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R-TYPE / ZERO: 天使の軌跡:8

プロメテウス基地の静寂を破るように、管制室内の警告音がけたたましく鳴り響いた。スタッフたちが慌ただしく動き出し、巨大なモニターに次々とデータが映し出される。

「司令、未知の波動信号を検知しました!」

若い通信オペレーターが緊張した声で報告する。アーヴィング少将が椅子から立ち上がり、モニターに映る異常値を見つめた。その数値は、既存のどのデータベースにも一致しないが、一部の特性が見覚えのあるものだった。

「これは……まさか、エンジェルパックの波動特性か?」

その一言に、管制室全体がざわめいた。Team / ゼロの作戦以降、エンジェルパックたちは自己犠牲によりバイドを滅ぼし、その存在は失われたとされていた。しかし、この信号は明らかに彼らのものと酷似している。


フリーマン博士がすぐに管制室へ呼び出された。研究班のエースであり、エンジェルパックの設計者でもある彼の知識が必要とされていた。

「博士、これが検出された信号の詳細データです。」

オペレーターがデータを転送すると、フリーマン博士はモニターを凝視した。彼の眉間に深いしわが刻まれ、その表情は困惑と期待が入り混じっていた。

「間違いない。これはエンジェルパックの波動特性だ……だが、どうして今になって?」

博士はすぐに解析を始めた。モニターには、概念空間と現実空間の間にあるような未知の領域から信号が発信されていることが示されていた。

「信号源は、概念空間の縁に位置している。この空間は、バイドの痕跡が未だに濃厚な危険区域だ。」

アーヴィング少将が腕を組み、険しい顔で博士に問いかけた。

「信号がエンジェルパックのものである可能性はどのくらいだ?」

「99%だ。しかし、この信号を送信しているのが彼ら自身かどうかは断定できない。」


管制室では次々と意見が飛び交い始めた。

「信号を追跡すべきだ!」

「いや、これは罠かもしれない。バイドの残存勢力が偽装している可能性もある。」

「だが、エンジェルパックの生存の可能性を無視するわけにはいかない!」

意見が分かれる中、アーヴィング少将が手を上げて制止した。

「静粛に。まずは冷静に判断する必要がある。」

フリーマン博士が補足する。

「信号が発信されている場所は、バイドの痕跡が濃厚な区域だ。我々にとって非常に危険だが、これを見過ごすわけにはいかない。」


少将はその場で決断を下し、Team / ゼロの元メンバーたちに緊急召集をかけるよう指示した。

「彼らしか、この状況を乗り切れる者はいない。」

数時間後、かつての英雄たちが基地に再び集結した。和也、美咲、リチャード、ルイス、カルロス――彼らはそれぞれの生活に戻っていたが、呼び出しに即座に応じた。

和也が管制室に入るなり、真っ先にモニターを見つめた。

「これが……リオのものだと?」

フリーマン博士が頷き、データを指差しながら説明する。

「完全な断定はできないが、波動特性はエンジェルパックのものと一致している。」

美咲もモニターに目を凝らしながら呟く。

「ナオミが……まだどこかで生きているかもしれない。」

リチャードが冷静な声で問いかけた。

「信号が本物でない可能性は?」

「否定はできない。しかし、これを無視するのはリスクが高すぎる。」


アーヴィング少将が全員に向かって静かに語りかけた。

