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再観測:星を継ぐもの:Episode6-1
Episode6-1:要塞の封鎖網
星海の果てに位置する仮拠点――そこでは、円卓騎士団が主体となって神官隊や技術班が合流し、さらに奥へ行く道標をつくる作業が急ピッチで進められていた。巨大な転送ゲートの安定化に成功し、上位宇宙へ通じる航路を本格的に築こうという矢先、拠点の管制室に突然けたたましい警報が鳴り渡る。
オペレーター「緊急連絡! 星海のE区画にて、未確認の大規模構造体を捉えました。急速に観測光の濃度が増大しており、封鎖網を形成しつつある可能性が……!」
アーサーやカイン、ガウェイン、トリスタンたち円卓騎士団が集まる指令卓には、スクリーン越しに白黒が混在する宙域のデータが映し出され、何やら膨大な物質が固まっているらしいシグナルが観測されていた。
そこは、いわゆる“星海のさらに奥”であり、先の大艦隊との戦いをくぐり抜けた先にある領域だ。だが、その領域のデータはまだ未完成――観測とマッピングが進んでいなかったのが実情である。
「何だこの反応……。まるで巨大な城塞でもあるかのようなシルエットじゃないか」
ガウェインがスクリーンを見つめ、厚い腕を組みながらうなる。トリスタンが少し離れた位置で射撃端末を整備しつつも、「要塞かどうかは未知数ですが……少なくとも相当大きな人工物ですね」と低い声で補足する。
アーサー「星海には数々の廃墟や艦があったが……ここまで大規模な構造体となると、The Orderが本拠を築いた可能性が高い。もしこれが要塞なら、封鎖網を敷いて我々を奥へ進ませないつもりだろう」
通信をモニタリングしていたアリスは、ホログラム越しに数値を精査している。隣のカインは気が気でない様子で、「アリス、何かわかるか?」と促すが、彼女は険しい表情のまま声を落とす。
アリス「まだ詳細は不明……でも、そこから放射される観測光は非常に強力。かつ、内部に何層ものバリアがあるみたい。もし要塞なら、突破には相当な困難が予想されるわ」
「なるほど。俺たちが行かなきゃならないだろうな、どうせ」とカインは肩を落としながらも、どこか闘志をみなぎらせる。アーサーが頷き、「そうだ。行くしかない。ユグドラシル・モデルや上位宇宙への道を塞がれていては、ここで足踏みになる」と声を掛ける。
その後、臨時ブリーフィングが行われ、要塞らしき大規模構造体をまず偵察し、可能なら初期攻撃を仕掛けて様子を探ることが決定される。大艦隊をまとめて向かわせるのはリスクが高いため、いつものように円卓騎士団が先行して突撃――という構図だ。
「アリス、今のコンディションはどうだ? 以前の艦隊戦や融合兵との戦いの疲労がまだ残ってるんじゃないか?」
ブリーフィング終わり際、カインは隣のアリスに声をかける。アリスは多少顔色を戻して、「まだ完全じゃないけど……小規模の干渉なら何とかやれると思う。大規模戦闘になったら……ごめん、足を引っ張るかも」と述べる。
カイン「そんなこと言うなよ。お前がいなきゃ俺らはまるで片翼だし、やれる範囲で頼むってだけだ」
アリスは少し笑みをこぼす。「ありがとう、カイン。行こう、みんなが待ってるから」
こうして、銀の小手(カイン&アリス), エクスカリバー(アーサー), ガラティーン(ガウェイン), フォール・ノート(トリスタン)**の4機が再び出撃準備を整えた。星海の仮拠点を後にし、先の未知宙域へ向かうため、光の海を駆け抜けていく。
