1.1章　失踪

エブ子、エブ子や起きなさい。

あなたの名前は、エブモス
もうすぐ14才の誕生日を迎える女の子

早く起きて、王様に挨拶しにいってきなさい
今日は、旅立ちの日でしょ

王様？
？？？？どこの世界よ
どこかのRPGなの？

出展が古いのよ！アバランチ姉ぇは！

つっこみとともに飛び起きる。
携帯端末から聞こえる声は、笑っている。

あれは、徹夜でゲームのテンション
アバランチ姉ぇ、また、徹夜でゲームしてたんだ！

おはよ！アバランチ姉ぇ
起こしてくれてありがとう！

どういたしまして、エブ子

今日、学校のテストだっていうのに余裕だねアバランチ姉ぇ！

あのくらい、よゆーよ。よゆー
昼寝していても解けるわ

どうやらこの姉は、学校の勉強くらい徹夜でゲームしても余裕らしい
実際、独自にいくつものtx(トランザクション)の研究も学業の傍ら手掛けている才女である

学校に行く必要なんかないのに
わたしだったら、学校行かずにあそんでいるのになぁ
ただ、アバランチ姉ぇいわく

青春よ、青春
学校という特殊な空間でしか味わえないことがあるでしょ？
それが楽しいんじゃない
だから、毎日、遊びに行くの

どうやら、この姉にとっては、学校に行くことも遊びのひとつのようだ

そんなことより、エブ子
大丈夫？
中等部は、今日、早いんでしょ？
昨日のテストが中止だったから、今日１時間早めに行うんでしょ？

忘れてた

急いで鞄と服を選んで、着替えると顔だけ洗い家を出る用意をする。
でも、その前に

ありがと！アバランチ姉ぇ！
あと、いってきます！！

はぁい、いってらっしゃいエブ子

挨拶とありがとうを伝えて、靴を履いてダッシュ

tx-evmos//speed

トランザクションを自分の周りの空間に作用させて駆け出す
学校では指定の区域以外はトランザクションを打つことは禁止されているが、遅刻するかもしれない
少しは多めにみてほしいなぁ

そして、見つからなければ大丈夫！！

高速で後ろにスクロールしていく風景に目を奪われるわけでもなく、着実に走り抜ける
これでも、徒競走ではクラスで負け知らず
しかし、時間があまりにも少ない

まにあえーーーー

校門が見えてきた。
っと、トランザクションの効果を切らなければ
tx-

ん！
ヤバランチ！！

あ、ヤバランチは、アバランチ姉ぇの口癖ね
って、そんなこといっている場合じゃない
先生がこちらをふりむく

が、気づいていない
いや、これは

おはよう。エブモス
相変わらず危ないことをする。
考え無しだね。きみは。

ＸＸくん、おはよう！
助けてくれてありがとう

あぁ、隠蔽のtxが間に合ってよかった
ほら、教室にいくよ
折角間に合ったんだ
ここで遅れる必要はないよね

うん！

ＸＸくんは、そういうと教室へと先に向かっていった。

そういえば、助けてもらったけれど
ＸＸくんの名前ってなんだったっけ

もやがかかったように自分が言ったはずの名前が思い出せない
自分を助けてくれた友達の顔が思い出せない

、、、、、

テストには間に合った。
でも、点を取れていたかは別問題で

エブ子ちゃん、どう、大丈夫だった？

うーーーん、ぎりぎりかなぁ？

ニアちゃんは？って聞くまでもないっか

うん。簡単だったよ

うーん。この天然天才さんめ
ニアちゃんは、頭のいい、天然おさげの女の子なのだ

そんな簡単に言われるとはらたつけど！でも！
可愛いからゆるしちゃうっ！！
ぐりぐりぐり
ニアちゃんのあたまをなでてやるのだ
小動物のウサギさんみたいに、ふるふるとふりほどきながら

もぅ、私、ウサギさんじゃないんだよ

自覚しているあたりが、天然か計算かあやしい
でも、可愛いからゆるしちゃう

うりゃうりゃうりゃ

そんなこんなで、テストはぎりぎりボーダーライン
たぶんいけたはず
アバランチ姉ぇの勉強会があったおかげかな？
結構、教えてくれた問題が出題されてた

あのゲームジャンキー、侮れない！
って、顔しているわね

アバランチ姉ぇ！
そんなこと、あるよ！！
当たり前でしょ！

いや、そこは否定して感謝するとこよ
エブ子ちゃん
アバランチ姉ぇのこぶしのぐりぐりがさく裂する

いったーーー、やめてーー

いーーや、あやまらないと許さないわ

アバランチ姉ぇが、優秀なのがわるいんだぁ

それは理由になってないのだわ！

そう、そんなたわいもないやりとりをしながら、わたしは自室に戻り、テレビをつけた

失踪事件が取り上げられていた
丁度、近場のアドレスXX-Xで起こったとのこと
目撃者の証言は無し
突然、気が付いたら隣人がいなくなっていた
凶器も、破損も、その他証拠が一切見つからないとのこと
まるで、神隠しのようだ

でも、考えたって仕方ないし
わたし、警察じゃないし
そう思い、眠りにつくことにした

そういえば、あの、朝助けてくれた男の子
名前なんだっけかなぁ
すごくよく知っているような気がするけど、昔から知っているような気がするけど
うまく思い出せないや