「諸君、これがエンジェルパックの生存の手掛かりであるならば、我々は行動を起こすべきだ。しかし、これは極めて危険な任務になる。」

和也が拳を握り締めながら答えた。

「どんな危険だろうと、リオが生きている可能性があるなら、俺は行く。」

美咲も同じように決意を示す。

「ナオミのためなら、命を懸ける覚悟はできているわ。」

リチャードが静かに頷き、他のメンバーも同様の意思を表明した。

フリーマン博士が付け加えた。

「一つ提案があります。今回の任務では、エンジェルパックがいないため、新たな技術を導入する必要があります。」

博士の言葉に全員が注目した。

「それが『バイドナノマシン』だ。」


フリーマン博士は詳細を語り始めた。

「このナノマシンは、バイド技術を融合させたもので、パイロットとAIをリンクさせることが可能だ。ただし、使用後の自動分解時に極めて大きな苦痛を伴う。」

その説明に、室内の空気が張り詰めた。

「どれほどの痛みか?」

リチャードが静かに問う。博士は苦しげな表情で答えた。

「訓練を受けた軍人ですら、絶叫するほどだ。」

一瞬の沈黙の後、和也が口を開いた。

「関係ない。リオのためなら、その程度の痛み、どうということはない。」

美咲も力強く頷く。

「ナオミを取り戻せるなら、私も迷わない。」

他のメンバーも次々に同意し、少将は深く頷いた。

「よし、準備を整えろ。この任務の成否は、人類の未来にとっても重要だ。」


プロメテウス基地の作戦会議室に、Team / ゼロのメンバーと研究班、整備班が一堂に会していた。新たな任務の詳細が説明される中、フリーマン博士が前に立ち、静かに口を開いた。

「諸君、今回の任務ではエンジェルパックの支援なしで行動しなければならない。この状況を打開するために、新たな技術『バイドナノマシン』を提案する。」

会議室がざわめき始めた。バイド技術の応用はこれまでにも議論されてきたが、その危険性から実用化には至っていなかった。


フリーマン博士はテーブル中央のホログラムプロジェクターを操作し、ナノマシンの構造を立体的に映し出した。それは複雑な分子構造を持ち、微細な機械が無数に連結しているような形状だった。

「これがバイドナノマシンだ。バイドの細胞構造と融合することで、エンジェルパックのようにパイロットと機体をリンクさせることが可能になる。」

和也が興味深そうに問いかけた。

「エンジェルパックと同じ役割を果たせるってことか?」

博士は首を横に振った。

「完全に同じではない。エンジェルパックのような感情的なつながりや高度な共感は提供できない。しかし、ナノマシンはAIとのアクティブリンクを形成し、操作精度を大幅に向上させる。」

美咲が腕を組みながら続けた。

「じゃあ、その代償は?」

博士は少し言葉を選びながら説明を続けた。

「使用後、ナノマシンは人体から自動的に排出される。その際に分解過程が生じるが、これが非常に大きな苦痛を伴う。訓練を受けた軍人ですら絶叫するほどだ。」

会議室の空気が一瞬で重くなった。その痛みがどれほどのものか、言葉の重みだけで全員が察することができた。


フリーマン博士は続けて、この技術がどのように生まれたのかを語り始めた。

「この技術の研究は、かつての戦闘で生き延びた兵士たちの協力によって進められた。彼らは、自分たちが無力だったという悔しさを抱えながらも、次の戦いで役に立ちたいと願っていた。」

