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1.5-48 解決
「只今戻りましたわ!」
そう言うやいなや、オズモに飛びつくソラナ
そして、テーブルの方を見て目をぱちくりとさせる。
「ゼクセル!」
「どうも、おじゃましてるよ」
そう言って、ソラナを一瞥するとイーサとの会話に戻ったゼクセル
「どういうことなのかしら!?」
「エブモス、まさか!」
「うん!ゼクセルをイーサさんのところに転送したんだよっ!」
「なぜ、それを早く言わなかったのです!?」
「言ったよ!ソラナちゃん、安心したって言ってたから、納得したものだと思ってた」
———-
コスモス第三層 ソリティ・ガイアから帰還中
「エブモス、ところで、ゼクセルはどこに転送したのかしら?」
「イーサさんに任せよっ!」
「そう。ならば、安心ね」
———-
「いいましたわ!」
「でしょ?」
「ごめんなさいね。エブモス」
「いいよ。ほら、今回は、わたしを守りながら戦っていたからつかれちゃってたんだよ!」
ポンポンと、ソラナの肩を叩きながらわかるわかる。と頷くエブモス。
「いえ、言われた任務をこなし、更にその上を目指すのがわたくし、ソラナ」
対照的に落ち込んでいるソラナを尻目にオズモが尋ねる。
「ところで、リックくん。そろそろ離してあげないとゼクセルちゃん、気絶しちゃうわよ」
くすくすっと、笑いながら忠告するオズモ
ゼクセルの顔は真っ赤で、今にも走り出してどこかに行ってしまいたげな表情だった。
「リックぅ〜」
「ゼクセルさま!あなたがどこへも行かない様に私は、離したくありません!」
「はずかしぃよぉ」
「そこまでにしておいたら、どうかしら?リック?」
「それに、気になる事もあるし」
現状復旧したソラナが冷静にツッコミを入れる。
(ソラナちゃん、さらっと復旧しているんだよっ!)
「ゼクセル、何故あなた?あぁ、だから、ボロボロなのね」
そっと、横のイーサを見て納得していた。
「どうしたの?ソラナ。私の顔に何かついているかしら?」
細かな擦り傷や、ゼクセルと同じく見た目ボロボロ、だけど爽やかな笑顔でイーサが答える。
「一応、聞いておきますわね」
「あなた達、何をしていたのかしら?」
「それは、もちろん。話し合い」
「よ」
「に決まっているだろ?」
いきぴったりに答える2人
「ほんとかしらー?」
「良いんじゃい?ソラナちゃん。ほら、人により話し方もそれぞれ、ってね」
ウィンクしながら、そっとソラナに紅茶を手渡す。
「拳で語るとか、イーサさんらしい!」
それを聞いて、少し照れ臭さそうに笑うイーサ
「褒めてないわよ!それ。エブモス、フォローになってないわ」
「えっ、いいなぁって思ったんだけど」
「まぁ、いいですけどー」
「で。ゼクセル。今も、コスモス宙域を滅ぼそうと考えているのかしら」
一瞬
氷の様な表情になり、ゼクセルへと尋ねる。
「あー。ナシナシ。その必要は無くなったよ」
「ボクは、もう御子じゃなくなったんだ」
「何ですって?」
「あー。正確には、御子の役割を譲渡したってところかな?」
「誰によ?」
「これ」
そう言って、ゼクセルは柄だけの剣を指し示した。
「無機物じゃない!」
「そうだよ?」
「でも、その方が都合がいいんじゃないかな」
「力を行使するものが、それを使う」
「それ自体には、使命性はあれど、意思はないってね!」
「それって、あなたが持っていたら変わらなくない?」
「そんな事はないさ。ほら」
柄を握り、力を注ぐゼクセル
形成されるはずの刀身は、一向にその姿を見せなかった。
「ねっ!」
「なるほど、ね」
「って、みんなで、納得してないで話してくれなきゃわからないよ!ソラナちゃん。説明して!」
「はいはい」
「これはね。『自らの使命』で使われるとき以外は機能しなくなったのよ」
「?」
「以前は、ゼクセルが御子だったから、常に使命を帯びていたの。ここまではいいわね」
「うん」
「それを柄。いえ。剣が巻き取ったのよ」
「以前は、ただ、ゼクセルが振る事で上位者へと届く剣が、『それ単体』で届く様になったの」
「代わりに、届かせようとする行為には、使命が必要になった」
「なんとなく、わかるような」
「要は、ゼクセルの役割りを巻き取ったのよ」
「なるほど!」
「ほんとうにわかったのかしら?」
「ほんとだよっ!」
「つまり、ゼクセルさんは、自分の役割に、もう縛られないでいいってことだよね!」
「ひらたく言ってしまえば、そうね」
「じゆうだっ!」
そう言って、両手を広げバンザイをするエブモス
「じゅうだぞー!」
応える様にノリノリでバンザイをするゼクセル
「自由ね!」
拳を天に突き上げるイーサ
「なんか、貴女だけ違くない?」
「そうかなぁ?」
ソラナのツッコミに、首を傾げ答えるイーサ
「はいはい!」
パンパンと、手をたたきながら話を区切る
オズモ
「それじゃあ、めでたく自体も収束したという事で、みんな。一杯やらない?」
ブロックタイムで作ったお酒を片手にシャンパングラスの揃ったトレイを持っていた。