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番外編2:カフェ

「やっぱり、『シルク』ちゃんはすごいよね!!」
「歌唱力がすごい!」
「でも、あのハスキーな女性声で歌い上げるのがわたしはすきだなぁー」
「あれ、なんて曲だったけ?」

「サイレントだよ。エブモス」

「そうそう!!サイレント」

「うんうん。わかるよ。僕もあれが大好きでね」
そういって、頷くアシンメトリーな髪型をした中性的な男性が応じる。

「って!あなただれ!!」

「ん?ああ、僕かい」
「ユニスワップだよ。気軽にユニって呼んでくれたらいいさ」
「君、名前は?」

「えっ、わたしはエブモスっていいます」

「そう。じゃあ、エブ子ちゃんでいいかな?」

「それは、流石に」

「よし!じゃあ、エブモスちゃんにしよう!!」

「それなら、よし!」

「って、そういうことじゃないだろ?エブモス」

「シークレット君?」

「そもそも、あなたは何なのですか?」
「僕たちとあなたは面識は、ないでしょう?」

「いや、僕は『シルク』ちゃんのファンなんだ」
「だから、シルクちゃんの演者であるシークレット君も知っている」

「いや、そういうことじゃないから」
「それと、その情報どこで知った?」
鋭い目つきになり、シークレットがユニに尋ねる。

「君の配信をアトムと一緒に見ていたら教えてくれたけど?」

「えっ!!ユニって、アトムさんと知り合い何ですか!?」

「知り合いというか、お付き合いしているよー」

(ちょっと、エブモス。僕は、聞いてはいけないことを聞いている様な気がするんだが)

(そうだね。わたしも)

((コスモス最大の秘密を聞いているような))

「あっ、これ言っちゃいけなかったんだった。2人とも誰にも言わないでねー」

「こんなアホなこと言えるか!!」

(シークレット君がツッコミにまわってる)

「わぁお!シルクちゃんからツッコミもらっちゃった!!」
きゃぴきゃぴし始めるユニ
じっと黙っていれば美青年なのだが、仕草がもうオタクのそれだった。

「うん。控えめに言ってキモイ」

「シークレット君。声に出てるよ!」

「あぁ、余りにもあれで声に出てしまった」

「いやぁ、いいツッコミとお墨付きを頂いたよ」

「しかも、本人満足しちゃってるよ!」

「あたまが痛い」

「どうしたのかい?シルクちゃん」
「頭が痛いなら、寝たらいい」
「ほら、僕のここ。空いているよ」
そういって、膝を突き出すユニ

「こーの変態ユニコーンが!!」
スパーんと、シークレットの手のひらがユニの頭に炸裂する。
ユニの頭に見事に決まるシークレットの叩き。
ユニは、椅子から転げ落ちるとクルクルと回転したあと。
パタリと動かなくなった。

「シークレット君。やりすぎ!!」

「う、うん」
これには、流石にやりすぎたとシークレットも反省したのか、佇む。

(どうして、こんなに流れるように叩いたんだ!?相手は、変態だとしても初対面だぞ!?どうしたんだ僕!)
いつもエブモスに助け船を出すシークレット
その彼が冷静さを欠きエブモスに突っ込まれる始末。

「ユニさん、ごめんなさい。大丈夫!?」
エブモスが声をかける。

「う、うう」
どうやら意識はあるようだ。
ただ、少し涙声ではあるようだ。

「ほら!!シークレット君がいきなりひっぱたくから泣いちゃったでしょ!?」
「謝らなきゃ」
そういって、エブモスはシークレットに近付き、その手を引きユニへと近寄る。

「ほら、シークレット君も。わたしも謝るから」

「うん」

「ユニさん、ごめんなさ、い。あ」
二人は、見てしまったのだ。
謝る為にユニの正面に回り込んで、彼の顔を。
その顔は恍惚と嬉しかった何かを思い出すような表情をしていた。

(うわぁ)

「もらっちゃった。シルクちゃんから、渾身のツッコミもらっちゃった」
かみしめる様にいうユニ
はしゃぎ、喜ばれた方が何倍もマシだったと思うシークレット

「えーーと。叩いたのは、ごめんなさい」
「でも、その。正直、キモイです」

「シークレット君、本音でてる」

「その!その攻めている感じも素敵だ!」
横たわりながらも感極まるユニ

「もう、ほっておいていこうよ。ほら、エブモス」
現実逃避するシークレットに聞きなれた声が聞こえる。

「あら、シークレット君じゃない?エブ子ちゃんも」

「そこに寝転がっているのは」
「ははーん」
「ユニ君。どうしたのかしら?」
何か面白いことがあったと状況を察しながら、ニコニコ顔で応じるオズモその人であった。

「全然、良くないですよ。オズモさん!」

「まぁまぁ」

「オズモさん、どうしてここに?」

「エブ子ちゃん、こんにちは。そうね。Junoと一緒に休みに来ていたのだけれど」
「丁度良かったわ」

「丁度良かった!?」

「そこに横たわる彼に用があるのよ。ただ、なるべくならば研究室でお話しがしたいの」
「だから、ね」
ウィンクしながら、シークレットにお願い。という目線を送るオズモ

「何がお願いなんです。オズモさん」
底冷えのするような声で応じるシークレット

「あら、わかったと思うんだけれどなぁ」
「ユニ君をおぶって、研究室まで運んでくれない?」

「えええ!!!」
「立って自分で歩けばいいじゃないか!」
猛抗議するシークレットにオズモは言い聞かせるように言葉を紡ぐ

「あら、それが出来なさそうだからいっているのよ」
「だって、ユニ君。気を失っているでしょ?」

「??」

エブモスとシークレットがユニの顔を覗き込む。
すると、幸せな表情のまま気絶しているのだった。

「幸せ過ぎて気絶することってあるんだね!」

「そうね。私も聞いたことなかったけれど。実例を目にするまでは」
「と、ともかく。ことを早めに進めなければならないのよ」
「だから、お願いね」

「それは、オズモさん」

「あら、シークレット君は男の娘でしょ?ほら、レディのアシストをしなくちゃ」

(今、ニュアンスが違う様に聞こえたけれど、気のせいだよね)






















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