ホログラムに、ナノマシンの開発に協力した兵士たちの映像が映し出された。中には義手や義足をつけた者も多く、彼らの決意の表情がチーム全員の心に刺さった。

「また、一部の研究員も自分たちの研究がエンジェルパックたちに負担をかけたという罪悪感を抱いていた。彼らもこの技術の実用化に尽力した。」

リチャードが低い声で呟いた。

「兵士たちと研究員たちの思いが詰まっているってことか……。」


和也がゆっくりと手を挙げ、博士に問いかけた。

「その痛みがどれだけひどいかは想像がつく。でも、俺たちにそれを拒否する理由はない。リオを取り戻すためなら、何でもやる。」

美咲も同意するように頷く。

「ナオミがいるかもしれないなら、私はどんな苦痛も耐えられる。」

ルイスが少し冗談めかして口を開いた。

「じゃあ、全員で悲鳴を上げることになるな。それもまたチームの絆ってやつだ。」

室内に小さな笑い声が漏れたが、その裏には全員の覚悟が感じられた。


その後、ナノマシンの投与が始まった。各パイロットに個別に対応したナノマシンが注射され、体内に侵入する。

フリーマン博士が説明を続ける。

「ナノマシンは数分で体内に適応し始めます。その後、AIとのリンクが形成され、戦闘時の反応速度が向上するでしょう。」

和也が体内に広がる奇妙な感覚に眉をひそめた。

「なんだこれ……体が熱い……でも、悪くない感覚だ。」

美咲も同じく異様な感覚を訴えた。

「確かに違和感があるけど、これで戦えるなら問題ない。」


ナノマシンの効果を確認するため、パイロットたちは訓練シミュレーションに挑んだ。

AIとのリンクが強化され、機体の反応速度が劇的に向上していることが明らかだった。ルイスが笑いながら操作を続ける。

「これ、すごいな!エンジェルパックがいなくても、これなら戦える!」

しかし、その一方でナノマシンの負荷も徐々に現れ始めていた。和也は頭痛を訴えながらも歯を食いしばる。

「これが代償か……。でも、リオを助けられるなら大したことじゃない。」


試験を終えた後、パイロットたちは再び会議室に集まり、最後のブリーフィングを受けた。アーヴィング少将が全員を見渡し、静かに語りかけた。

「諸君、今回の任務は極めて危険だ。それでも挑む覚悟があるか?」

和也が即座に答える。

「俺たちにはもう迷う理由なんてない。リオのために全力を尽くすだけだ。」

美咲も続けた。

「ナオミを取り戻すためなら、何だってやる。」

リチャードが全員を見渡しながら、力強く言葉を発した。

「俺たちはTeam / ゼロだ。どんな痛みでも恐れない。それが俺たちの使命だ。」

全員が頷き、ナノマシンの痛みに耐える覚悟を胸に秘めながら、任務へ向けた準備を整えた。


宇宙空間は深い静寂に包まれていた。プロメテウス基地から発進したTeam / ゼロの機体は、信号発信源があるとされる未知の宙域に向かって加速していく。エンジェルパックの支援を失った彼らにとって、この任務は未曾有のリスクを伴うものであった。しかし、その胸にはナノマシンが与える人工的なリンクと、エンジェルパックたちを救うという決意が刻まれていた。


航行中、周囲の空間が徐々に異常を帯び始めた。光がねじれ、機器が微細なノイズを拾い出す。概念空間の縁に近づくほどに、現実と非現実の境界が曖昧になっていくのを全員が感じていた。

