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4.61章 収束_ジノ
無傷のまま進む怪人
「やっぱり、あなただったのね。ジノ」
「そうだよ。ボクがキミ達を襲った怪人さ」
「どのあたりから、感づいていたのかい?」
「あなたが、GNO-タワーで負傷していたときからよ」
「あなたの傷、ニトロが狙撃したときに着いた箇所と同じだったから」
「そうか。ボクとしては助かったけれど、よく止めを刺さなかったね」
「確証がないまま、友達の友達を殺すことはできないわ」
「もっとも、今は、それが甘かったって思っているけれど」
「そうだね。で、どうするんだい?こうなったからには、攻撃が効かないってことはもうわかっているよね?」
「そうね。でも、あなた、何故、最初からその姿にならなかったのかしら?初めからその姿で、わたくし達を圧倒すればよろしかったのに」
「そんなの決まているだろ?ボクはこの姿が余り好きじゃないんだ。ほら、体だってこんなにグロテスクだし」
「首を飛ばされたり、体を切り飛ばすのは許容したのに?」
「それは、本来のボクの体だからね。再生するってわかっていれば、痛みをコントラクトでコントロールすればどうってことないさ」
「でも、姿だけはどうにもならない。変わってしまうからね」
「じゃあ、大人しく変身せずに切り飛ばされてくれるわけにはいかなかったのかしら?」
「まさか。それこそないよ」
「成すことの為ならば、手段を選んではいられない。そんなこと、元代表だったキミもわかっているだろ、ソラナ?」
「まぁね」
「で、この長い会話の狙いは何かな?」
「あら、気付いていたのね」
「それはそうさ。キミは会話の中でも、同時にヘッドショットを狙って来たからね。そんな相手が何もせずに話しだけするなんて、狙いが何かあるとしか思えないよ」
「ですって、ニトロ」
そこには、巨大なスナイパーライフルを構えたニトロがいた。
それは、ジノの命を一度は奪いかけたときの武装。
しかし、異なる点がいくつもあった。
スナイパーライフルを構えるニトロの後ろには、いくつもの銃口が乱立しており、それらはワームホールを通じて彼女の制御下に置かれていた。
「ってーーー!」
号令
それとともに、ソラナは予め横に飛び、全ての弾丸は、ニトロへと振り向いたジノへと降り注いだ。
一撃一撃の重さ、物量、ともに申し分なかった。
ニトロの放った一撃一撃は、あのとき、ジノに致命傷を負わせた一撃だった。
「ったたた。痛いなぁ」
しかし、ジノの体を一度は消し飛ばした弾丸は、彼女の命を奪うまでにはいかなかった。
それどころか、体の至る所に擦り傷をつけるだけで、その全ては彼女の足元に転がっていた。
「ボクが対策していなかったとでも?」
そういって、彼女は自身のコアが存在する部分を叩く
「あなた、コアが無いのにその防御力!おかしいでしょ!?」
「別にこの位、出来ないくはないさ」
そういって、ジノがその手を振るう。
無造作に振るわれたそれは、ニトロが構えていた銃へと触れるとその本体を軽く引き裂いた。
銃を手放し、ジノと距離を取るニトロ
「うん。いい判断だね」
銃は、グリップの部分まで見事に引き裂かれていた。
「っ!」
対するニトロは、手から血を流していた。
ほんの少し、彼女の手が触れていたのだ。
軽く振るわれただけで、意識体の体を切り裂くその威力
「驚異的だと思わない?」
「そうね!!」
飛び込むように、フィーがキックを叩き込んだのだった。