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1.5-43 理由
「なるほど、ね。わかりましたわ」
リックの話が終わると、目を閉じて逡巡する仕草を見せたソラナが呟く。
「殺しますわ」
「だと思ったよ!」
リックの話した内容は、大まかには、ソラナとオズモが予測した通りだった。
0xLSDに関与する上位者からの神託で、デイジー達を消滅させること。
上位者との契約方法が流出したら、その対象を全て抹殺すること。
その2点だった。
「何を今更。むしろ、あなた達が先だったのでは?」
そう言って、人差し指の爪を下にし、リックを指差すソラナ。
「そして、その決定は覆る事はないのでしょ?」
「当然。僕たちは、上位者。神に支えるものだからね」
「わかったわ」
「でも、その上で聞くわ」
「どこまでが、あなた達の意思なの?」
いつの間にか、手に拳銃を顕現させているソラナ。
その銃口は、人差し指が刺していたリックの喉元を狙っていた。
「それを聞いて、僕たちを許す君ではないだろ?」
「そんな事はないわ」
「それが、あなた達の意思で成すのだとしたのならば。敬意を持って、殺します」
「あなた達の事は、わたくしの記憶にきっちりと刻みます」
「なんだ、やっぱり。結果は変わらないじゃないか」
「そうですわね。ただ、大違いです」
「じゃあ、もし、僕らの意思じゃなく。上位者の言うままに行なっていたとしたのならば?」
「そんなの」
「記憶にも残しませんわ!」
そう言って、左手には剣を顕現させ、軽くそれを振るう。
「あっ!読んだね」
「ばればれよ。素人ね。あなた」
そういって、ゼクセルの剣撃を逸らすソラナ。
しかし、その肩からは、血が流れていた。
「素人、ですけれど。恐ろしい身体能力ね」
「ソラナちゃん!援護するよっ!」
エブモスが、コントラクトを組み上げトランザクションを発動させる。
ソラナの視界が加速され、周りの世界がゆっくりとしたものになる。
「結局、決裂しちゃったね。僕たち」
「リック、悲しそう」
「ゼクセルさま。ありがとうございます」
「しかし、この私。負けるわけには参りません。あなたと。私自身のためにも」
そういうと、リックは、刀を構えた。