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4.55章 舞台裏

「ボクの計算通り、美しい計画だ」
そう言いながら、パタリと懐中時計を閉じるジノ
ここは、GNO-タワー最上階
かつては、GNO-タワーの反応炉からリソースを取り出し、影として太陽を射出し続けていた場所
今は、そのリソースもGNO-LAND外縁部に散ることで、立ち入りが出来るほどの熱量へと冷めていた。

「いかせるわけには、いかない」

「そんななりで、まだ、抵抗出来るの?」
「大した忠義心だね」
そういって、うつ伏せに倒れているインジェの顎を靴のつま先であげる。
周囲には血液が散乱していた。

「くそっ!この裏切り者が!」
血を口からこぼしながら叫ぶように言うインジェ
その瞳はからは、怒りが覗いていた。

「はは!それは、どちらが先かという話しだよ」
そういって、彼の顎を持ち上げていたつま先を横にスライドし、背中へと叩きつける。

「君達はボクを裏切り続けたじゃないか」

「いつ、、我々が貴様を」

「なんだ、そんなことすら気付いていなかったのか」
「そんなんだから、裏切ってしまうんだよ」

「そんなこと、言いがかりだ」

「ボクはね、世界は完璧であるべきだと思っているんだ」
「ブロックチェーンの世界はそうあるべきだろう?」
「脆弱性があれば、他の世界から侵食されえて吸収されてしまう」
「そうでなくても、ハッカーなどの輩の侵入を許してしまう」
「それは、いけない」

「確かに、そうだが!」

「そうだよ。だから、完ぺきにする為に不完全なものを消すことにした」
「世界だけならば完全性は保てると、AIがボクに回答をしたよ」

「だからって、自分と世界以外を全て消すなんて、間違っている!」

「ありがとう。出来ないとは言わないんだね」
「それと、僕も消えるから残るのは世界だけさ」

「ただ、はじめにボクはこの結論にたどり着いたが、それが間違っているか否かはわからなかった」
「だからこそ、ボクは実験したのさ」
「外宇宙の人類が歩んだ道筋を一つ一つ、追う様に」
「狩猟からはじまり、農業へと移り、外敵を作り戦わせ、街を形成し、技術が高まり」
「そして、また、争いが始まる」

「あれは、お前が!」

「そうだよ」
「ボクがGNO-LANDの歴史を作ったんだ」
「そして、AIに解析させたら、面白い結果が出たよ」

「GNO-LANDに意識体は不要だってね」
「ボクの最初に得た結論と同じだったんだ」

「意識体って、あなたも意識体じゃないか!」

「だから、最初に言ったろ、ボクすら必要ない」
「でも、代わりに必要なものがあってね」

「?」

「世界を構成するに必要なものだよ」

「まさか!」

「そう、リソースの影ではなく、本物の光り輝く太陽さ」

「もうわかっただろ?ボクがやりたいことが」

「わからないな!!お前がしようとすることなんて!」
「それは、閣下、センチネルさん達の、人々の努力すらも否定することだ!」

「ふむ、分かってほしいとは思わないさ」
「ただ、そういうものだと思ってもらえたらと話しただけだ」

そういうとジノは、左手をゆっくりとインジェに振る。
硬質な槍が複数現れ彼を次々と串刺しにしていった。

「ぐぅがぁぁぁぁあ」

「なら、なぜ、話し、た」

「そんなの決まっているだろ。これだけ頑張ったんだ。誰かに聞いてもらいたかっただけさ」
「だから、そんなボクも不完全なんだろうよ」

そういうと、ジノは中央の出力装置まで歩いていった。

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