暗い闇と散りばめられた星屑を背景に、4機の戦闘機は隊列を組んで進む。そこかしこに散在する残骸や小隕石を避けながら、レーダーに映る巨大シグナルへ近づくにつれ、観測光の振動が耳鳴りのように響くのを感じた。
「これが……要塞か……」
視認できる距離に入ると、カインは思わず息を飲む。そこには何層もの球殻状が重なり合い、外殻には鋭利な棘やヒレ状の構造が無数に突き出している――まるで異形の花が宇宙に咲いているかのようだ。中心部が青紫の光を脈動させ、まわりには円環やリングらしきパーツが複数個浮遊しており、軌道を回転している。
「こいつ……でかすぎるだろ。どれだけの空間を占めてるんだ……」
ガウェインが低く呟く。トリスタンもスコープを覗き、「外殻に砲台やドローン発射口らしきモジュールが数百基はありそうだ。これは大変だな」と眉をひそめる。
アーサー「要塞というより、まるで**“生体惑星”**のようだ……The Orderが作り上げた超大型構造体か。封鎖網という言葉に相応しいわけだ」
「そうだな……あの棘みたいなの、きっと相当ヤバい武器を備えてるんじゃないか」
カインはコクピット内で息を詰め、警戒を最大にする。アリスが解析データを出しながら、「外殻のバリア反応が強力。干渉なしには破れないかもしれないし、中にも相当数の敵が詰まってるはず」と警鐘を鳴らす。
カイン「要は、また無茶をしてでもバリアを壊さないと突破できないんだな……あーあ、あちこち痛むぜ」
苦笑するカインに、アーサーが威厳ある声で指示を出す。「まずは外周を回り、敵の配備状況を偵察する。すぐには攻め込まず、状況を掴んで本隊へ報告――必要があれば、神官隊や援軍を呼ぶ。それが今回の偵察目的だ」
「りょーかい!」
4機はエンジン噴射を絞り、要塞の外周をゆっくり旋回しながらスキャンを行う。近づきすぎず、かつ遠すぎず、敵に発見されてもすぐ逃げられる間合いを保つ――かなり神経を使う作業だ。
だが、そんな慎重な動きも早々に察知されてしまう。円卓騎士団が要塞外周を回ってしばらくすると、棘やヒレ状の部分から強烈な観測光砲撃が放たれた。ビームが射線を描き、4機の戦闘機へ殺到する。
「来たな……みんな散開だ!」
アーサーがそう叫ぶと、各機は左右上下に分かれ、高速でバラける。ビームの火線が星の海に幾筋も走り、爆発が点々と広がる。
さらに要塞表面から小型ドローンが群れをなして離陸し、観測光ミサイルを搭載した編隊があちこちに飛び出す。まさに封鎖網が展開される瞬間だ。
ガウェイン「ちっ……初っ端から全力で来やがるか。あのバリアの内側にはまだ大量の敵がいるんだろう。俺たちだけで大丈夫か?」
アーサー「ともかく偵察最優先だ。無理に突撃しないで、外周を回りつつ可能な部分を破壊しよう」
「オレらに可能な部分、って……できるのか?」
カインは突っ込みながらも、銀の小手の操縦桿を握り、機体を急加速。アリスの補助でミサイルを回避しつつ、ドローン群を迎撃する。干渉力をピンポイントで使い、数発のミサイル軌道を狂わせて敵同士ぶつけたりもしているが、数が膨大すぎる。
「やばい……砲撃が当たればやられる……」
トリスタンが焦りを滲ませつつ、遠距離射撃で砲台を落とす。それでも向こうは次々と再稼働してくる。封鎖網と呼ぶに相応しい、絶望的な火力だ。
かろうじて爆炎の合間を縫い、騎士団はカバーし合いながら要塞の表面をスキャンする。アーサーが通信でみんなへ指示を飛ばす。
アーサー「ガウェイン、盾で前面をサポートしてトリスタンの狙撃を通すんだ。カインと私は側面から砲台を叩いてドローンを片づける。大勢には勝てないが、今は局所的に道を開ければいい」
