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1.5-19 再会

侵入者。巨漢で白髪の男は、大剣を再び構えトロンに向き直る。
大剣は、彼の身長と同じくらいあり、柄のところに宝石と思われるものがはめ込まれていた。
それは、一見無骨な大剣には似合わないもののように見えた。
宝石に刻まれた紋様が、彼の展開するトランザクションと共に浮かび上がる。

その男の姿を見るやリックが叫ぶ

「お前!!ゼクスなのか!?」
乗り出すようにリックが問いただす。

大剣を構えた男は、その構えを崩さず片目をリックへと向けて見据える。
切れ長の鋭い目、眼光がリックを射貫き、無言で再びトロンの方を向く。

そこに言葉はなかった。

「おい!ゼクス。いったいどうしたんだ。お前!ゼクスだろ!!」
「その紋様、白髪。ゼクスだろ!」
「何があったんだよ!」

「ちょっと、どうしたのリックさん!」

「エブモスちゃん、少し黙っていてくれ」

「おい!」

「黙るのはあなたの方ですわ」
そういって、ソラナは手のひらに集めた雷をリックに当てる。
リックは、力なく倒れ、それをソラナが受け止める。

「何するんだ、ソラナ」

「あなた、落ち着きがなさすぎてよ」
「そんなことでは気を見誤りますわ」
「あの男、あなたがゼクスと呼んでいた男。あなたの事は意識的に無視したように見えましたわ」

「だとしても、」

「今は、その事が重要事項じゃないのではなくて?」

「!?」

「彼があなたのどのような方なのか存じません」
「恐らく、大切な方なのでしょう」
「だから、今は、『止める』ことが必要です」
「殺人を許すわけにはいかないでしょ?」
彼に罪を成させるつもり?と尋ねるソラナ

「それと、トロン。彼女をここで死なせてはいけないわ」

「どうして?」

「いい。エブモス。彼女は、折角掴んだ、ExAのしっぽよ」
「表面に露出している部分」
「彼女を失えば、わたくし達の作戦は大幅に修正しなければならないわ」
若干苦い表情を浮かべそう言い放った。

「なるほど!でも、あの二人。どうやって止めるの?」
片や、大剣を暴風の様に振り回す大男
方や、それを華麗に交わしながらもトランザクションで強化した手足で受け流す少女

「これを使いますわ」
そういって、ソラナは小銃を取り出し、弾丸を壇上へと放った。

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