガントレットを防御形態へと変形させ銀色の粒子を纏う。
遥かに速い一撃が見舞われ、後を追う様に粒子が偏光する。

ほぼ感覚で、それらを捌くフィー

しかし、とらえきれないものもあり、それらをもらってしまう。

「っく、なんて速さなの!?」

腹部にもらった一撃が効いたのか、腹を押さえうずくまろうとするフィー
それを気力で耐え、正面を見据える。

(隙を見せたら、間違いなく追い打ちをかけてくるはず)
そう思考しながら、視界ギリギリから放たれた閃光の数々を躱す。
閃光は、地面に到達すると衝撃波を発生させ床を天井へと吹き飛ばしていった。
しかし、閃光の内、一つがクレセントへと迫っていた。

(だめ!防げない!!)
それに気付いてクレセントを庇いように走り出すも、フィーの速度では間に合わない。
クレセントを直撃すると思われた閃光は、目前で消え失せた。

「!?」
強い痛みが自身の脇腹を抉る。
ジノの渾身の蹴りがフィーの脇腹を捉えていた。
装甲は砕かれ、内部のクッションとして展開されていた緑色と銀色の衣は破け、大きな裂傷とともにフィーは跳ね飛ばされた。
もし、それらがなければ彼女の体は両断されていただろう一撃に彼女は耐えたのだ。
だが、弾き飛ばされた先で姿勢を立て直そうと体を回転させることを試みたがそれが出来ない。
「なぜ!?」
つい、口に出た問い。
焦りが言葉になった。返答の無いはずの問いにジノは答える。

「そんなもの、ボクが許すわけないだろ?」
フィーの足をジノが掴んでいたのだ。
そのまま自らを中心として、ジノは、フィーに回転のベクトルを加える。
片足のみを掴んだ状態から、両足をしっかりとつかみ遠心力を加えていく。
ジャイアントスイングだ。

ただ、そのままでは終わらせる気がなかった。
これは、ジノがフィーを殲滅する戦いだった。
ジノは、フィーを壁に叩きつける。
そして、回転を継続させていた。
フィーは、壁の衝撃に耐え、壁は剥がれ落ちていく。
一回転する度に彼女の装甲がズタズタに剥がれ落ちていく。

(ただの装甲じゃないのに!?なぜ?)

「なぜだろうね。ヒント。さっきの11体はどうなったかな?」

「!?まさか!?」
そういって、彼女は銀色の粒子を回転方向に放つ
途端、回転が阻害され破壊に使われていた全ての力が彼女に襲い掛かる。

「そうだね。それが正解。でも、うかつだよ。回転を止めるなんてね」
「内部構造が大分破壊されたんじゃないかい?」

(11体は、全て部屋と同化させたんだ!!)
(っつ、痛みがひど過ぎる。体が動かない)

「どうして、クレセントさんを守ったの!?」
それは時間稼ぎだった。
自身の内部にコントラクトを走らせ稼働するように体を組みなおす。

「いいよ、答えてあげる」
それを承知で、ジノは答えた。

「そもそもだ。ボクはボクの答えを実行したいだけなんだよ」
「その為には、ボクを止められる存在が邪魔なだけでね」
「今のところ、それは、フィー。キミだけなんだよ」
そういうと、一呼吸おいて彼女は付け足した。

「それとだ。仮にもボクの同期であるクレセントを直接傷つけたくはなかった」
「クレセントとセンチネル」
「いくつもの時代をともに、彼女なりの思いはあったにせよ。ともに乗り越えたんだ。情だってあるさ」

「その他のやつらと違ってね!」

「だから、彼女にはシールドを張らせてもらった」

「さて、時間稼ぎはこの位でいいかな?」
「もう、体は動くだろう?」

そういうと、壁に手を添えて引き抜くようなそぶりを見せた。
その動作とともに彼女の左手には、剣よりも短くナイフよりも長い刃物が握られていた。
刃の潰されたそれを構え彼女は、フィーへと跳躍したのだった。

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