「了解!」
ガウェインは覚悟を決め、盾(エネルギーシールド的なもの)を前に構えて低速飛行し、要塞からのビームを引き受けつつ、トリスタンのフォール・ノートが盾越しに高出力ライフルで反撃する。
その間にカイン&アリスの銀の小手は、アーサーのエクスカリバーと連携して横合いから要塞の棘部分を破壊しようと試みる。凄まじい衝撃波と粉塵が散り、視界は悪いが、なんとか目標を捉えたようだ。
カイン「アリス、もう少し干渉であの砲台の精度を狂わせられないか?」
アリス「やってみる……! でも限界が近いから、小刻みに使うしかないよ」
「それでいい、頼む!」
銀の小手がビームを放ちながら宙を斜め回転し、艦載ミサイルを撃ち込む。観測光干渉を微妙に混ぜることで、敵砲撃がバラつき、結果トリスタンやガウェインへの負荷が軽減される。
一方、アーサーはエクスカリバーの特大出力ビーム“剣”を切り上げるように使い、外壁に大穴を開けるかのごとく切り刻む。棘状の武装が何本か砕け落ち、爆炎がまばゆい閃光を放つ。
しかし、封鎖網は一層目に過ぎなかった。メイン外壁を多少壊したところで、内側から第二、第三の防壁が稼働し、さらに射程の長い観測砲が騎士団を捕捉する。ドローンの攻勢もやまない。
ガウェインは盾を焼かれながらも懸命に耐えるが、徐々にシールドが悲鳴を上げ、亀裂を生じ始める。トリスタンが「盾の限界が近い、落ち着いて後退しよう」と呼びかけ、アーサーも舌打ち混じりに「これ以上深入りは無理か」と判断する。
「戻るか……このままじゃ駄目だ! 偵察の目的は達成しただろう。こんな強固な要塞、すぐには攻め落とせない」
カインが機体を傾けながらアリスに声をかける。「アリス、もう干渉力は使わず撤退しよう。君もこれ以上は厳しいだろ?」
アリス「うん……ごめん、今度こそ本当に限界……」
通信でアーサーが「皆、退避命令だ!」と指示を飛ばす。その言葉を合図に、4機はスロットル全開で要塞から距離を取り、星海の外側へ離脱しようとする。後方から無数のビームとミサイルが追撃してくるが、何とか散開機動で回避し、ガウェインの盾が被弾を最小限に抑える形となる。
(あの要塞をどう攻略する? こんな火力じゃ歯が立たない……)
カインは虚空を睨みながら機体を飛ばす。トリスタンが着々と妨害射撃を行い、ドローンを落として逃げ道を確保し、やがて封鎖網の射程圏外まで逃れることができた。
息もつかぬまま、円卓騎士団は星海拠点に戻り、要塞の脅威について全軍へ警鐘を鳴らすことになる。
星海拠点の管制室へ帰投すると、モルガンや神官隊、技術班らが既に待機していた。4機とも少なからぬ被弾を負い、ガウェインに至っては盾の大半が焼き崩れており、トリスタンのフォール・ノートにも穴が空いている。カインは銀の小手をドックへ預け、ヘルメットを脱ぎ汗を拭う。
モルガン「皆、おかえりなさい。無事でよかった……。それで、要塞はどうだったの?」
「……正直、あんな化物じみた要塞、そう簡単には落とせません。外周だけであの火力ですし、封鎖網と呼ぶに相応しいバリア多層構造。神官隊やアリスの干渉力があっても、突破は至難の業かと」
アーサーが疲労した声で報告すると、ガウェインが盾を叩いて「最低でも大規模艦隊が必要だ。観測光バリアを破れる火力を集中しなきゃダメだろう」と付け加える。
トリスタンは地図データをスクリーンに投影しながら、「内部構造は不明ですが、外周だけでも砲台が百を超え、ドローンの格納庫が複数見つかりました。小規模部隊で強襲するのは自殺行為かもしれない」と冷静に分析する。
