0.11-1 Next STEP
「それで、『仕切り直し』したわけね」
ふむふむ。という様子でオズモが頷く。
「そうなんだよっ。オズモさん」
「突然、シルクちゃんが現れてね!」
興奮した様子でエブモスが説明する。
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「この『結末』ここで決着をつけてしまうのは、勿体無いよね?」
語りかけるようにシルクは、会場に言葉を投げかける。
「そこで。第二幕は、『3週間後』コスモス庁舎の大ホールで行うと思うんだけれど、みんなどう?」
「もちろん、ボクも立ち会う」
「みんな来てくれてるよね」
呼びかけに、歓声が答えとなって鳴り響く。
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「それで、歌で勝負をすることになったのね」
「しかも、コスモス庁舎にある大ホールねぇ」
大ホールと名前がついているが、ただのレクリエーション施設ではない。
アトムが巫女として、コスモスと繋がる為の祭壇であるソリティ・ガイアとの中継地点も兼ねた場所。
それが、通称 大ホール。
正式名称 Cosmos-Hubと呼ばれている場所だ。
一般開放は、行われているが、使用する為には、厳粛な基準を満たした上で投票が行われ、その結果で使用できるというものだった。
言ってしまえば、一般開放しているからとは言え、直ぐに使用できないのが現状だった。
それをシルクは、押さえたのだ。
ほんの僅かな時間で。
「イベントをやるには、一番盛り上がる場所よねぇ」
「そこを難なく押さえるなんて」
「『シルクちゃん』やり手ね」
そういいながら、奥のデスクでデータを纏めていたシークレットを見つめるオズモ
「オズモさん。何かありましたか?」
視線に気付き、言葉を返すシークレット
「いえ。何でもないわ」
「そうですか」
「ただ。この『シルクちゃん』ただものではないわよねぇーって、思っていたのよ」
そういいながら、パンフレットを見せるオズモ
そこには、3週間後に開催するステージの内容が記載されていた。
「ええ。『彼女』は優秀ですから」
「ふーん。そうなんだ。なんで、それをシークレットくんが知っているのかなぁ?」
「『彼女』の手続きは、僕が進めたんですよ。その時に色々、お話ししましたから。知っていますよ」
大ホールの使用申請は、主催者名こそシルクだが、申請者は、『シークレット』となっていた。
「なるほど、ね」
「でも、大した手腕よね」
「アトムさんに話を通して、一瞬で許可を得てしまうなんて」
「はい。彼女たちの歌には、ちからがあります」
「使われ方によっては、危い。ただ、その用途を間違わなければ、希望を灯す力があります」
これは、事件として扱っていい事象だといいきるシークレット
「それに、僕たちがプロデュースしているアヴァリアとイーサ」
「彼女達が挑戦状を叩きつけられたんだ」
「最高の舞台で迎え撃って、これを克服してこその盛り上がりがある!」
熱く語るシークレット
「あら。あなたの事じゃなくて『シルクちゃん』の話しよ」
「シークレットくんがやり手なのは、知っているわ」
「頼りにしているわよ」
そういうと、にっこりとオズモは微笑んだのだった。