「空間の歪みがひどくなってきたな。」

リチャードが冷静に状況を確認する。モニターには、通常の航行ルートでは考えられない異常なエネルギーパターンが映し出されている。

「予想通りだ。ここが信号の発信源で間違いない。」

フリーマン博士の声が通信越しに響いた。

「ナノマシンによるAIリンクが安定している間に進むしかない。時間が経てば経つほどリスクが増大する。」

和也がリオのことを思い浮かべながら呟く。

「絶対に見つける。どんなことがあってもな。」


突然、警告音が鳴り響いた。モニターには複数の敵影が現れ、瞬く間に接近してくる。

「バイドの残存勢力か……!」

リチャードが鋭く指示を飛ばす。

「全機、戦闘態勢に移行!フォーメーションDを維持しろ!」

和也が機体を操り、敵の第一波に波動砲を撃ち込む。強烈な光が空間を切り裂き、先頭の敵が爆散した。

「リンクの応答が速い……ナノマシンの力か。」

彼はその感覚に驚きながらも、エンジェルパックとは違う冷たい正確さを感じていた。一方、美咲とナオミのチームも敵を撃破しながらフォーメーションを維持する。

「ナオミがいないと、こんなに静かだなんて……。」

美咲は一瞬感傷に浸るが、すぐに前方の敵を狙撃する。


敵を撃破した後、チームはさらに深く未知の空間に突入していく。ここでは物理法則が崩壊し、機体のセンサーが不安定になる。

「重力が変動している。航行が不規則になるぞ!」

カルロスが警告を発するが、ナノマシンのリンクによってパイロットたちは即座に対応する。

「これがなかったら、俺たちはとっくに迷子になってたな。」

ルイスが皮肉っぽく笑うが、その声にも緊張が滲んでいる。

和也はリンクの感覚に集中しながら、ふとリオの声が聞こえるような錯覚に陥った。

「……リオ?」

その瞬間、機体が不意に揺れ、大きなエネルギー波が彼らを襲った。

「全機、回避!敵がまた来るぞ!」


次に現れたのは、これまでに見たことのない新種のバイドだった。その姿はまるでエンジェルパックを模倣したかのように見えた。

「なんだ、この形状は……エンジェルパックを模しているのか?」

リチャードが驚愕の声を上げる。敵は驚異的なスピードと高い知能を持ち、AIリンクを駆使したチームの攻撃を巧みに回避する。

「やつら、俺たちの動きを読んでいるのか?」

和也が咄嗟に攻撃を仕掛けるが、その一撃も回避される。ルイスが冷静に補足する。

「いや、こっちがリンクしてるってことは、向こうもそれを逆手に取っている可能性がある。」

「それでもやるしかない!」

和也が叫び、波動砲を再び発射する。そのエネルギーが敵の一部を粉砕するが、同時にリンクが一瞬乱れる。

「……っ、これがナノマシンの限界か?」


激闘を繰り広げた末、チームはついに信号の発信源が近いことを確認する。だが、その先にはさらに巨大な敵影が待ち構えていた。

「これが最後の壁か……!」

リチャードが静かに語る。

「全員、これを突破すれば、エンジェルパックに近づけるはずだ。」

和也がリオへの思いを胸に、機体を最大出力で動かす。

「行くぞ、リオ……待ってろ!」

全員が声を合わせ、最後の障壁に向かって総攻撃を開始した。


信号発信源に到達したTeam / ゼロの機体が、最後の障壁を突破した瞬間、目の前の景色が一変した。それまでの混沌としたエネルギーの渦が消え去り、静けさに包まれた奇妙な空間が広がっていた。その中心には、微弱な光を放つ球体が浮かんでいた。

「これが……信号の発信源か?」

リチャードが警戒しながら問いかける。その光球は、エンジェルパックの波動特性と完全に一致するデータを放っていた。和也が通信越しにフリーマン博士に確認を取る。

「博士、この光はリオたちのものなんだな?」

博士の声は慎重だったが、興奮が混じっていた。

「間違いない。これはエンジェルパックの波動特性だ。しかし、物理的な実体があるのかどうかは分からない。」


パイロットたちは慎重に光球へと接近し、センサーを最大稼働させて解析を行った。その結果、光球が微細なエネルギーの集合体であり、内包された意識データを持つことが判明した。

「エネルギーのパターンが明らかにエンジェルパックのものだ。ただ、この状態ではコミュニケーションは取れない。」

フリーマン博士の説明に、和也が苛立ちを隠せなかった。

「リオがそこにいるのは分かってるんだ。どうにかして彼女を取り戻せないのか?」

美咲がナオミの痕跡を探しながら答える。

「もしかしたら、彼女たちはこの空間で何かを待っているのかもしれない。私たちが助けに来るのを。」


その時、光球が微かに揺れ、チーム全員の通信回線に直接届くような声が響いた。それはリオの声だった。

「お父さん……?」

和也が驚き、必死に呼びかける。

「リオ!お前なのか?ここにいるのか?」

光球がさらに輝きを増し、リオの声が再び聞こえた。

「お父さん、私たち……まだここにいるよ。でも……帰れない。」

ナオミの声も聞こえてきた。

「お母さん……助けて……。怖いよ……。」

美咲が涙を浮かべながら答える。

「ナオミ、待ってて。絶対に助けるわ。」

他のエンジェルパックの声も次々と届き、全員の心を打った。


フリーマン博士が緊急提案を行う。

「光球のエネルギーを安定させることで、エンジェルパックの意識を救出できる可能性がある。ただし、この空間のエネルギーを制御するには、極めて危険な操作が必要だ。」

リチャードが即座に答える。

「危険でもやる価値がある。俺たちは彼らを見捨てられない。」

フリーマン博士が指示を出し、パイロットたちはそれぞれの機体を用いて光球にエネルギーを注入する作業を開始した。だが、その瞬間、空間全体が激しく揺れ動き、敵影が再び出現した。