モルガン「やはり……そう簡単には突破できないのね。大艦隊を投入するにも、星海を踏破して要塞まで連れて行く必要があるし、あちらも黙っていないでしょう」
そこへ、アリスが端末で薄く息を整えながら言葉を紡ぐ。「その要塞……もしかしたら、ユグドラシル・モデルにアクセスできる鍵が隠されている可能性があります。干渉波の位相が何重にもなっていて、あの中心部に“何か”があるかもしれないの」
「結局、こいつを落とさないと先へは進めないってわけか……」
カインが肩を落とす。モルガンや神官隊は互いの顔を見合わせ、思案している。すると技術班主任のヨナスが手を挙げる。
ヨナス「まだ提案段階ですが、先日の観測制御装置を応用し、要塞バリアを一部無効化する方法があるかもしれません。もちろん実験的で危険だけど……」
「観測制御装置の派生技術か。もしそれで局所的にバリアを開ければ、円卓騎士団が突撃してコアを破壊できるかもな」
ガウェインが腕を組んで唸る。トリスタンは「ドローンの量が尋常じゃないから、その処理をどうするかも課題だね」と鋭い目で指摘する。
アーサーは唸るように「どのみち、すぐには無理がある。大艦隊を集め、観測制御装置を大がかりに応用して、要塞へ総攻撃を仕掛けるか、それとも秘密裏に突撃隊を送り込むか……いろいろ練らないと」と言葉を切る。
ブリーフィングを終え、各自がそれぞれ作業に散った後、カインとアリスは管制室の一隅で二人きりになった。疲労の色が濃いが、心の中にはまだ明るい火が灯っている。
「なあ、アリス。お前が言ってた『あの要塞の中心部に“何か”があるかもしれない』ってのは、具体的にどんな感覚なんだ?」
カインは静かに問いかける。アリスはホログラムの表情を曇らせつつも、「言葉では上手く言えないけど、観測光の波形がまるで書庫のように何層にも積み重なっていたの。あそこに私の記憶を補完する情報がある気がして……」と口を開く。
「記憶の補完……ユグドラシル・モデルがそこに?」
アリス「たぶん。ユグドラシルは、人類がThe Orderに対抗するために作った“根幹プログラム”のようなもの……私自身がその断片を背負っている。あの要塞の中心にアクセスできれば、より完全な形で起動できるかもしれないの」
「つまり、お前の真価を引き出す鍵ってわけか」
カインは合点がいったようにうなずき、「なら行くしかないな」と静かに笑う。アリスは不安げな瞳で「でも、あんな頑強な封鎖網をどう突破するか……」と視線を落とす。
カインは軽く肩をすくめるように笑い、「そこは俺たちの腕の見せ所だろ。きっとアーサーたちが考えてくれるさ」と口角を上げる。
「……ありがとう、カイン」
アリスは微笑む。こうして二人は再び決意を固め、要塞攻略に向けた策を練ることになる。
翌日、再び開かれた小規模な作戦会議には、騎士団メンバーのほかに技術班のヨナス、神官隊代表、そしてモルガンが参加。議題は言うまでもなく、要塞の封鎖網をいかに突破するかという一点だ。
スクリーンに要塞の外観映像が映され、複数のバリア層と砲台、ドローン格納庫、そして中心核の推定位置などが表示される。
ヨナス「各部位の強度を試算したところ、通常の集中砲火だけではバリアを破壊しきれないことが分かりました。観測制御装置を使った特殊な波長干渉を要するはずです」
モルガンが顎に手をあて、「それを何らかの形で仕掛けるとして、誰がやるの?」と問う。ヨナスは目線をアリスへ運ぶ。「干渉力と観測制御を同時に発動できる存在……つまり、アリスさんが要。サポートとして神官隊も追加配置が必要かと」
