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1.5-27 報告
「なるほどね。それは、かなりやっかいね」
「そうなの。破壊しようと思って仕掛けたけど、この通りだったわ」
イーサが拳を見せると、まだ完治していないのか数箇所にヒビのようなものが見えた。
「相変わらずの思い切りの良さね」
「よくそれで警備に見つからなかったわね」
「先に奇襲で気絶させておいたから、大丈夫」
「そういう問題じゃないんだけどなぁー」
ここは、コスモス中央棟から少し離れたオズモの研究室。
そこで、オズモにイーサは調査結果を報告していた。
「まさか、上位者と契約しているとはね。なかなか、用意周到じゃない」
「だからこそのコントラクトの封殺だから」
「そうね。巨大な力があっても使わせなければいい。相手が力を使えない領域に引き摺り込めば、勝率を上げられるわよね」
「理にかなっては、いるわね」
「ただ」
「ただ?」
「結構な対価を差し出したのではないかしら?」
「なぜ?」
「うーん。そうね。イーサちゃんがそう思うのもわかるわ。私達の知っている上位者って、ヴィタリックだものね。あなたの話に出てきた」
「後は、アフロ。あいつも、そうね」
「うん」
「かたや、過剰に干渉しない。ただ、必要があれば、秩序を保つ為にちからを貸してくれる良き隣人。かたや、全てを自分の思い通りにしなければ気がすまない駄々っ子」
「極端過ぎたのよ」
「本来、上位者は、意識体の世界にリソースと契約を持って干渉してくるわ」
「だから、こちらが何かを得ようとしたときには、何かを差し出す必要があるの」
そう言って、紅茶に口をつけるオズモ。
「そうだね。ヴィタリックのタイプが珍しいのかも」
「レアよ。レアキャラ。彼は、ある意味、ブロックチェーン意識体、私達の世界に溶け込んでいるわ」
そういって、トントンと、机の上に置いてあったNFTを指差す。
そこには、dYdXとヴィタリックが幸せそうな笑顔で映っていた。
タキシードと、ドレスを着て。
「まさか、挙式するとはね」
「めでたい事だから、いいと思うけど」
「あーー!そうじゃないのよ。うん。これは、ただ私の純粋な気持ちね。悔しいってだけね」
「オズモが悔しがるなんて、珍しいね」
「そう?」
「うん」
「まぁ、そうね。そういうときも、あるって思ってくれたら、嬉しいわ」
そう言って、イーサの首に手を回そうとして、かわされる。
「手頃なところで、暖を取ろうとしないの」
「ははっ!ばれちゃったか」
「Junoさんとうまく行ってないの?」
「うーん。最近、忙しいのよね。彼女」
そう言って、伸びをするオズモ
「ところで、対応は?上位者との契約。かなりやっかいでは?」
「それね、既に対応済みよ」
「後は、上手く動く事を祈るだけ」