「くそっ、またバイドか!」

和也が敵を見据え、武器を構える。

「全員、エンジェルパックを守りながら戦うぞ!」


出現したバイドは、エンジェルパックを完全に消滅させようとするかのように攻撃を仕掛けてきた。その動きは以前のどの敵よりも速く、知能的だった。

「やつら、エンジェルパックを消そうとしているのか……!」

リチャードが冷静にフォーメーションを指示する。

「全機、フォーメーションBを維持し、光球への攻撃を阻止する!」

和也と美咲は互いに連携しながら敵を撃破していく。ナノマシンによるリンクがなければ、ここまで正確な操作はできなかっただろう。

「まだやれる。リオ、絶対に助ける!」

和也の叫びに応えるかのように、光球がさらに強く輝き始めた。


戦闘が激化する中、フリーマン博士が決断を下した。

「光球のエネルギーが安定した!今ならエンジェルパックの意識を回収できる!」

和也が即座に反応する。

「リオ、今助けるぞ!」

全員が敵の攻撃をかわしながら、光球へのエネルギー供給を最大化させた。やがて、光球の輝きが閃光となり、空間全体がまばゆい光に包まれた。

「これで終わったのか……?」

光が収まると、光球は静かに消え、チームの通信回線に再びリオの声が響いた。

「お父さん、ありがとう。私たち、まだ生きてるよ……。」

その声に、和也と美咲は涙を浮かべながら深く頷いた。


エンジェルパックの声を聞き、その存在を確信したTeam / ゼロのメンバーたちは、光球の中に彼らを取り戻すための準備に取り掛かった。しかし、未知の空間で行動を続ける危険性は高く、全員が緊張感を隠せなかった。


フリーマン博士が通信越しに救出の手順を説明した。

「光球のエネルギーを安定化させるためには、こちらから特定の周波数でエネルギーを供給する必要があります。しかし、この操作には正確なタイミングと継続的な供給が必要です。しかも、その間に敵が現れれば、全てが台無しになります。」

リチャードが腕を組み、全員に向けて指示を出した。

「つまり、全員が役割を果たさなければ失敗するということだ。分かっているな?」

和也が静かに答える。

「リオを助けるためなら、何だってやるさ。」

美咲も同じく力強く頷いた。

「ナオミを取り戻すために、ここまで来たんだから。」


準備を進める中で、ナノマシンの負荷が次第に明らかになってきた。長時間の使用によってパイロットたちの体に疲労が蓄積し、リンクの反応が鈍くなり始めていた。

ルイスが苦笑しながら呟いた。

「これ以上使い続けたら、俺たちの体が先に限界を迎えそうだな。」

カルロスが冷静に補足する。

「それでもやるしかない。ナノマシンが切れたら、エンジェルパックなしでこの空間に留まるのは不可能だ。」

和也はその言葉に黙って頷き、再びリオの声を思い浮かべた。

「リオ、お前を助けるためなら、俺はどんな苦痛にも耐える。」


各メンバーがそれぞれの役割を確認し合い、作戦の最終調整を行った。

リチャード:「ルイス、カルロス、お前たちは防衛ラインを張れ。敵が来たら最前線で食い止めるんだ。」

ルイス:「了解。派手にやらせてもらうぜ。」

カルロス:「無駄弾は使わないようにする。」

リチャード:「和也、美咲、お前たちはエネルギー供給を担当しろ。博士の指示に従い、光球に安定したエネルギーを送り込むんだ。」

和也:「任せてくれ。絶対に失敗しない。」

美咲:「ナオミを助けるためなら、私は何だってやるわ。」

全員がそれぞれの役割を認識し、戦闘準備を整えた。


フリーマン博士の指示に従い、各機体に救出用のエネルギー供給装置が設置された。この装置は短時間で大量のエネルギーを供給できるが、使用中は機体の動きが制限されるという欠点があった。

「装置の動作には注意が必要です。エネルギー供給中に攻撃を受ければ、全てが台無しになります。」

博士の言葉に、全員が緊張した面持ちで頷いた。

「これが最後の希望だ。慎重に進めるぞ。」


救出準備が進む中、周囲の空間に異常な変化が現れた。センサーが微弱な反応を示し、敵が接近している可能性を示唆していた。

「来るぞ……!」

リチャードが全員に警告を発し、ルイスとカルロスが即座に防衛ラインを構築した。

「俺たちの仕事だな。派手にやってやろうぜ。」

「油断するな。相手はここまで何度も俺たちを苦しめたやつらだ。」

防衛ラインを維持する中、和也と美咲はエネルギー供給の準備を急いでいた。

「和也、急いで。敵が来る前にエネルギーを送り始めないと。」

「分かってる。でも、失敗はできないんだ。」


全ての準備が整い、フリーマン博士が最終的な指示を出した。

「エネルギー供給を開始します。全員、持ち場を離れるな。ここからが本番です。」

和也が深呼吸し、エネルギー供給装置を起動した。その瞬間、光球が微かに輝き始め、リオとナオミの声が再び通信回線に響いた。

「お父さん……ありがとう。」

「お母さん……待ってたよ。」

その声に、美咲が涙を浮かべながら答えた。

「待ってて、ナオミ。すぐに助けるわ。」

和也もリオに向けて力強く言葉を送る。

「リオ、もう少しだ。一緒に帰ろう。」

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