アリス「……私か。正直、フルパワーは使えないけど、小規模なバリア一角を壊すくらいなら可能かもしれません。あとは円卓騎士団がどれだけそこを突いてくれるか……」
「よし、ならば作戦はこうだ」
アーサーが短くまとめる。
大艦隊で正面から要塞を牽制。多数の砲撃で外層バリアに一斉攻撃を加え、敵の注意をそちらへ向ける。
同時にアリスと円卓騎士団が要塞の別の区画へ接近し、観測制御装置の応用(干渉力混在)でバリアの一角を破壊する。
そこから突入し、できる限り中心部へ向かい、核を破壊またはユグドラシル関連の情報を回収する――という大きな二段構えである。
ガウェイン「大艦隊の囮か……悪くないな。俺たちを援護する余裕はどこまであるか分からんけど、砲火が分散すればこちらの突入が多少マシになるだろう」
トリスタンもライフルをいじりながら、「ただし、要塞には無数のドローンや融合兵が潜んでるかもしれない。突入後の近接戦闘も覚悟が必要だ」と冷静に見通す。
カインはアリスを見やり、「俺たちが中心部で情報を探す間、どう動くかは決めておかないとね。もし深部で何か大きな敵に遭遇したらどうする?」と問いかける。アリスは躊躇いがちな声で「また干渉力を使うしか……でも私が倒れたら……」と不安を漏らす。
「大丈夫、みんながいる。無理しすぎない程度に助けてくれればいいさ」
カインの優しい言葉に、アリスは「ありがとう……」と微笑む。モルガンはそれを見て微かに頷き、「あなたたちの絆が、この要塞という難敵を崩す鍵になるわ」と締めくくった。
要塞の存在と封鎖網の脅威を円卓騎士団が目撃・体験し、なおかつ大規模作戦の必要性が認識された段階で幕を下ろす。
今後、王国艦隊と騎士団は協力し、大規模に要塞攻略へ動くことになるだろう。
アリスの干渉力と観測制御装置の融合が成功するか、あるいは要塞内部に待ち受ける真の敵がどれだけ強大なのか――未知数は山ほどある。しかし、ここまで来た円卓騎士団には立ち止まる選択肢など存在しない。
カインは銀の小手のコクピットで作戦の最終確認を行いながら、アリスと小声で話していた。外ではガウェインやトリスタンが整備士と盾やライフルの補修を進め、アーサーが大艦隊の指揮官と通信協議をしている。
カイン「なあ、アリス……また厳しい戦いになるけど、本当に大丈夫か?」
アリス「……うん、怖いよ。でも、私はもう逃げない。ユグドラシル・モデルの真相を掴むためにも、この要塞を乗り越えないといけないんだ」
「そっか……。俺も覚悟決めた。お前を守りきるよ、絶対にな」
カインは操縦桿に手を伸ばし、彼女の手(ホログラム)に重ねるような仕草を見せる。アリスはそれに応えて微笑む。戦闘機の狭いコクピットながら、二人の心はしっかりと結ばれている。
その光景を遠目に見つめるガウェインは、ニヤリと「いつ見てもあの二人は初々しいな」とからかい、トリスタンはあからさまに咳払いして眼を逸らす。アーサーは微笑ましく見守りつつ、艦隊への最終通達を出す。
アーサー「――よし、皆、出撃の準備を急げ。要塞への総合作戦はもうすぐだ。小宇宙での最激戦になるかもしれんが、必ず乗り越えよう」
巨大要塞は未だその全貌を見せないが、偵察した円卓騎士団は記した。
「外周バリアと砲火は、鉄壁だ。だが、それは、重要なものを守っている証ではないか」そう予測を立てたのだった。
報告書を読んだモルガンは、目を瞑り、呼吸を整え、コーヒーを一口含み。 次の瞬間、デスクに手を叩きつけ、叫んだ。
「絶対に落とせ!」
「ここが要だ。出し惜しみは許さない」
かくして、作戦の火ぶたは切って落とされたのだった。